MORITARIN 20
...
Episode -5 E
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
ここはクラクの村
クラクたちは勇者たちの帰還が遅れると、少しずつ焦りが募って落ち着かなくなる。
クラクたちは今すぐやるべきことを後回しにして勇者たちを待っていたが、どうにも手につかないのだ。
もしかして悪いことが起きたのではないかという恐ろしい気持ちが湧いてきた。
しばらくして地面に小さな振動が感じられる。
「勇者様たちが来るのか?」クラクたちの顔がぱっと明るくなるが、
遠くで見張っていた衛兵が叫ぶ
「きょ〜だいな獣が近づきます!」クラクたちは喜びながら村の入口へ集まり始めた。
続いて驚いた衛兵が必死に駆けて来て叫ぶ
「違う!」
「隠れろ!獣が違う〜獣が違う!!」
その警告に、クラクたちは魂が飛ぶほど驚いてあちこちに隠れ場所を探すのに必死だ。
しばらくして二人目の衛兵が叫ぶ。
「勇者様だ!宇宙勇者様がおいでになる!〜」
驚いたクラクたちは喜びながら再び村の入口へ集まり始めた。
ポピーとプップが全力で駆けて来る。
そしてダビと仲間たちを速く安全にクラクの村まで運ぶことに成功する。
ポピーよりも大きいプップを見たクラクたちは驚きを隠せないが、巨大な獣の中でここまで大きい奴は
初めてだったのだ。
長老: 「勇者様、この獣は何なのですか?いったいどういうことなのですか?」
ヨナ: 「長老様、それがですね〜」
[ ヨナは長老に、星が落ちた場所で起きた出来事をよく整理して説明し始める ]
パイ: 「私たち、どうして勇者になったの!」
[ きょろきょろしながらダビを探すが、ダビはもう隠れて姿が見えない ]
ヨナの説明を聞いていたクラクたちの顔には、喜びと感謝がいっぱい詰まっているように見える。
クラクたちは勇者たちに近づき、手を握ったりぎゅう〜っと抱きしめたりして感謝の気持ちを伝える。
そのときネブは友だちと一緒に勇者様たちのために用意した、村の自慢「モモロ」をかごに入れて持って来る。
ダビ: 「ネブ、これ何?」
ネブ: 「はい、これは私たちが特別な日にだけ作って食べる村の自慢『モモロ』と言います。」
レオ: 「え?モモロ?!」
ネブ: 「はい、召し上がってください。本当に美味しいです。」
ロギ: 「よかった、お腹すいてたし ㅎ〜」
パイが一番先にモモロが入った器を受け取った。
「ネブ、ありがとう」
パイはスプーンで器の中のモモロをあちこち確かめると、優しい笑みとともに大きく一口味見した。
「勇者のみなさん!本当にありがとうございます」ネブが込み上げる感激と感謝を込めて挨拶している最中だ。
子どもたちはネブの言葉が終わるのを待ってまだモモロを食べていない。
ところがパイが口を開いた
パイ: ........まずい [眉間をしかめる]
エティ: ..えん?
ネブ: え?
友だちは丸い目と開いた口でパイを見つめる。
彼らの視線は言う。(なんでそんな余計なことを....)
だが気にしないパイはまた言う
「すごくまずい」
イトはパイの反応がすごく面白いが、やはり見守ることにする。
パイ: これはただ…なんていうか…[不満そうな顔]
エティ: へ..へ.. パイお姉ちゃん…どうしたの〜 [ぎこちない笑いで状況を…この空気を変えたいエティ]
パイ: これは小麦粉のお粥だ….. [器をネブに返すパイ]
パイの表情が冷たい。
その友だちも村のクラクたちも、パイの一挙手一投足に極度に緊張する。
パイ: ちょっと待って、見て.. [きょろきょろする]
レオ: う..うん…..
様子をうかがいながら〜そっとモモロの味を見たレオが友だちに近づき、ささやく。
「本当にまずいな。ほんと小麦粉のお粥だ」
パイはネブが来た方向へ向かいながら尋ねる。
「ネブ!これ、どこで作ったの?」
ネブは慌てて言葉を詰まらせながらパイを案内する。
「そ…そちらへ…つ…ついてお…おいでください..」
パイはしばらくして料理していた場所から出て来た。
そして何も言わずに、村の裏手へ歩いて行き、元気が出る小さな実をいくつか持って来て、レオとダビに渡しながら言う。
パイ: 急いでるから、とにかく私の言う通りにして
ダビ: え…
パイ: かまどが必要…一つ作って、早く!
レオ: かまど作れないけど
パイ: いいえ!作って。エリと一緒に作って!
エリ: え?…..
