オレらの時代 〜石油王鼎談す〜 四
「正直この世界の文明レベルとか食糧事情とかさっぱりわかんないからな」
だから十三は出来ることなら自給自足出来る体制を用意したいと言う。
「そして何度も言うけど、俺はエルフとか獣人とか集めてアイドルグループを作りたいんだ!だからそのための機材も必要だ!」
そう力説する十三に向けられる二体の高クラーゲンの視線は生暖かい。
「機材と言っても何が必要になるんだ?」
「音響機器とか撮影機器かな?」
ゲンの質問に自信なさげに十三が答える。アイドルグループを運営したいと夢想してはいたが、実際どんな機材が必要か深く考えたことはなかったのだ。
「例えば、現地の楽団をバックに広場で歌やダンスを披露するようにしたら音響機器は別に要らないんじゃないか?」
ゲンの指摘も尤もだ。要は工夫次第だろう。ただし現地の楽器がジャパニーズアイドルソングに合うかどうかはまだ不明なのだが。
「撮影機器も撮ったところでDVDを販売するわけにもいかないから、アイドルグループ運営に必須というわけではない」
クラもそう指摘しつつも続ける。
「しかし、撮影機器があると便利なのは間違いないからアポートしとくべきだな」
「ま、アイドルグループ運営に何が必要かはとりあえず置いていて、他の物資を議論すべきだな」
ゲンが話を戻す。
「船で大陸まで行くとして、大陸の状況がわからない以上ある程度の備えを船にしとくべきではあるな」
「俺はいい加減、白飯と味噌汁を食いたいんだよな」
この世界に転生して一ヶ月以上、そろそろ十三は和食が恋しくなってきていた。
「インスタントの味噌汁とかレトルトの白飯とか、おそらくアポート出来るとは思うけど、どうせなら栽培したい」
メイン大陸に渡っても米や大豆があるとは限らないのだ。
「おそらく洪水で流された農地があるはずだから、なんとかなるんじゃないか?ついでに他の野菜の種や培養土などもアポートするのも悪くないだろう」
そうゲンも同意する。水耕栽培やベランダ菜園とかあるのだ。ある程度の大きさの船なら船内農園も可能だろう。
「武装も必要だ。大陸に着いたところで現地の人間とトラブルにならないとは限らない。それに海にはあのビックジラのような魔物もいるのだ」
スナイパーのような鋭い眼光でクラが言う。
「あのドーム級クジラ、ビックジラっていうのかよ」
おそらくナガイキの記憶でクラはその名を知ったのだろう。なんか間の抜けた名前に十三は呆れるが、たしかにもう一度あのビックジラに襲われたら苦戦することは間違いなさそうだ。
「武装かぁ。ミサイルとか使い捨ての武器は勿体無い気がするんだよねぇ」
アポートするには直径一メートルに付き神力千点消費してしまうのだ。なるべくなら何度も繰り返し使える物に使いたい。
当然弾薬が必要になる兵器も躊躇する。だからこそ十三は大和や武蔵といった第二次大戦期の戦艦を早々と候補から外したのだ。
「お主の力で火炎瓶でも作って投げるか?」
ゲンがそう言って笑う。プラスチックの形成も自在に行えるようになった今の十三ならガソリンやLPガスを詰めたプラスチック容器も作れるのだ。あとはそれを投擲する道具があれば良い。
「あっ!そうだ。たしかあの洞窟にはピッチングマシンがあったな。あれ使えないか?」
すでにこの島に漂着している物ならアポート分の神力の節約にもなる。実際有効かは不明だが、アイデアとしては悪くないような気がした。




