石油王アップグレード 九
今日は寝落ちる前に投稿予約出来た!
…それが当たり前じゃないといけないんだけどね。
そこには高さ三メートルほどの幼女の彫像があった。
「何って、九龍玄女さまの像だろう?」
「それは俺も思った。だけど俺が言いたいのは『なんで九龍玄女さまの像がここにあるんだ?』ってことだ」
この世界に転生して以来、十三は何度もこのスタンドを行き来した。ここに九龍玄女の彫像が無かったと自信を持って言えるのだ。
「儂に分かるわけなかろう。儂とクラはまだ生まれたばかりなんだぞ?」
つまらそうに言いつつもゲンは続ける。
「おそらく九龍玄女さまの置き土産ではないか?」
「置き土産ねぇ?」
そう呟きながら十三は彫像に近づく。
高さ三メートルぐらいと彫像としては大きい部類になるのだろうが、この像のモデルとなった当時の九龍玄女本人に比べるとはるかに小さい。八つの龍体を首の周りから生やした巨大幼女の九頭ドラゴンを四百分の一にしたような精巧な像である。
(この幼女な玄女さまもかわいいけど、どうせなら転生時の美少女モデルの方が良かったかも)
そんな他愛もないことを考えながらその像に触れる。
「これは?!」
石とも金属とも異なる不思議な手触り。しかし、十三を驚愕させたのはその質感ではなかった。
「九龍玄女さまの神力が残ってる!?」
「なんと?!」
像を通して九龍玄女の神力が伝わって来る。
「神力百八万…だと?!」
残された膨大な神力に驚愕する。
この像に触れていれば、十三が持つクルールーの神力と同じように使えることも分かった。
さらに、サイコメトリーとリセットの他にもう一つ使用出来る能力が増えていた。
「アポートか」
それは異世界の海に沈没している物をこの島に引き寄せる力。この島に漂着する前に呼び寄せる力であった。
「これは自由度が段違いだな」
今までは漂着した物の中から選別してやりくりしていたわけだが、この新しい神力があれば「海に沈没している物」という条件はあるものの十三が欲しい物を手に入れることが可能になるのだ。
ただ強力な力であるので、当然使用する際に消費される神力も大きい。
直径一メートルの物体を引き寄せるのに、千点もかかってしまう。さらにその後使える状態に戻したり、使用方法を理解したりするのにも神力は別途必要だ。
いくら膨大な神力があるとはいえ、考えなしに消費して良いわけではなさそうだ。
「とりあえず欲しいのは船と食料だな」
「飛行機という手もあるが、船の方が無難だろうし、海に入りやすい船の方が儂らにはありがたいな」
十三の呟きにゲンが頷く。
アイドルグループを作るという夢がある十三は当然この島を出てメイン大陸を目指すのだが、どうやらゲンたちもついて行くつもりのようだ。
「ん?ゲンさんたちもついて来るのか?」
「まぁ、儂らは兄弟のようなもんだしな。お主に手を貸すのも吝かではない」
「なんで上から目線なんだ?」
「そう気にするな。人手があった方がお主も楽だろう?」
「そりゃそうだけど」
現に今、十三がここで検証している間にもクラは漁に出ているのだ。しかし、クラもゲンも高クラーゲンであって、ヒトデではなかったが。
ともあれ、沈没船やその他を引き寄せるとしてもこのスタンドで行うよりは港でやった方が後が楽だろうということで、十三とゲンは九龍玄女像を港に運ぶことにした。




