7-1 蹂躙
◆『テレビギルド』四階・スタジオ……
『ブラボーチーム』と『チャーリーチーム』は、スタジオで合流していた。
『チャーリーチーム』の祥子情報官が、インカムで本部に連絡するも、妨害されて繋がらない状態だった。
「こちらチャーリーチーム、本部応答願います、本部応答願います!」
ザ・ザァァーー……
「どうした、やっぱり繋がらないのか?」
『ブラボーチーム』の曳地三等海尉が、祥子情報官に尋ねる
「ダメだわ、四階に上がったと同時に、通信が妨害されている。
まるで、私たちが来るのがわかっていたかのように……」
「まあ、当然敵の罠だろうね。 ボクたちを孤立させるための」
そう言ったのは、『ヒトギキ』の能力を持つ、橘三等空尉だ。
「フフフ……」
「誰だっ!?」
全員、声のした方へ振り向く
スタジオの奥には、六つの人影が。
六人とも、片方の肩にだけマントを羽織ったいで立ち……
肩には『六角形の紋章』が装飾されている
白衣を着た学者風の男、
ぬいぐるみを持った外国人顔の少女、
薄汚れた小さなネズミ、
どこかで見たことがある動くキグルミ、
年老いたおじさん、
どう見ても女性の格好をしている男の人……
「何だアイツら、ヒューマンスレイヤーなのか?」
「だとしたら、今までのやつらとちょっと違うね、雰囲気が」
『チャーリーチーム』のリーダー、『ヒトミゴクウ』を使うノッポの自衛官が、曳地に話す
六人の真ん中にいた、白衣を着た学者風の男が、口を開く
「電波の類は遮断させてもらった、今だけだがな」
全員隊列を少し開き、戦闘態勢に
「オレたちを誘いこんだってことか? ヒューマンスレイヤーごときが偉そうに」
「フッ……」
曳地の煽りに、少し笑みを浮かべる学者風の男……
「その意気込みや良し、『ブラボーチーム』と『チャーリーチーム』の諸君、ゲームをしようじゃないか」
「ゲームだと? ふざけやがって」
「いいんじゃない? ここまで非能力者のヒューマンスレイヤーばかり。正直物足りなかったのよねぇ」
『ヒトシズク』を使う、雫三等海尉が、自信ありげに六人を見据える
「ちっ、仕方ねぇ、じゃあそのゲームとやらにあえて乗ってやるか」
曳地が、指を鳴らしながら全員に号令を下す
ボキボキボキッ
「いくぞ」
「了解」
自衛官たちはぞれぞれ散開、橘三等空尉だけはその場に留まり、耳に手を当てて能力を発動する
「『人身掌握術、ヒトギキ』!」
ヒイィィン……
「今だ」
学者風の男が、指を鳴らす
パチン!
ジャジャジャ、ジャーーン!
突然、備え付きの巨大なスピーカーから、大音量の音楽が流れる
「うわっ!?」
「なんだこれ? クラシック音楽?」
「ぎゃああああっ!」
バタッ
『ヒトギキ』の自衛隊員が、耳から血を流し、白目をむき、口から泡を吹いて倒れる
「なっ!?」
「数百倍の聴覚でこの音を聞いたら、さぞ響くであろうな。 おそらく鼓膜が破れただろう……まず一人目だ」
「この野郎……」
曳地は、懐から拳銃を取り出し、狙いを学者風の男に定める
「『人身掌握術、ヒトアタリ』!」
ヒイィィン……
ダンッ!
バスッ
曳地が撃った弾は、学者風の男の眉間を貫く
「ハハ―、どうだ!」
スゥゥ……
倒れた学者風の男が、消えていく……
「なにっ? これは、幻覚?」
「フハハハ……
『必ず命中する』能力も、攻撃する対象が変わってしまっては意味がないな」
「な……、なんでオレの能力のことを……?」
「キグルミ、ナイフを200本書け」
学者風の男が、着ぐるみを着たやつに命令する
キュキュキュ……
ボワンっ
着ぐるみを着たやつの前には、200本のナイフが並んだ
「翁!」
翁と呼ばれたおじいさんが人差し指を構えると、200本のナイフが空中に浮かび、そのままノッポのリーダーに飛んできた!
ドドドドドドドドーーッ!
「うわぁーーっ、『人身掌握術、ヒトミゴクウ』!」
ボヒュッボヒュッボヒュッ!
ノッポのリーダーに、200本のナイフが連続で当たるが、『分身』で回避しつづける!
ドドドドドドドーーッ!
ドスッドスッ!
「がっ!?」
ノッポのリーダーの肩口に、二本のナイフが刺さる
「フム……
124本だったか、報告より二本多いな……まあ、それがお前の『とっておき』だったのかな? フハハ」
「ぐっ、くそっ……」
「くっ、ならおいどんが! 『人身掌握術、ヒトオシ』! どすこ~いっ!」
太っちょ三等陸尉が前に出て、学者風の男に術をかける!
学者風の男は、微動だにせず、横にいた翁と呼ばれていたじいさんが、人差し指を横に振る
ビュンッ!
「なにぃ!?」
ドゴォッ!
太っちょの横にいたはずの曳地が、急に吹き飛ばされ、壁に激突してめり込んでいる!
「がはっ……」
「そ、そんな……なんでおいの術が、曳地どんに……?」
曳地は、そのまま壁からズルズルと床に落ち、倒れる
祥子情報官の頬に、冷や汗が滲む……
「いったい何なの、こいつら……?」
『ブラボーチーム』、『チャーリーチーム』たちの顔にも、焦りの色が浮かぶ
「さあどうした『ブラボーチーム』、『チャーリーチーム』の諸君。
こちらはまだ三名しか動いていない、そしてまだ始まってから13手しか経っていないぞ……もっと私たちを楽しませてくれ」




