オレらの時代 〜石油王鼎談す〜 五
「そのピッチングマシンは二つの回転するローラーで球を飛ばす奴だろ?だったら、銛も投げられないか?」
ゲンが言う。ビックジラと戦うことを想定した場合、やはり銛がしっくり来るのだ。
「やってみないとわからないけど、出来そうではあるな」
クラも乗り気だ。
「そうだな。ロープを付けた銛なら繰り返し使えるだろうから、神力の節約にもなりそうだ」
十三にも良いアイデアに思えた。しかし、石油王になったにも関わらず倹約家なことである。
「ビックジラ対策はそれで良さそうだとして、人間たちとトラブルになった際の防衛戦力はどうする?」
「対人戦は俺の能力でなんとかなりそうな気もするし、クラさんもゲンさんもそれなりに戦えるだろ?」
「だが、集団相手だと手に負えなくなるんじゃないか?」
クラは戦争でも想定しているのだろうか?だが、この世界の情勢を全く知らない以上、それを杞憂と一笑に付すわけにもいかないだろう。
「集団相手かぁ」
「沖に船を置いてそこを拠点に戦うようにすれば良いだろう。おそらくこの世界そこまで強力な軍艦はあるまい」
「確かにこの世界は、大航海時代以前っぽいな」
ゲンの意見に十三も頷く。以前、十三が食を満たすためにこの島の遺品をサイコメトリーでアンキトースト化した時に得た情報から推測されるこの世界の文明レベルは、大航海時代前夜、中世後期の十三世紀ぐらいだった。おそらく大砲を積んだ軍艦はないだろうと思われた。
「陸から距離を起き、こちらは遠距離攻撃出来るようにすればおそらく問題あるまい」
「それもそうだな」
「となると、籠城戦が出来る程度の船がやはり必要か」
「あとはそういう事態を避けるためにも索敵手段もいくつか欲しいとこだな」
「ヘリでも飛ばすか?」
「それは良いアイデアかもな」
「ヘリにも自衛手段は欲しいとこだな」
「しかし銃火器の類は弾薬の補充の問題があるしなぁ」
「上空から火炎瓶落とすだけで地上戦力相手には充分脅威だろうが、飛行モンスター対策はしとくべきだ」
「空飛ぶモンスターいるんだ」
「俺たちは高クラーゲンだから空のことはさすがに詳しくは知らんが、居てもおかしくないだろう?」
「空飛ぶドラゴンとか王道だしね」
少なくとも九頭ドラゴンという水棲龍がいたのだ。空飛ぶドラゴンがいないとは言い切れないし、同様に飛行モンスターがいないとも言えない。
このように雑談とも議論とも取れる話を止めどなく続けているうちにやがて日も暮れてきたので、食事の後片付けを済ませた十三は寝床の用意をし眠りに就いた。ちなみに二体の高クラーゲンはプカプカ海に浮いて眠るようである。




