10-2 遊戯
※三連休記念! 一日三回更新開始!
『魔術師』が、ポケットから何かを取り出す……
ボトッ
地面に落ちたその黒いものは……ゴキブリの『G』。
グシャッ!
おもむろに踏みつぶす『魔術師』……
「うっ……」
「お前、それ味方じゃないのか……」
魔術師は、少しニヤリとほほ笑むと、
「所詮は畜生……レセプター様がこれからお創りになる『美しき新世界』には、到底不釣り合いだ」
「この野郎……」
「ここは狭すぎて『ゲーム』にならん、上のスタジオに移動するぞ」
『ヒューマンスレイヤーアドバンスド・シックス』と名乗る六名は、そのままエレベーターに乗り上の階へ。
「おいどうする、これは完全に罠だぜ……」
「僕もそう思う、相手の思うつぼだね……」
「しかし、最上階へ行くには、四階のスタジオを抜け、直通のエレベーターに乗らなくてはならない……」
「今タブレットを確認しましたが、やはり最上階へ行くには直通の四階のエレベーターが一番早いです。あとは非常階段しかないので、かなりの遠回りになるかと……」
ハヤトさん、大門さん、北上さん、私の意見……
「やっぱり、四階のエレベーター経由が最善か……
やつらも、それがわかってて、ここで待ち伏せしていたのだろう」
四人で考えますが、最善策なんて出るわけありません。
「時間もない、とりあえず正面からぶつかってみて、ダメだと判断したら、いったん引こう」
「そうだな、お偉いさん方には悪いが、無理して命を落としたら元も子もない」
「僕も同意見だよ」
北上さん、ハヤトさん、大門さんの意見がまとまった。
「私も賛成です、命さえあれば、あとは何とかなります!」
私たちは、四階への階段を上がり、そのまま『お昼のギルド』のスタジオの中へ入る。
ピカァッ!
天井からいくつもの照明が照らされ、スタジオの中を明るく彩る。
小さなころから、いつも見ていたお昼の番組、そのセットがそのまま。
でも、今日はいつもと少し違う……
ところどころ機材が壊れていて、戦闘の跡や、血痕も残っている……
「逃げずによく来たな、アルファチームの諸君」
さっきのリーダー格の人、確か『魔術師』って……
「ここは『お昼のギルド』のスタジオ。
『ブラボーチーム』と『チャーリーチーム』もここで我々と戦って、『二十二手』で敗北した。君たちは何手まで耐えられるかな?」
「こっちが負ける前提の話かよ、舐めやがって……」
ハヤトさんの怒りはもっともです。
『ヒューマンスレイヤーアドバンスド・シックス』の六人は、すでに配置についているみたい。
スタジオの左右の出入り口には、小さなネズミと、ぬいぐるみを持った少女が、正面には着ぐるみを着た人と、老人と、オカマさん、
その奥にある、スタジオを見渡せるくらいの高さのゴンドラに、『魔術師』が乗っている。
「そうか、あのキグルミ野郎、どっかで見たことあると思ったら、マスコットキャラの『下っ端かいぞくん』か」
『下っ端かいぞくん』……
海賊をモチーフにしている『お昼のギルド』の公式キャラクター
人気コーナー『キャプテン危機一髪!』では、
捕まって樽の中に入れられたキャプテンを助けるため、
下っ端かいぞくんが、ホワイトボードに絵を描き、
何を描いたかを視聴者に当ててもらい、助けだすという企画。
右側の出入り口を陣取っている少女が、自己紹介を始める。
「私の名はアリス、能力は『ヒトゴロシ』……目の前の敵を確実に殺すことができる。アタシの命と引き換えにね」
私は急いで持っているタブレットで、『アリス』を調べる。
「アリス……載っていました、『終末のアリス』って呼ばれている環境活動家です、ちょうど来日していたんですね。目の前の敵を確実に殺すって、もう最悪の技じゃないですか」
左側にいた、小さなネズミさんも、自分を紹介。
「アタイの名前は『リンダ』……能力は『ヒトパピローマ』。対象の細胞を異常増幅させて、破壊する能力でチュー」
「なんだよそれ? ネズミのくせに強すぎだろ?」
ハヤトさんが叫ぶ、私も同意見です。
「マズいな……あの二人が両側を陣取っていたら、俺たちの動きは制限される」
「逃げるにしても、進むにしても、目の前の三人を倒すのが先決みたいだね」
状況はあまりよろしくない、でもこの三人なら……
「キグルミに老人、おまけに『オカマ』が相手かよ」
「失礼ね! ニューハーフといいなさいよ!」
どうみても女装した男性が、怒りをあらわに、ハヤトさんに詰め寄る。
「まずはこの三人を倒してから、上にいる魔術師というやつを倒す、残りはその後だ」
「了解」
北上さんの作戦通り、三人はキグルミと老人、ニューハーフの三人の方へ走りだす。




