さらばノレイエ島 四
拠点に戻った十三は寝床から寝袋と毛布を持ち出しイカダに積み込んだ。糖分水分補給のための缶コーヒーやペットボトル飲料は多めに積み込む。海に入ることを考えたら上がった時に清水やタオルも必要だろう。タオルは拠点に十分あるので、多めに持っていくことにした。水は毎日作っていた蒸留水を空のペットボトルに入れて持っていけば良いだろう。
あとは灯りだ。
空き缶を利用して作ったオイルランプを拠点の寝床に置いてあるのでそれを持っていくのだが、あの洞窟にランプ一つは心もとない。空き缶とウエスがあれば簡単に作れるものなので、十個ほど追加で作り持っていくことにした。
(今日は裸族でいくか)
これから海に入る予定で、しかもそのまま洞窟に泊まりこむつもりだ。元より替えの服はないので、潔く全裸で出発することにした。どうせ誰かに見られることもないのだ。
再び洋上の人となった十三はすぐさま洞窟に戻る。
イカダを奥に進めつつ、窪みを利用して壁や鍾乳石に棒をかけていく。この棒にオイルランプを提げるのだ。手持ちの十数個のオイルランプをかけると洞窟内も十分明るくなる。
「さてと何があるかな?」
イカダを手頃な石柱に係留した十三はそう呟き海に入る。洞窟入り口はそれなりの深さだったのだが、漂着物がある奥の方は二メートル弱の水深だ。よく澄んでいるので「潜ってみてもよく見えなかった」なんて心配は無用だ。
とはいえどちらかと言えば山間部の田舎に住んでいたインドア派のヲタク青年だった十三はあまり泳ぎは得意ではない。海水浴は小中学生の頃の思い出まで遡らないといけないし、プールにすら高校卒業以来縁がなかった。
苦戦しつつも何度か潜って泳いでどんな漂着物があるのか確認する。
(しまった!)
しばらくして十三は気付いた。
「リセットするにしても海に浸かったままではいけない」と。
水中でもリセット能力は使用出来る。ただ、海に沈んだ状態でリセットしたところでまた海水でダメになるのだ。仮に壊れなくてもびしょ濡れは免れない。これが電化製品ならオシャカだろう。
(ぬぅ、こんなことなら一旦全ての漂着物を拠点に持ち帰ってから精査した方が良かったかも知れん)
わざわざ洞窟に泊まりこんで神力の有効活用法を考えるよりも一旦全部拠点に持ち帰ってゆっくり考えても良かったのだ。
(いや待て慌てるな、これは公明の罠だ)
運ぶのも手間だ。特に潜水艦などはリセットして使えるようにしてから移動させた方が良いに決まっている。精査してから運んだ方が楽なはずだ。
十三はそう思い、自分の判断が間違いではなかったと再確認した。
どうやら十三は峨眉山羅浮洞の仙人の策略を回避出来たようだ。
ただ実際のところはどちらの案も一長一短でどちらもそれなりだったのだろうが。




