MORITARIN 26
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Episode -7 A
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ものすごく巨大な木が一本見える。
枝ぶりの豊かなその木には、自ら光を放つ神秘的な実がたわわに実っている。
そして木の最も大きな枝の上にもたれかかって横になっている誰かが見える。
彼は木の実を一か所に集めて、せっせと食べ尽くすのにかなり忙しそうだ。
近づいてみると彼は伝説と呼ばれる守護者〜 赤い鶏、イトだ。
その木の下を行き来する数多くのオルピンたち!.. 彼らは赤い鶏イトを見上げる。不満と怒りの眼差しでいっぱいだ。
それでもお構いなしに〜 イトは次々と実を摘んで飲み込み、腹が膨れたせいだろうか?
横にさっと寝返りを打って、眠るかのように目を閉じる。
それからそっと閉じた目を半分ほど開き、深いため息をついた。
数時間前、ロギの頼みで過去を思い出していたら、忘れていた記憶が次々よみがえって気持ちが重くなった。
イトはまた目を閉じ、かつてのイナの理解できなかった行動を思い返してみる。
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特別なことのない、ある平凡な日—。
イナは家で休んでいたイトとエノイに、しきりにせがんでくる。
息苦しいという理由で始まったせがみに、結局エノイとイトは半ば強制的な散歩へと連れ出されてしまった。
「木を見て、すごくきれい!」
「花もどう? あら、空気が澄んでる。出てきて本当に良かった!」
散歩道のイナは普段より目立ってよく喋った。
絶え間なく感嘆をこぼし、明るく笑うイナの姿……。
だがイトは、そんなイナの行動がただ嬉しいだけではない。
「……?」
イトは少しぎこちないイナの様子に、目でエノイへ何度も『これはどういう状況だ』と合図を送ったが、
エノイもまた両手のひらを空に向けて肩をすくめ、『俺も知らない』という合図で返した。
「¯\_\_/¯」
俺にだって分かるわけないだろ、というはっきりしたサイン。
二人の男は互いの様子をうかがうだけで、相変わらず休む間もなくお喋りするイナの後を黙ってついて行くだけだ。
イト : ははは… そうだな、天気がいい。ところで今日は何の日だ?
(イトは目を見開いて、エノイに答えを求め続ける。)
エノイ: そうだな… 今日は何の日だったっけ?
イナ : 何の日?
明るく笑っていたイナの表情が急に固まり、声を荒げて言った。
イナ : 「あ、酔いたい。ビター飲みに行こう!」
(ビターは香ばしくて香りの豊かなビールだ。)
それと同時にイトとエノイの両腕を引っ張って、急いで移動しようとする。
イトはまたエノイを睨みつけ、エノイももどかしさに本音を吐き出してしまった。
エノイ: イナ! どうしたんだ? 言いたいことあるのか?
イナ : 言いたいこと? …ないけど?
エノイ: イト、睨むな〜 俺も知らない! お前が聞けよ!
イトは頭を反らせて額に手のひらを当て、苦しそうにする。
イナ : ビター! ビター! 早く! 早く!
イト : そうだな〜 俺も分からん! 行こう、ビター飲みに!
イナ : うん、うん! ビター! ビター! (にこっ)
しばらくして、ビター屋では程よく酔ったイナの隣にイトが、向かいにエノイが一緒にテーブルに座っていた。
みんなビターと美味しい揚げ物を味わいながら時間を楽しんでいる。
イナは過去のイトとの思い出を思い起こし、泣いたり笑ったりを繰り返す。
実はイナは強い子で、普段はあまり泣かない。
イトはイナが泣く姿を最後に見たのがいつだったかさえ覚えていない。
そんなイナが今日に限ってたくさん涙を見せるので、イトがもどかしくて口を開く。
イト: ニア… 最近何か嫌なことがあるみたいだ。言ってみろよ。俺が助けられるかもしれないだろ?
(同時にイトはエノイへ「そうだって言え、早く乗ってくれ」という手振りを見せる。)
エノイ: そうだ! 言ってみろ。何でも手伝うよ。
イナ: …
しばらく黙っていたイナは、唐突に話題から外れた質問をイトに投げた。
「イトは本当に… 老けないし死なないの?」
イナの質問にイトはエノイを一度見てから答える。
「ん? …あ… うん… そうだ。なんで急に?」 イトは無理に笑って雰囲気を変えようとした。
「ははは。俺が死なないのが悲しいのか? それが悲しいことか? ははは。」
それにエノイもつられて笑い、「ははは。死ななかったらいいだろ。俺もそうだったらいいのに。ははは」と答える。
ところが突然、イナが声を上げて泣き出す。
「どうしたんだ、イナ。泣くな。なんで泣くんだよ。」
イトはイナが大したことでもないことで泣いているように宥めようとするが、突然イナが泣きながら叫ぶ。
「私たちみんな死んでいなくなったらどうするの! 一人でどうするのよ!」
イナはまた声を上げてわんわん泣き始め、まるでさっきの涙なんて泣いたうちに入らないと言わんばかりに、
ものすごい勢いで泣きじゃくり始める。
それにイトは元気のない様子と言い方で答える。
「…俺の心配するな。どこでもちゃんと食ってちゃんと生きていくさ、たぶん。」
その瞬間イナが睨みつける。
「誰もいなかったらどうやってちゃんと生きるの! 一人でどうやって生きるのよ!」
イナは込み上げる感情を抑えきれず、イトに泣きながら問い返した。
エノイは何か言いかけて一度止まり、独り言を口にした。
「そうだな。俺たちがみんな去っても、イトは一人残るんだな…」
イトが答える。「心配するな。その時も俺はセラノアを守りながら幸せに生きていくさ……たぶん。」
イトの答えにイナは「バカ…」と一言だけ言い、ビターをぐいぐい飲み干した。
数分後、ひどく酔ったようなイナがイトに質問する。
イナ : イトは… いつ生まれたの? どこで生まれたの?
