MORITARIN 15
...
Episode -4 D
「みんな、川筋がない! 消えた…切れた!」
ロギは焦って、思いつくまま叫んだ。
「え? 何が切れた?」レオが聞き返す。
「川筋がない!」ロギはもう一度叫んだ。
皆はロギの言葉を理解できない。だが不思議なことに、エティだけはロギの言葉をぴたりと理解して叫んだ。
「船が落ちるよ……」エティの言葉でレオが状況を理解し、大声を上げた。
「滝だ!」子どもたちは仰天した。
レオも慌てて顔を上げて川の水を見れば、ここはかなり高い場所で、まもなくカメ舟は急流とともに地上へ
落下するはずだった。レオがイトに向かって叫ぶ。「イト、滝だ! ここ、すごく高い。俺たちもうすぐ落ちる!」
だがイトは、自分自身すらどうにもできない状況だ。
舟はどんどん速く滝へ向かい、子どもたちは怯えている。そこでパイがヨナに向かって必死に叫んだ。
「ヨナ、何でもいいから持ってるもの全部出して! 何でも!」
パイの必死さに、ヨナは考える。
「何でも?」
そして冷静に、パイの物語をもう一度思い返した。
「待って。」そう言ってヨナはつぶやく。「パイの物語! パイの能力! パイが欲しがったもの!」
パイは以前ヨナに、動植物と会話できる能力と、誰でも治せる力が欲しいと言っていた。
ちょうどその時、ヨナには危機を越えるためのいい考えが浮かんだ。だが、それを詳しく説明している時間はない。
舟が崖から落ちる寸前だったからだ。
ヨナがパイに向かって必死に叫ぶ。
「パイ…叫べ、叫べよ! 助けてって叫べ! 助けてって叫ぶんだ!」
それを聞いたパイは、この緊急時にヨナが馬鹿なことを言っていると思い、怒って叫び返した。
「今それが方法なの!? 誰が助けるのよ、このバカ!」ヨナは本気だったが説明する暇がなかった。
「パイ、お願いだ、叫べ! 助けてって叫ばなきゃ!」
ヨナの言葉にパイはますます腹を立てる。
「誰が助けるのよ、このバカ!」
その瞬間、子どもたちは舟とともに一瞬宙へ浮かび、そのまま重力に引かれて地上へ落下し始めた。
全員が悲鳴を上げたその瞬間、パイもまた悲鳴を上げた。
「きゃあああああ〜〜〜」
パイが恐怖で叫ぶと、滝の脇のいくつもの岩に絡みついていた無数のツタが、一斉にうねり始めた。
ツタ――その植物たちが! パイの悲鳴を聞いて動き出したのだ。
そして地上へ落下するパイと仲間たちを、ツタが素早く引っ掛けて捕らえた。
その後ツタは、ロギ、エティ、ダビ、エリ、ヨナ、レオ、イト、そしてカメ舟まで地上へ移してくれようとする。
滝の下には巨大な水たまりがあり、その周囲に少しの岩場と平地があったが、ツタは皆をそこへ安全に
下ろしてくれた。
パイ以外の友だちは、生きて地上へ降りられたことを喜び、安堵の息をつくが、
パイは遠くでツタと会話していた。
「ありがとう、私たちを助けてくれて〜」
するとツタだけでなく、周囲の植物すべてがパイに挨拶した。
その声はパイにしか聞こえず、事情を知らない子どもたちはパイの行動を不思議そうに見つめた。
ヨナは友だちに「パイの能力」だと言って、これについて詳しく説明してあげた。
極度に緊張していた子どもたちは、緊張が解けると腹も減り喉も渇いて、少し疲れた様子を見せる。
舟の上でぐうっと腹の音を鳴らしたレオが舟に手を置いて言った。「俺、めっちゃ腹減った。」
するとあちこちから「お腹すいた」が出始めた。
ダビ: 食べられそうなもの、ないかな?
レオ: 勉強部屋に行きたい……
イト: 今この物語から出たら、次に戻ってきた時どんな不利益があるか分からない…
ヨナ: そうだな、ここで食べ物を探そう。
ロギ: 物語からいつでも出ると不利益があるんだね…
エティ: のど渇いた〜
この時パイが、何も考えずに「バナナ食べたい」と言った。
するとレオもつられて「こんなところにバナナあるんじゃない?」と言い、ロギも同時に思いついたことを言ってみた。
「パイナップル、ココナッツ!」
子どもたちは森で見つけられそうなものを言い始めるが、その時パイが急に
「ん? 果物の匂いがする気がする。」と言った。するとエティが驚いてパイを呼んだ。
「パイお姉ちゃん!」
皆が一斉に驚いてパイを見る。だがパイは何も分かっていない様子だ。
「どうしたの?」
ヨナが指でパイを指しながら言う。「うしろ、うしろ!」
パイがそっと振り返ると、誰かがまとめて置いたみたいにバナナの房が山ほどある。
驚いたパイはバナナを見るなり、すぐ一本ちぎって口に入れてみた。濃い果物の香りが広がって甘い。
「うわ、これすっごく美味しい!」とパイが言うと、子どもたちも駆け寄って我先にとバナナをちぎって食べ始めた。
目を丸くしたロギが言う。
「うわ、これ本当に美味しいね。」ロギはこんなバナナの味は初めてだった。
一方、隣のレオはなぜか何も言わない。ただ黙々とものすごい速さで食べていくだけだ。
「バナナあるの、なんで見えなかったんだ?」ダビが周囲を見回して言った。その時ふと思いついたエリがパイを呼ぶ。
「パイ! バナナじゃなくて、他に食べたいもの言ってみて!」ロギもパイを見る。
「他? うーん…いちご、桃、スイカ!」
子どもたちは期待の目でパイを見つめるが、しばらく経っても何も起きなかった。
