石油王アップグレード 八
昨日の反省は何だったんだろう?
今日も慌てて投稿する次第。
色々試してみた結果、十三が身につけたデンキクラーゲンの能力は小さな火花を出すことだけのようだった。
(だが、それで良い)
これで十三は自力で着火する手段を手に入れたのだ。今までは油を出すことは出来てもライターやバーナーなどの着火手段を用意しないといけなかった。その手間がなくなるのは地味に便利だ。
「ゲンさん、ちょっと下がっててくれ」
十三は以前から考えていたことを実験しようと靴を脱ぎ、ゲンから離れる。本人も気付かないうちに自然と「さん」付けである。
周りに被害が出ないよう十分な距離を取った十三は、地面に向けて開いた両の掌と素足の裏から勢い良く液化石油ガスを噴出する。
その勢いで十三の体が浮き上がる。そして手足の指先で火花を飛ばす。
次の瞬間、大爆発!
辺りに轟音が鳴り響き、爆風が地面を抉る。
その衝撃は爆心地の十三を吹き飛ばし、彼を天高く持ち上げる。
「よっ!やっ!」
その十三は空中で悪戦苦闘していた。
(こりゃ思ったよりもコントロールしにくいな)
両手両足から細かくガスを噴射することで姿勢を制御しようと試みるが、それは十三の予想以上に難しかった。
そう、十三は石油王の能力ならば空も飛べるはずだと実験したのだ。しかし理想と異なり現実はキャンキャン吠える子犬のようにわたわたするだけで、とても快適な空の旅は望めないようである。
(ってか、着地どうしよう?!)
両手両足から細かく噴射することで姿勢制御しながらゆっくり着地するイメージをしていたのだが、とてもそこまで制御出来る自信がない。毎回爆発を起こしてその衝撃波に吹き飛ばされているような現状なのだ。気分はピンボールの球である。
「十三!膜を張れ!」
眼下のゲンの叫びに、十三は慌てて手からパラシュートのように膜を噴出し無事着地する。
「いきなり爆発したからびっくりしたぞ」
「いや、空飛べないかと思ったんだけどね。そう簡単にはいかないな」
「翼でも作って滑空したらどうだ?」
「翼か」
「プラスティックを生み出せるようになったんだろ?」
「あー、それならもうちょい上手くいくかもな」
とはいえ、翼の形や大きさについて試行錯誤しないといけないだろう。取り急ぎ空を飛ばなければならない必要性もなく、ただ十三の「空飛べたら楽しいかな?」という好奇心なだけなので、その実験はまたの機会にするとこにした。
それよりも他に検証すべきことはあった。
「ところでさっきから気にはなってたんだけど、これはなんだ?」
十三はそう言ってガソリンスタンドの前に鎮座しているオブジェを指差した。




