さらばノレイエ島 五
途中、己の方針を見失いかけたが、なんとか十三は洞窟内の漂着物のチェックを済ませた。
(やっぱ潜水艦を使うのがベターだな)
この島を出て大陸を目指すにはそれが一番良い選択のようだった。
(拠点に持ち帰ってリセットするのは明日にして今日はゆっくりアイデアを練るかな)
洞窟内にいると外の様子もわからない上に、水没の危険があるためスマホも拠点に置いてきたので、正確な時間はわからないが、何度の潜ったり泳いだりしたので十三は疲れていた。元々インドア派のヲタク青年だ。体力に自信なんてあるわけなかった。
真水で湿らせたタオルで身体を拭き海水を洗い落とす。今日はもう海に入るつもりはない。その後乾いたタオルで身体を拭いた十三はオイルランプを一つイカダに移し、コンロに改造して鍋に火をかけた。
(いやー、これがあったのはめっけ物だ)
満面の笑みで鍋を見つめる十三。その手元にはインスタントラーメンがあった。
漂着物の中に五袋パックのインスタントラーメンが大量にあったのだ。様々なメーカーの様々な種類のインスタントラーメンが二十四パックも。
十三のリセットは対象一つずつ判定する。しかしこの「一つずつ」というのが曖昧なようで、このように五袋パックのように纏めてパッキングされていると「一つ」と判定されるようなのだ。これがパックが破れて五袋がバラバラの状態だと「五つ」となる。
二十四パックなので全てリセットしようとすると神力を二十四点消費しないといけない。いくら食料が欲しいとはいえそれは勿体無い気がして悩んだ十三だったが、ふと「袋破れてないしこのままでもいけるんじゃね?」と思い試しに一つリセットせずにそのまま食べてみることにしたのだ。
「よっしゃ、煮えた」
鍋の湯が沸騰したので麺を茹でる。
ちなみに麺を混ぜる箸や鍋は漂着物の中でそれっぽい物を見つけて代用していた。まさかインスタントラーメンを茹でることになるとは思いもしなかったので拠点から持って来てなかったからだ。
(う〜ん。懐かしい香り)
茹でられるインスタント麺の匂いはかつて自炊していた時によく嗅いでいた匂いとそう変わらない。
コンロから鍋を下ろし粉末スープを投入すると間違いなくインスタントラーメンの匂いがする。
コンロの火は消し、鍋から直接ラーメンを啜る。
「うまい!」
久しぶりに食べたインスタントラーメンはとても美味かった。どうやら賞味期限は切れていたがまだ品質に問題はないようだった。
熱い熱いと言いながらあっという間に完食する。
「ふぅ!食った」
インスタントラーメン一食では満腹とはいかないが、久しぶりにアンキトーストや魚以外の物を食べた十三は満足してイカダにひっくり返った。
(たぶん他のパックも大丈夫だろう。これで少しはマシになるか)
五袋パックが二十四個である。今食べた分を差し引いても百十九食分のインスタントラーメンがあるのだ。島を出ても航海中漁は行うつもりだが、毎日大漁というわけにもいくまい。それにアンキトーストもいつまで食べられるかわかったものじゃない。となるとこの袋麺は非常に有り難かった。
…栄養面で十分かはわからないが。




