いざ、旅立ちの時…の前の準備 二
「ぼちぼち食べ物をアポートしないとな」
ラーメンを啜りながら十三がしみじみと言った。
クラが獲ってきた魚介類を焼いたものとインスタントラーメンという昨夜と同じような昼食をとっている最中だ。クラとゲンが居たので、洞窟内全ての漂着物を港に運ぶ作業は昼前には終了していた。
「儂らは別に困らんがな」
「俺が飽きるの。それに一応栄養も考えないと」
もう一ヶ月以上十三は野菜を食べていなかった。元々野菜が大好きだったわけではないが、栄養ということを思えば野菜が恋しい頃なのだ。
「今この島にあるであろう漂着物は全て集めたんだ。これで何が足りないか目星も付く。昼からは引き寄せ作業を始めるのが良いだろうな」
「そうだな。船…はとりあえず置いといて、その他に必要な、それこそ食糧とかをアポートしようかね」
クラの提案に十三も異論はない。
クラとゲンという話し相手も出来、今はこの島での生活に孤独を感じなくなったとはいえ、十三には「アイドルグループを作る」という野望があるのだ。いつまでもこの島にいてもしょうがないのだ。そのためにはこの島でしか使えないアポートという神力を最大限有効活用して大陸へ移住する準備をしなければならない。
この島を出て人間が住んでいるとされるメイン大陸へ向かうために必要な物は、まずは船だろう。しかし、昨夜一人と二体で語り合った結果、この島から持ち出すものを先に選別して、その荷物を運ぶのに必要十分な船を改めてアポートすることに決めてあった。
「食糧とか細々したものはあとから調整したら良い。先に大きな物を決めよう」
「まぁ食糧は直径一メートル以下のものが大半だろうし、数を集めないといけないだろうからな」
アポートには直径一メートルの物体一つに付き千点もの神力が消費される。クラは調整しやすい細々した物は後回しにしようと提案したのだ。
「大きい物か。確かに大きくて嵩張る物を先に処理した方が一番神力を食う船のサイズを決めるのに役立つな」
言うまでもなくこれからアポートするもので一番大きいものは船である。船に積めない物はこの島から持ち出せないからだ。また大きな物を神力に余裕があると思って大量にアポートしたところで、その全てを積める船をアポート出来るだけの神力を残していなければ意味がない。
神力の計算をする上でも大きな物から処理した方が良いとゲンも賛同した。
「んじゃ、大きな物からアポートするとして、まずは何が必要だろう?もちろん船以外で」
「ヘリはあった方が良いな」
十三の呼びかけにクラが即答する。
「偵察に揚陸と用途に困らない。やはり航空戦力は必要だろう」
クラはメイン大陸へ戦争に行くつもりなのだろうか?いや、しかし転ばぬ先の杖は必要であろう。それにヘリがあったら便利だろうとは十三もゲンも思っていたので異論はない。
「じゃあ、まずはヘリから始めるか」
ちょうど食事も終わったところである。十三は立ち上がり、岸へ向かい海に手を入れる。
「アポートするには海に触れてないといけないってのはちょっと手間だな」
そんなことをぼやきながら神力を発動し、地球の海に望む物があるか検索する。
「あ、チヌークがあった」
「チヌークというと米軍の輸送ヘリか」
十三の呟きにクラが反応する。
タンデムローターが特徴的な米軍の大型輸送ヘリ。それが今十三の検索にかかったCH47チヌークだ。半世紀以上も米軍やその他の軍隊で使われており、実戦以外でも映画などにもよく登場しているので、「米軍の輸送ヘリといえば?」と問われたら真っ先に浮かぶであろう機体だ。
「チヌークだと少し大きくないか?」
ゲンの言う通りあまり大きすぎるとそれを載せる船もそれなりの大きさが必要となる。そして、大きくなればなるほど神力が必要になるのだ。
薄々感じてるかと思いますが、いまだどんな船にするか決め兼ねています。