イト : それは… 俺も知らないって言ってるだろ。
イナ : どうして… それを知らないの! このバカ!
エノイ: イトはどうして過去の話をしてくれないんだ? いつも気になってたけど…
イト : うーん…
イナ : 言ってみて。早く!
イト : なんでそれが気になるんだ?
エノイ: 気になるだろ〜 俺たち家族なんだから!
イナ : そう! 家族なんだから!
イト : 知ったら俺が嫌いになるぞ?
イナ : なんで嫌いになるの、バカ! 言って、早く!
悩んでいたイトが慎重に答えてやる。
イト : …俺はな、実は…
イト : 宇宙最悪のごろつき!
イト : チンピラ! みんなが怖がる悪いやつだったんだ!
イトは手振りの描写も加えながら一生懸命言った。
そんなイトを取るに足らないものを見るように眺めるイナ…
イナ : ふざけてる! 何が怖いの、あんたが!
(イナは勢いよく立ち上がり、イトのくちばしを掴んで振ったり、引っ張ったりしていじめる。)
イト : うぐっ… 助けて、エノイ。何してんだ。
エノイ: めんどくさい…
エノイ: イトがごろつきだなんて…
エノイ: まあ、ロラン(ゴルディク皇帝)やセイジ(バラク女王)にする態度を見れば、宇宙のごろつきなのは確かだけど…
イナ : そう? ごろつきだね。悪いごろつき! (さらにイトをいじめるイナ)
イナ : おしおきだ。
エノイ: じゃあ当時は『ごろつきイト』って呼ばれてたの? それとも別の何かで?
イト : いや…! 『ごろつきイト』だなんて! 口が悪いな!
イナ : 宇宙のごろつきだって言ったじゃん! (くちばしを離さないイナ)
イト : それでもそう呼んじゃだめだろ。俺だって一応守護者なんだ!
エノイ: だよな! で、何だったんだよ? ただイトだったのか?
イト : 俺? …その… 『ブタ』…
イト : 『ブタ』って呼ばれてましたよ。 (とても平然としている。)
イトは足を組んで腕を組み、鼻高々みたいな態度を見せた。
イナ : えっ、『ブタ』だって! 完全に『デブ豚』だったんだね! (イナは泥酔状態だ)
イト : 『デブ豚』だなんて! 『ブタ』じゃなくて『ブタ』じゃなくて『ブタ』じゃなくて『ブタ』じゃなくて『ブタ』って…! いや、『ブタ』じゃなくて『ブタ』じゃなくて『ブタ』じゃなくて『ブタ』じゃなくて…! 『ブタ』だったって言ってるだろ! 勘違いが多いな。
イト : 今日はみんなどうしたんだ!
エノイ: なんで『ブタ』って呼ばれてたの?
イト : いや、理由なんてあるか。 그냥『ブタ』だった。もう聞くな。思い出したくない。
イナ : うわ、冷たい〜 そうだ、そうだ! 宇宙のごろつき! 冷たいにもほどがある。
イナ : だからごろつきなんだよ、あはは〜
イト : こら、無礼だ! こう見えても俺は…!
突然イナがイトの前に倒れ込む。ぐったりしたイナ。
イト: ニア! 何だよ、俺が話してるのに… え?
イナがぐうぐうといびきをかく。イトはそんなイナを一度見て言う
「やれやれ… 夢の国へ行かれたか。はぁ。」
ビターの杯を飲み干したエノイが立ち上がり、「イト、行こう。まあ、そのうち収まるさ。」と言った。
「そうだな。行こう。何か悩みがあるんだろうな。言ってくれない。エノイ! お前が払え。」
「なんで俺が払うんだ? イトが払えよ!」
それにイトは(左手でイナを背負い、右手をエノイへ見せながら)
「じゃんけん!」
イトの背におぶわれたイナが寝ぼけて呟く。
「んにゃ… くそ… デブ… この… ごろつきデブ…」
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