表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】害獣認定  作者: みっど
第8章 壊すものと守るもの
20/52

8-1 強欲

 ○北上・大門side


 ウイイィィン……

「エレベーターが動き出した、ハヤトたちがやってくれたようだな」

「うん」


 俺たちはまたエレベーターに戻り、扉が開くのを待つ。

 チーン!

 着いたのは三階。


「ここは……?」

「どうやらここは『番組備品倉庫』……バンビって呼ばれているところらしいな」

 そこかしこに、いろんな番組で使ったであろう『備品』が、並んでいる。

 キグルミはもちろん、大型扇風機や年代物のテレビ、ちゃぶ台まである。


「こういうものを使って、コントやバラエティ番組とかを制作していたのだろうな」


 俺たちは『番組備品倉庫』を進み、その先にある合流地点へ向かう。

「あの先に、ミサオが言っていた合流地点があるはずだ」

 番組備品倉庫の奥にあるドアを指差し、向かう、その時――


「へへへ……」

 俺たちは左側に気配を感じ、振り向く。

 そこにいたのは、リーゼントをバッチリ決めた、ヤンキー風の男……

 舌にヒューマンスレイヤーの紋章が光る。


「さあ、オレ様と勝負する度胸のあるやつはどいつだぁ?」

「こいつ……ヒューマンスレイヤーか」

 俺たちは戦闘態勢をとる。


「君は……!」

 大門がビックリしている。

「おっや~? どっかで見たことある顔だと思ったら、ひょっとしてお前『ダイベンくん』かぁ~?」


「大門、あのヤンキー風の男、知り合いか?」

「……昔、僕をいじめていたやつなんだ」

「はぁ~?

 心外だなぁ、『いじめていた』んじゃなくて、『いじってやってた』んだろうが、独りぼっちだったお前をよ~、感謝してほしいくらいだぜ」

「……」

 大門の手が、震えながらも力が入っているのがわかる。


「『オレ様と勝負する度胸あるやつはどいつだぁ?』と言っていたな、バトルが好きな、『戦闘狂』か?」

「ああ、そう思ってくれて構わねぇぜ」

 そのヤンキー風の男は、座ってた椅子を降り、指を鳴らしながら近づいてくる。

 ボキボキ、ボキボキ……


 俺は大門に話しかける。

「大門、相手が戦闘狂なら話は簡単だ、力でねじ伏せればいいだけだ」

「う、うん……」


 俺が、ヤンキー風の男の前に立つ。

「大門、お前には荷が重い、ここは俺に任せて、お前はそこにいろ」

「……」



「お前の相手は、俺だ」

 俺は戦闘準備を整え、ヤンキー風の男の前に立つ。

「へっ、そうかい、じゃあこっちに来な」

 俺はヤンキー風の男に言われるがまま、そのままついていく……

 その時――

 ズドンッ!


「なにっ!?」

「北上くん!」

 バラエティ番組などでよく使われる、大砲のような小道具から、カラフルな網が発射され、俺を拘束した!

「あーひゃひゃ、それはテレビのドッキリ企画なんかで使われる『ネットバズーカ』。

 ナイロン製だが、『ヒトククリ』の糸も使って補強してある、絡みついたら簡単には取れないぜぇ」

 ヤンキー風の男は、腹を抱えて大笑い。


「くっ、お前、勝負するのが好きなんじゃなかったのか?」

「オレ様はよぉ~、勝負することが好きなんじゃねぇ、『勝負に勝つこと』が好きなんだよ、あーひゃひゃひゃ」

「と、取れない……」

 俺は網を剥がそうとするが、複雑に絡みついていてとれない、これでは『ヒトナミ』も使えない。


「へっへっへー、行くぜぇ、『人身掌握術、ヒトットビ』!」

 パパパパパパーーーーッ!

「なっ!?」

 ヤンキー風の男は、目にも止まらない、とてつもない速さで部屋を飛び回りだした!

 ガガガガガガガーーーーッ!

「うわぁっ!」

「くっ!」


 あまりの速さで、俺も大門も身を固めて防戦一方。

「なんて技だ、動体視力が上がっている今の俺たちでも捉えられない速度とは……」


「オラオラ、まずは海自のイケメン、お前を壊してからゆっくりダイベン君を駆除してやるかなぁ!」

 ガガガガガガッ!

「ぐっ……」

「北上くん!」

 大門が、俺を助けようと手を伸ばす。


「ゴラァ、ダイベン! テメーはいいから、そこでおとなしくしてろやー!」

「ひっ……」

 大門は、ビビりながら防御を固め、動けない。



 俺は、ヤンキー風の男の攻撃を受けながら、大門に話しかける。

「大門、お前から負の感情の波動を感じる……やっぱりあいつにいじめられていたんだな」


 大門も防御しながら、それに答える。

「あいつは、いつも一人で影ふみしていた僕を仲間に入れてくれたんだ……でも、あいつはいつも僕の大切にしていたものを奪っては壊した」


 大門から、『怒り』と『悲しみ』のような波動を感じる……

「大切にしていたフィギュアも、漫画の本も、そして母さんがくれた僕のお小遣いまで……」


 ザザァーー……

 一瞬、攻撃を止めたヤンキー風の男が、大門を睨む。

「ああ~? それはオレ様が世間のために有効活用してやったんだろうが!

 何度も言わせんな、いじめてたんじゃなくて、いじってやってただけだ!」


「まさに『強欲のヤンキー』といったところか……

 ……加害者側の意見や言い訳なんてどうでもいい、被害者側が認識した時点で、それはもう『いじめ』だ!」


『強欲のヤンキー』は、眉間にしわを寄せ、威嚇する。

「へっ、だからどうだっていうんだよ、B級ドラマのセリフじゃあるまいし、いい加減、早く堕ちちまいなぁ!」

 ガガガガガガッ!


「き、北上くん!」

「大門、今のお前は独りぼっちじゃない、俺たちがついている。

 恐怖に打ち勝つのは勇気だ! 勇気をもって一歩踏み出せ!」


 大門の目に、光が宿る……

「これ以上、僕の大切なものを、お前に壊されてたまるかーー!」

 大門は、腕で防御しながらも、左足を一歩前に踏み出す!

 ヒイィィン……

 大門の左足のつま先に、紋章が光る


「人身掌握術、ヒトカゲ!」

 ズドンッ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