MORITARIN 21
...
Episode -5 F
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宇宙空間を移動する通路〜 フェルトライン
ここでは今、イトの悲鳴が響き渡っている。
「キオ~~~~」
高速で移動していたイトが、小惑星からそのまま落ちてしまう。
だがすぐに重力によって小惑星へ引き寄せられ、着地する。
今の状況が気に入らず、不満でいっぱいのイト。
彼の移動用小惑星の周りを回っている小さな太陽と月が、しきりに顔にぶつかってくる。
イトは面倒くさそうに、その太陽と月を手の甲で一気に払いのけた。
「こんにちは ご主人様〜」 小惑星がイトに挨拶する。
それにイトは答える。 「おお! 喋るのか?」
「はい、私はご主人様の旅をお手伝いする小惑星ビドです。」
「…ただイトって呼べ、主人って何だよ!」 イトはビドの上にどさっと座り込む。
「はい、イト様〜」
イトは面倒くさそうに言う。 「で、俺は今何をすればいいんだ?」 [首をかく]
「はい、フェルトを通過される間に、地球の情報と関連任務について十分に学習していただければ結構です。」
「フェルト? 通路の名前がフェルトなのか〜 それより俺の任務って一体なんだよ〜」
「まずは地球の歴史を勉強していただきます」 突然、小惑星の下から丸い食卓と分厚い歴史書が現れる。
「……これ、どこから出てきたんだ?」 (表紙だけ眺めて置く。)
しばらくして、イトはだんだん腹も減ってきて苛立ちが込み上げてきそうになるが、ちょうどその時、惑星の下から水とパンがいくつか食卓の上に上がってくる。
十分な水と食べ物を摂取したイトは、気分が良くなったようだ。
ようやく目の前に置かれた分厚い本を開き、ゆっくり読み始める。
長い時間、歴史書を読んでいると(「チリン チリン〜 チリン チリン〜」)どこからか小さな信号音が聞こえる。
本を見ていたイトが尋ねる
「何だ? ビド、何の音だ?」 ビドはすぐに惑星の下から赤い手袋片方をイトの前に差し出す。
「ここから聞こえる音です イト様」 驚いたイトは急いで手袋を手に取る。
「おっ、これは前に俺が使ってた手袋と同じモデルじゃないか!」
イトはすぐに既存の手袋を外してビドに渡し、新しい手袋を装着する。
その間もベルの音は鳴り続ける。イトは慣れた手つきで装備を操作し、音の原因を確認する。
通信が来ているのだ。イトはすぐに接続ボタンを押す。
「誰だ? 誰だよ?」 [現在イトには通信が来るような周囲の知人がいない状態だ]
その時だった。突然、イトが移動中のフェルト空間が『ぐらぐら どろどろ』と揺れ、移動速度がひどく遅くなるのを感じる。
空間が不安定になると、多くの雑音によって周囲が騒がしくなり始める。
「よ〜 赤い鶏、無事に移動中か? 気になって連絡してみたんだ〜」
黄金のフクロウ、ポルンだ。どこか明るくなっていたイトの表情は急激に暗くなる。
「さっき通路に入ったばかりなのに何が気になるんだ! 暇か!!?」 [イトの苛立ち混じりの声〜]
「あ… その! 俺は大体半月くらい経ったと思って連絡したんだよ〜 フェルトは光より何倍も速い移動通路だから〜 もちろん俺の位置の速度も重要で…」
ポルンの話が長くなると、イトはさらに苛立った。
「不便なことはない! 地球に着いたら連絡するから連絡してくるな! お前のせいで今通路がおかしくなってるじゃないか!」 それにポルンが答える。
「お! それは俺がいる位置が自然時間の流れだからさ〜 通信のためには一瞬お互いの時間が同じにならないといけないんだよ ハハハ」
ポルンが加工時間と時間遅延を説明しようとしたが、イトは即座に通信を切ってしまった。
「プツッ」
♦ ♦ ♢ ♦ ♦
ここは誰かの部屋だ。
部屋はきれいに整えられており、温かなぬくもりとともにほのかな香りが漂っている。男の部屋ではなさそうだ。
本棚には何冊かの本と人形、そして花瓶が整然と並んでいる。
ドレッサーもある。鏡の前、本来なら化粧品があるはずの場所には何もなく、代わりに正体不明の
奇妙な手袋とヘルメットがしっかり固定されている。
部屋の一角、ベッドのそばには大きな窓がある。少し開いた隙間から涼しい風が吹き込み、カーテンを揺らす。
ベッドの上には大きな枕を抱きしめた一人の少女が見える。彼女は親指の爪を噛みながら苛立っている。
「こいつら、お菓子買ってこいって送り出したのに、3時間も経ってるのに帰ってこない!! 来てみろよ。」
赤い髪に白い肌をしたその少女は、次第に理性を失っていくようだ。
とても危険そうだ。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
頭に白い帯を巻き、机の前で頭をぐっと下げたまま、ビドと共に地球の歴史を勉強しているイト!
一生懸命ペンを握り、ノートに要約している。すると突然イトが叫ぶ。
「地球の奴らはしょっちゅう戦争だ!」
イトが勉強していたノートを押しやり、大声でまくしたて始めた。
「これが、これが歴史の勉強か? 戦争の勉強だろ!
……俺が前に守護者だった頃はな、戦争なんてものはまったくなかったんだ! ビド! お前は知らないだろ?」
イトの熱弁にもビドは何の感情もなく答えるだけだった。
「はい、知りません。」
ぶっきらぼうな返事にイトがビドを睨んだその時だった。
イトの手袋から再びベルの音が鳴り響いた。
「チリン チリン〜 チリン チリン〜」
忙しいのに面倒なことに直面した表情になったイトは、とても面倒くさそうに電話を取った。
「もしもし……。」
相手はまたポルンだった。受話器の向こうからポルンの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「よ、イト! 変わりないか? 久しぶりだな?」
それにイトは「おう、久しぶりだな〜」
ととても短く嬉しそうに返してやると、そのまま直ちに通信を終了してしまった。
「プツッ」
続いてまたベルが鳴る。
「チリン チリン〜」 イトは素早く通話ボタンを押した後…
「変わりない!」 そう自分の言いたいことだけ言うと通信終了を押す。
しばらくしてベルがまた鳴る。イトはもうベルの音を無視することにした。
だが鳴り続けるベルの音に、結局通信ボタンを押して勢いよく立ち上がり〜 叫ぶ。
「もしもし! …もしもし!」
相手からは何の返事もない… それにさらに腹を立てたイトは叫び続ける。
「言え! もしもし! 言えって! 言え〜」
その瞬間、低く押し殺した相手の声が聞こえてきた。
「これが何をしたって怒鳴ってるの!! それに何様よ〜! 勝手に電話を切って!」
(『誰だ?』ポルンじゃない。イトは固まった。)
瞬間、過去の記憶とともにこの声の主が誰なのか分かってしまった。
自分の左腕を見つめながら「あわあわ」とするイトの手袋からは
ある怒りに満ちた女性の声が聞こえてくる。
「どこにいるの! なんで来ないの! 死にたいの!!~~」
さらに声を荒げる女性の声… イトは完全に凍りついた。
「なんで黙ってるの! あんたどこ? どこなのよ!~」
どさりと座り込んだイト… 足から力が抜けてしまった。
イトはなぜかずっと落ち着かないまま〜
「に… に… に……」
-5 F END
本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。
小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、
ご興味がありましたらぜひご覧ください。
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今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。




