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【完結】害獣認定  作者: みっど
第10章 HSSvsHSA6
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10-4 疑念

 少し高いところにあるゴンドラに乗っていた『魔術師』が、スタジオを俯瞰し、指示を与えている。


「キグルミ、お前は少し下がれ、

 ニューハーフよ、そこにある『大砲』のセットを本物にしろ」

「『人身掌握術、ヒトリゴト』……セットよ、本物になって!」

 ガシャガシャンッ!


 海賊がモチーフになっている『お昼のギルド』には、大砲やサーベルなどのセットがたくさん配置してあります。

 大砲のセットを本物にして、弾を込めてる、これって……

「撃てーー!」

 ドォンッドォンッ!


「マジか!?」

 ハヤトさんがビックリしてます、そりゃそうです、ただの『ハリボテ』だった大砲が……

 ドガァンッ! スガァンッ!

「うわぁっ!」

「キャーー!」


「次だ、キグルミよ、『ヒトフデガキ』で『ナイフ』と『サーベル』を書け」

 キュッキュッ、カキカキカキ……

 ズラァァ……

 キグルミが、『一筆書き』で描いた『ナイフ』や『サーベル』が、本物になって空中に浮かんでいる!


「『おきな』よ、『ヒトサシユビ』で操れ」

『翁』と呼ばれた老人が、『人身掌握術』を発動!

「ヒトサシユビ!」

 ビュンッビュンッ!

 ドドドドドドッ!

「危ねぇっ!」

 大量の『ナイフ』や『サーベル』が、翁のヒトサシユビで操作され、三人に襲い掛かる!


「くっ、この連携、戦い慣れしている……」

「こんなのいつまでも避けきれないよ!」

「くそっ、相手に近づくことすらできない……」

 北上さんも、大門さんも、ハヤトさんも、圧倒されている。

 もう、撤退とかも考えた方が……


「どうした、そんなものか? まだ『九手』だぞ……あの『ブラボーチーム』と『チャーリーチーム』でさえ、二十二手もったのだ、頑張れ、フフフ」

 魔術師が、三人を煽ってきます。



「うわぁっ!」

 ズテーンッ

 大門さんが転んだ!

「危ねぇっ!」

 ハヤトさんが助けに入る。

 カカカカッ!


 ハヤトさんが、セットの『盾』を持って、大門さんをかばう。

「うおぉー、こえー、大門、お前今本当に転んだんだろうな?」

「えっ、それどういうこと?」

「敵にやられるフリをして、オレっちをやろうとしたんじゃないだろうな?」

「そんなことしないよ!」

 ハヤトさんが『疑心暗鬼』になっている……

 そうか、三人ともこのチームの中に『スパイ』がいるって知っているんだった。


「ハヤトよせ、俺たちを分断するための罠だ。

 今のはニューハーフの『ヒトリゴト』で転ばされたんだ」

 こんな状況で、しかも『スパイ』の疑いまであるんじゃ、とてもじゃないけど戦いに集中なんてできない……ひょっとして、これも魔術師の『計算』……?


 ゴンドラに乗った魔術師が、ニヤリと口を歪ませる。

「私の人身掌握術は『ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ』。 この世のすべてを『計算』することができる能力だ……

 お前たちの動き、考えていること、全て手に取るようにわかるぞ、フハハハ」

「この世のすべてを『計算』することができる能力……?」


 そんな能力……私たちで太刀打ちできるの……?

「確か、お前たちがここに突入するときの作戦成功率は『72パーセント』だったな……

 だがそれは、全三チームが稼働し、私たちに情報が漏れていないこと、

 さらに私たち『ヒューマンスレイヤーアドバンスド・シックス』の存在も計算には入っていない」

 確かにあの時点で、自衛隊のすべての『AI 』に、ここまでのピンチは想定させていない……


「私の『再計算』によれば、お前たちの今の作戦成功率は……『三パーセント』だ」

「さ、三パーセント……?」


「さあ、まだ『十二手』だ、もっと私たちを楽しませてくれ!」

「人身掌握術、ヒトサシユビ!」

 ヒュンッヒュンッ!

 ドガアァァンッ!

「うわぁっ!」

「今度は大砲の『爆弾』を、直接操ってきた!」

「他にも槍や、斧なんかも飛んでくる!」

「くっ、さすがにこれは……強い」


 思わず私が叫ぶ!

「みなさん、撤退しましょう、急いで!」

「よっしゃー」

 私は三人を、もと来た入口に誘導!

「こっちです!」


 その時、また『魔術師』の口元がニヤリと歪んだ……

「言ったはずだ、私はこの世の全てを『計算』できると……」

 ガコンッ!


 魔術師が、何かのスイッチを押した……?

 ゴゴゴゴゴゴ……

「な、なんだ?」

「床が、動いてる……?」


 私たちがいた場所の床が回りだす……?

 まるで、中華レストランのターンテーブルのように、

 まるで、電車の格納庫の前の、方向転換機のように……


 魔術師が、私たちを見おろしながら、説明する

「ここは『お昼のギルド』のスタジオのセットだ……

 番組場面転換のための『回転ステージ』ぐらい、あってもおかしくはないだろう?」

「しまった」


 ガコンッ!

 私たちのいた場所は、もとの入口はネズミのリンダが、

 エレベーターのある出口は、環境活動家の『終末のアリス』が立つ。

 左右のドアはなくなっている。

「そ、そんな……」


「左右のドアは、元々『ヒトリゴト』で作っておいた『まやかし』だ。

 これで完全に逃げ道もなくなった……さあ、どうするアルファチーム、フフハハハ」


 退路を断たれ、スタジオはまさに『絶望の檻』という名の空間に。

 私は、膝から床に落ちて、絶望する。

 さすがの北上さんの顔にも、焦りの表情が……

「このままでは全滅だ、どうする……?」


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