パイ: それからみんな、薪も少し集めてきて
エティ: お姉ちゃんパン作るの?[察しの王]
エティの言葉に笑みを取り戻したパイが笑って言う
「このままじゃ帰れない、絶対に!」
パイの声には断固たる決意が宿っていた。
「クラクたちは美味しい食べ物を食べたことがないみたい….. 私は我慢できない、すごく腹が立つ!」
「台所を見たら小麦粉が十分ある!小麦粉が主食みたい….」
「でも塩と小麦粉しかない?…なのに驚いたことにルヴァンを見つけた」
聞き慣れない言葉にエティが首をかしげて尋ねた。
「パイお姉ちゃん、ルヴァンって何?」エティの質問にパイは優しく答える
「イーストみたいなもの。パンを膨らませる時に使うよ」
パイは植物と動物を愛し、料理することが好きだ。
だからいつもではないが、よく勉強部屋で先生に料理を別で習ったりする。これは友だちもよく知っていた。
パイ: 「ルヴァンを見つけたのは奇跡で間違いないけど…」
パイ: 「でも砂糖もないしバターもないし牛乳もあればいいのに、ないものが多すぎるね?」
エティ: 「じゃあ作れない?」
パイ: 「ううん、牛乳は水で代わりにして…バターは何かのオイルで代用できるけど…」
パイ: 「ネブ!」
ネブ: 「は..はい?」
パイ: 「村に食べる油みたいなの、ある?」
ネブ: 「食べる油って何ですか?…」
パイ: 「いい、ないんだね。」
パイは静かに森へ歩みを移す。そして深刻な顔で植物たちと会話中だ。
しばらくしてパイはサトウキビ長者になっている。だが何か不満そうな表情のパイ。
植物たちがパイにココナッツの実を持って来たが、パイは気に入らない。
エティ: お姉ちゃん、どうしたの?
パイ: オイルが必要なのにココナッツは香りが強すぎる (パイの好み)
パイ: だからオリーブが必要だけど、この辺りにはないみたい…
エティ: ポピー!ポピーに聞こう。
パイ: え?ポピーが知ってるかな?
エティとパイはポピーに近づき、オリーブが何かを一生懸命説明中だ。
だが結局意思疎通に失敗してしまう。けれどプップが実の多い場所を知っていると言う。
パイとエティはかすかな希望を抱いてプップに乗りながら言う。
「ちょっと待ってて、すぐ戻る!かまどと薪、準備しておいて!」
時間が経ち、かまどが完成する頃にパイとエティが戻って来た。
パイ: ネブ!あれオリーブだよ〜全部つぶして大きい器に入れて〜
ネブ: は..はい [ ネブは友だちに目配せして一緒にオリーブのほうへ走って行く ]
ロギ: 私たちは何すればいい?一緒にやろう〜
パイ: うん、水を少し沸かして。熱すぎないように〜
エティ: 水!
パイ: うん、つぶしたオリーブに温かい水を注いで、浮いてくるオイルをすくって使うの
エティ: やばい!オリーブオイル作り!
パイがサトウキビを持って来てイトに頼む
パイ: イト〜これらの皮をむいて細かく切ってつぶして、きれいな布に入れて汁を集めて〜
イト: うん〜切るのは危ないから俺がやらないと〜
パイ: それからそれも弱火で煮詰めて〜
ロギ: 私も一緒にやる!
イト: いいよ〜
エリの統率のもと、程よい石のかまどが完成した。
初めて石のかまどを作った子どもたちは大きな達成感と満足感を感じている。
続いてクラクたちは薪を集めて持って来て、レオはかまどに火をつける。
パイはサトウキビの汁で砂糖の代わりにし、小麦粉と塩、そしてオリーブオイルを混ぜ、ルヴァンと混合したパン生地を
完成させた。製パン用の型がないため生地を固めにして、長い発酵を待つ。
発酵の過程とかまどの温度を安定させるまで時間が必要だった。その時間の間、男の子たちは寝転がってごろごろし
パイとエティはクラクたちにパンと果物ジャムの作り方を教えている。
その余った時間に休んでいるイトのそばへロギが静かに近づいて話しかける。
ロギ: イト、何してる〜 [照れくさそうに]
イト: 休んでる〜
ロギ: 聞きたいことがあるんだけど〜
イト: 何?
ロギ: 正直に答えて〜
イト: うん〜聞いて
ロギ: イトはどこから来たの?
イト: それが気になる?
ロギ: うん、気になる〜
イト: あ…俺、どこから来たっけ..
イト: うーん….どこから来たんだっけ…[万感が交錯する]
-5 E END
本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。
小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、
ご興味がありましたらぜひご覧ください。
▼漫画版はこちら
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今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。




