MORITARIN 23
...
Episode -6 B
ここはイナと同じ時間、別の場所だ。
青い空の下、暖かな陽射しによって様々な商品が美しく輝いている。
数多くの人々で賑わい、笑い声と足音が入り混じるこの場所は活気あふれる伝統市場だ。
この場所で一人の少年があれこれ見回しながらのんびりと買い物をしている。
『イナ』の兄『エノイ』だ。
彼の背後から、背が高くたくましい誰かがエノイを呼びながら大股で近づいてくる。
赤いマントを羽織った彼はエノイの肩に手を置きながら言う。
「このままだと俺たち二人とも死ぬぞ、菓子を買いに出てきたのに… もう三時間もとっくに過ぎてるって!」
エノイは大きく笑いながら答えた。
「ははは、イト! 本当だな。俺たちもう死にそうだ。ははは。」
二人は菓子を一つ買ってくると言って家を出たが、いつの間にか市場の中でのんびりと余裕を満喫していた。
「急いで戻らないとな… 残念だけど。」 二人はまだ十分に楽しめていない表情だ。
エノイはきょろきょろと見回しながら未練を捨てきれない。名残惜しい気持ちを後に重い足取りで引き返そうとしたが、
遠くの方がひどく騒がしそうだ。なぜか多くの人々が集まりざわめいている。
それにエノイは「どうしたんだ? 何かあったのか?」と尋ねた。
その時、ざわめいていた人だかりの中にいた一人がイトを見つけ、急いで駆け寄りながら叫ぶ。
「イト様、大変です〜 助けてください!」
イトは振り向いて言った。 「はい? どうなさいました?」
駆けてきた彼が慌てて言った。 「バラクです… 市の外れにバラクが現れました。」 多くの人々がイトを見つめる。
エノイが「イト、早く行ってアンクたちを助けてくれ!」と言うと〜
イトはエノイに『先に家へ戻れ』と言ってから、事故現場へ体を向けようとしたが
「エノイ、早く戻れ… 俺から先に助けてくれ。」そう言うと空へ高く舞い上がり素早く飛び去った。
イトの後ろ姿を見つめながらエノイは呟いた。
「ははは、イトはイナが一番怖いのか?」
♦︎ ♦︎ ♢ ♦︎ ♦︎
イナがイトを抱きしめてから、イトは少しずつ落ち着きを取り戻していく。
それでイナの質問一つ一つに、ようやく答えられるようになったが
イナが尋ねた
「え? 一人って? どうして一人なの? 周りに誰もいないの? なんで一人なの!!!」
[
「うん!! もう俺のそばには誰もいない… 俺が失敗したせいでみんな消えてしまった。」
突然興奮したイトは言葉を早口で続ける。
「俺はもう一人だ!! 永遠に一人だ!!! 誰もいない…」
「ニア… すごく会いたかった… またお前に会えるなんて… こんな贈り物があるか?」
イナは戸惑いながらも、もう少し冷静でいなければならなかった。
イトが取り乱して話す言葉がどうしても理解できなかったからだ。
「とりあえず!… あなたどうして体が… 小さくなったの? え? どうして?」するとイトはまた支離滅裂に話し始める。
「それが!! 状況はどんどん悪くなった! やっと見つけた治療剤をアンクたちに分けようとしたのに」
「ポルンが俺を裏切った…」
「俺は力を失ってバラクに捕まって身動きが取れなくて… 審判の種が… うぅっ…」
「みんな飲み込まれてしまった… うぅっ、俺の目の前でアンクたちがみんな飲み込まれたんだ!」
「俺はただ見ていることしかできなかった…」
今のイナの表情はとても真剣だ。だが何を言っているのかまったく理解できない。
「え…? つまり… ポルンって誰… 種って何… アンクを何が飲み込んだの?」イナがもう一度尋ねた。
「審判の種がアンクを飲み込んで、俺はバラクに捕まったのに力を失って逃げることもできず…」
「しばらく捕まって過ごしてたら… 後でポルンが助けてくれたんだけど謝ってきたんだ!」
「うぅっ、知らなかったって… うぅっ、うぅっ…」
イトの答えを聞くほどに、イナはますます深い迷宮へと迷い込んでいく。
「ポルンが謝った?…」 [首をかしげる表情]
それにイトは「うん、謝ってた」 うぅっ [号泣]
再び頭の中の情報を整理しながらイナが問い返す。
「あ… うん… それで治療剤? その治療剤って何…」
イナが
「通信状態不良」
「通信状態不良、交信信号が弱くなりました。接続を終了します。」
MBの警告音が終わる瞬間、イナの目の前でイトの姿がぼやけていく…
空間接続用手袋で抱きしめていたイトが煙のように消えていく。
いくら手で掴もうとしても、もう掴めない
イトが徐々に空中へ浮かび上がる その姿が散っていく。
「だめ、イト! イト!」
遠くからイトの悲鳴が聞こえるが信号が弱い。今やその声さえもぼやけていく。
イナはイトを引き止めたい。
虚空に腕を振り回しながら絶叫する。
「イ〜ト〜!」
...




