10-3 強襲
「まずはこの三人を倒してから、上にいる魔術師というやつを倒す、残りはその後だ」
「了解」
北上さんの作戦通り、三人はキグルミと老人、ニューハーフの三人の方へ走る。
「まずは僕があのオカマの人を抑える! 人身掌握術・ヒトカ……」
「あらやだ、人身掌握術・ヒトリゴト……『転べ』」
「うわぁっ!」
ズテ―ンッ!
大門さんはその場で転んでしまう
「大門!? どうしたんだ?」
「わからない、何もなかったのに急に……」
ニューハーフの人は、北上さんにウインクをしながら投げキッス!
「チュッ! 『暗闇になれ』!」
シュンッ……
「なっ、なんだこれは、急に何も見えなくなった……?」
「ええ!?」
二人が混乱しています、これは一体……?
「まさかこれは……『言ったことを現実にする能力』か?」
「ウフフ、さすがはイケメンくん、正解よ」
ニューハーフの人の喉に、ヒューマンスレイヤーの紋章が浮かんでいる!
「そんな!」
大門さんが叫びます。当然です、『言ったことが全部叶う』なら、もう私たちが敵うわけが……
ですがここで、目が見えないのに、北上さんの知性が光ります。
「……だが、いきなり『死ね』とか言わないところを見ると、大きなことや難しいことは現実にできないみたいだな」
「あらイケメンくん、またまた正解」
ニューハーフの人が連続で投げキッスしています……
「なるほど、それなら『人身掌握術』で……」
「『舌を噛め』!」
「ガチッ! いったーーっ!」
大門さんが、舌を嚙んだせいで術が発動できなかった……なぜかちょっと大門さんには厳しめなのは気のせい?
「人身掌握術も使えない……地味な技だが、地味に効く……」
大門さんの攻防を見て、北上さんが呟く
後ろから、今度は『老人』が、ハヤトさんに近づいてくる。
「まったく、最近の若いもんは……」
「なんだ、じいさん? オレっちの相手はあんたか?」
「お前たち子供は、ワシらの言うことだけ聞いとればいいんじゃ……『人身掌握術、ヒトサシユビ』!」
老人の人差し指の爪先に、ヒューマンスレイヤーの紋章が光っています!
老人が人差し指を横に指すと、ハヤトさんが勢いよくその方向に飛んでいく!
ビュンッ!
「うわぁーーーーっ!」
ドガァッ!
ガラガラガラ……
そのまま壁に激突
「ハヤトっ!」
「ハヤトさんっ!」
「ワシの『人身掌握術・ヒトサシユビ』は、ワシが指差した方向にベクトルを変えることができる技。お前たちは、ワシの言う通りに動いていればよいのじゃ」
「この、クソじじい……」
そんな、『物理法則』まで曲げてしまう術、私たちで一体どうやって対抗したら……
『下っ端かいぞくん』のキグルミは、喋らず、ずっとジェスチャーしている
「大門、俺はお前ほど口数の少ない男を見たことがなかったが、あいつはお前を超えているかもしれん」
「奇遇だね、僕もそう思っていたよ……」
上のほうで傍観していた『魔術師』が、三人に話し出す。
「そのキグルミの人身掌握術は『ヒトフデガキ』。
『一筆書き』で描いたものならなんでも具現化できる能力だ、さあキグルミよ、お前の力を見せてやれ!」
ヒイィィィン……
キグルミの左手の甲に、ヒューマンスレイヤーの紋章が光ってる。
キグルミがホワイトボードに何かを描きだす。
キュッキュ、カキカキカキ……
「これってマズいんじゃない? なんでも具現化できるって、
戦車とか、空想上の魔物とか出てきたら、僕たちで戦えるかどうか……」
「確かに……警戒しろ、くるぞ!」
大門さんと北上さんが警戒する……
ホワイトボードに書かれたモノが具現化する……
ボワンッ……
「……」
「なにこれ? 鼻が長いけどひょっとして象? でも足が五本あるよ……?」
「……ッ!」
キグルミは頭を抱えている……
北上さんと大門さんが、ほんの少し呆れている……
「……絵心があれば、最強の能力だったな」




