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【完結】害獣認定  作者: みっど
第4章 深紅に染まる緑と 漆黒に染まる白
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4-4 輪廻

 奥のほうで、渡邊副長官が立ち上がる

「おのれ、まだ私はやられてはいないぞ!」

 渡邊副長官は、右手を上にあげる。

「人身掌握術、ヒトキリ!」

 ババババババーーーーッ!

 渡邊副長官の右手から、複数の真空の刃が飛び出す

「うわぁっ!」


 刃の一つが、ノッポの三等空尉の一人に当たってしまう!

「おい、大丈夫か!?」


「ボクなら大丈夫だよ」

 ハヤトの後ろからそのノッポの三等空尉が現れる

「うわぁ、ビックリした!? なんでお前、オレっちの後ろから現れるんだよ?」

「フフ、ボクの人身掌握術、『ヒトミゴクウ』は、相手の攻撃が当たった瞬間に、『分身』を作って回避できる技なんだ、凄いでしょ?」

「はぁ? なんだそれ?」


『Cチーム』の残りの二人、同じ顔した双子の自衛官が、渡邊に攻撃を仕掛ける

「よくもうちのリーダーをやってくれたね、お返しだ!」

 双子の兄の方の手の平の中に、炎が燃える!


「人身掌握術、ヒトダマ!」

 ボオォッ!

 手の平から炎の玉が飛び出す!

 ボンッ!


「うおおぉぉーーっ!?」

 渡邊の体は、炎に包まれる。

「どうだい、ボクの『ヒトダマ』は? ボクは摩擦熱で炎を作り、自由に操ることができるんだ」

 その時――


 ザ・ザアアァァーー……

「あ、しまった」

 火災感知器が反応して、天井のスプリンクラーが作動してしまう


 シュウゥゥ……

 渡邊の体についた炎は鎮火してしまった。

 渡邊は、懐の拳銃を取り出す。



「お兄ちゃんの術は、室内向きじゃないのよ、雫に任せて!」

 自分を『雫』と名前で呼ぶその女性は、スプリンクラーの真下へ。

「人身掌握術、ヒトシズク!」

 バシャァーーーー!

 叫んだ途端、スプリンクラーの水が雫の体の周りを回り始めた。

「雫の術は、水を自由に操ることができるの……ちょうど水があってラッキーだったわ」

 雫が指差すと、レーザービームのような水が、渡邊に飛んでいく。

 バシャァーーッ!

「ぐふっ!」

 渡邊は吹っ飛ばされる。


「その拳銃はもう撃たないほうがいいわね、撃ったら暴発するよ」


 ミサオが、タブレットを見ながら説明する

「凄い連携でしたね、自衛隊内でもあの二人有名みたいです、『珠央』『雫』兄妹」


 そこに、『チャーリーチーム』の情報官『祥子』が、ミサオに話しかける

「どう? これがチャーリーチームの実力よ、ミサオ」

「祥子先輩……」


 祥子は、胸で腕を組みながら、上からミサオを見おろす。

「アナタはいつもドジや失敗が多く、迷惑をかけてばかり……

 今回も新しいチームで足を引っ張らないか、心配だったのよ」

「す、すみません……」


「今回はうちのチームが先行するから、そのタブレットで情報を確認しながら付いてきなさい。いくらアナタでも、それぐらいできるでしょ?」

「は、はい……」


 北上が、ミサオを気に掛ける。

「大丈夫かミサオ、あの祥子という情報官、随分と上から目線だったが……」

「はい……祥子先輩は、新人の私を直接指導して下さった人なんです。

 でも、最近私が律子先輩に気に入られるようになって、それが気に入らないらしく……」

「確かにそういう話はよくある、が……こういう作戦会議中にあの態度はいかがなものか」

「……」



 ハヤトが肩を回し、首を回している。

「ようし、そんじゃいっちょ、オレっちも……」

「待てハヤト。何かおかしい……」

 北上がハヤトの肩を掴み、制止する。


「えっ? 何が?」

「あの『ヒトスカシ』という術があれば、誰にも気づかれることなく、大臣たちを殺すことができたはず……」


 大門と律子も、北上に同調する

「僕もそう思うよ、わざわざここで正体を晒す意味がわからない」

「何かありそうね……」



「フフフ、ハハハ……無駄だ、我々は死を恐れない!」

 体中ボロボロになりながらも、立ち上がり、笑いだす渡邊……

「私は地球に『輪廻転生』を確約されている、つまり、死んでも次必ず『人間』として生まれ変われる権利をな。

 だが、お前たちはどうかな? 地球に害獣認定されたお前たちは、次も『人間』に生まれ変わるとは限らない」

 渡邊は、両手を広げ、まるで演説でもしているかのように叫ぶ。

「次は豚か鶏にでも生まれ変わって、今世の非道を悔い改めるんだなぁ、ハーハハハ……」


 ダンッ!


 一発の銃声音、渡邊の眉間に、銃弾が当たる

 撃ったのは……和氣内閣総理大臣だった。


「チッ……

 死んだ後のことまで想定なんてできるか、この痴れ者が。

 これが原因で、ワシの『支持率』が下がったらどうするつもりだ? まったく……」

 誰にも聞こえないほどの、小さな独り言……


 北上が一瞬、和氣総理を睨んだが、すぐ元通りに。

「律子先輩、大臣たちの安全確保と、事態の収束を」

「わかったわ」



「フ、フハハハ……」

「えっ……」

「渡邊副長官? まだ生きてる……?」

 眉間から血を流し、ボロボロになりながらも、立ち上がる渡邊。


 和氣総理大臣が、冷や汗を一つ流しながら、

「頭を撃ち抜かれて、まだ生きているのか……? どうやら『高い致死耐性』という情報は正しいようだな」


 渡邊が、まるで祈りを捧げるように天を仰ぐ

「神よ! この地球より、悪しき『害獣』を一掃したまえ! ハーハハハ!」

 渡邊の服の下には、大量のダイナマイトが!


「みんな伏せろ!」


 ドガアァァンッ!

 ガラガラガラ……


 官邸第一会議室は、爆風によりコナゴナに。

 爆風で書類が舞い、非常警報のライトが赤く点滅、そこかしこで電線がショートしている。

 自衛隊のいつもの演習で嗅いでいるモノとは違う、本物の爆弾の匂い……

 第一会議室の外では、ガラスが散乱し、数名の警備員ががれきの下敷きになっていた。


 総理や大臣たちは、自衛隊隊員やSPのおかげで、助かっていた。


 被害は、大臣二名、SP一名死亡、負傷者多数。


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