ヨナがバナナを見ながら言った……「それはこの辺で育つ果物じゃない……」
ダビはバナナの皮をむきかけたままヨナを見て尋ねる。
「じゃあ、いけるのって何?」
ヨナは少し考えた後、マンゴー、パイナップル、ココナッツくらいならありそうだと答えた。
そして友だちが驚きそうな事実を言って聞かせる。
「みんな、ここ多分〜 密林なんじゃないか?……」
ヨナは自分の言葉に感心する。鳥肌が立つほどだ…それは震え! そして友だちを見る。
だが友だちはパイナップルのことしか考えていないのか、まったく興味がない。
密林だろうが何だろうが、子どもたちは切実な目でパイを見るだけだ。
皆の期待を一身に受けたパイが森を見つめた。
「マンゴー、ココナッツ、パイナップル食べたい!」
するとしばらくして、茂った藪の中から茎や枝が伸びてきて、パイが言った果物を運び出し始めた。
子どもたちは歓声を上げてマンゴーを手に取ったが、実はそれを食べたことが一度もない。
子どもたちはマンゴーを口に入れる代わりに、手に持ったままくるくる回して見慣れない果物を眺めるだけだ。
「マンゴーってこれ? どうやって食べるんだ……」
そしてパイナップルとココナッツは眺めるだけになっている。
幼い子どもたちは、ココナッツとパイナップルをどう食べればいいか見当もつかない。
それを見たイトが急いで小さなナイフを取り出し、パイナップルの冠を落として皮をむき、食べやすく切って大きな葉の上に
きれいに並べてくれた。やっと子どもたちはパイナップルを思う存分味わい始める。
レオ: 「果物で腹を満たすの、初めてだ!〜」
ロギ: だね! えへへ
ダビ: 果物がご飯になるなんて。[ご飯は食事を意味する]
エリ: 本当! 果物がご飯になるね〜
9個のパイナップルを解体したイトは倒れこんだ。
「はぁ…死ぬ〜」
エティは急いでパイナップルを、倒れたイトの口に入れてやった。
「うまいね〜 さすがエティ、最高だ」
イトの言葉にエティは嬉しくなって笑う。
「きゃははは〜」
レオは一人でココナッツを手に取り、あちこち観察している。
「これはどうやって食べるんだ?……イト〜、これも切って!」
ヨナが近づいてきた。
「それは小さいナイフじゃ切れない〜」
レオが答える。
「じゃあどうやって食べる?」
悩んだヨナが言った。
「割って…?」
その瞬間、レオが両手でココナッツを割った。すると液体が床にこぼれ落ちた……。
「あっ、もったいない」
レオは惜しがりながら別のココナッツを手に取る……ヨナの目がまん丸になった。
「レオ、どうやって割ったの?」
ヨナが言い終える前に、ココナッツはまた割れた。
レオはココナッツの中の液体を飲んでみる。
「くぁ…これ、めちゃくちゃうまい」
またココナッツを手に取るレオ……。ヨナがもう少し近づいた。
「レオ、どうやって割ったのってば!」
レオはココナッツを慎重にヨナへ差し出す。
「飲んでみ、ヨナ〜」
でもヨナは手が不自由で受け取るのが難しい。
だからレオは直接飲ませようとする。
「口、大きく開けて〜 あ〜〜して」
ヨナが座って口を開けると、レオがココナッツを少しずつ口の中へ流し込んでやった。
ココナッツを飲んだヨナは、なんだか頭が冴えていくようだった……。
「レオ! もっとちょうだい〜」
その後、友だちがレオのところへ集まり、レオは手でココナッツを一つずつ慎重に割ってやった……。
だんだん上手くなって、飲みやすいようにココナッツを素手で裂くレオ。
「レオ、あんたの(スーパーヒーロー)の物語、まだ始まってもないのに、なんでスーパーパワー持ってんの?」
ヨナが聞いた。
だがレオも理由が分かるはずがなかった。
そして子どもたちは、少し時間が経ってからようやくその事実を知ることになるが……
レオは体が大きいだけじゃなく、かなりの怪力の持ち主だった。
腹いっぱい食べて気力を回復したダビは、歩き回りながら周囲を見渡す。
横では滝から生まれる川筋の流れが強すぎて、しばらく舟には乗りたくなかった。
見回って戻ってきたダビの表情が悪い。
「変だ。出口がないんだけど?」
子どもたちの周りの鬱蒼とした森には、道と呼べる場所がなく、ダビはそれが変だと思った。
「もともと人が住まない森の中には道なんてないよ。」ヨナが答えた。
「人が通ってこそ道ができるんだよ〜」ロギもヨナの言葉に乗っかる。
「えっ! もともと道がないって?」ダビはかなり驚いている。
「じゃあ道を作りながら出よう!」
エリは意見を出すと同時にきょろきょろして、一つの方向を選んだ。
「ここから道を作ろう。」
エリは言うと同時に、周りの棒を一本拾い、四方を囲む草や枝を押しのけ始めた。
三歩ほど道を作ったエリは、突然棒を投げ捨てて仲間のところへ戻ってくる。
「無理だ、全然できない。」エリはもう諦めた。
ダビがイトを見て言う。
「イト、俺たちどうすんの?」
子どもたちもイトを見るが、イトは泰然としていた。
「知らん。方法を探そう。」
イトはぶっきらぼうに答え、少し前にポルンがイトに言った言葉を思い出す。
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「イト! 子どもたちを見守ってやれ。それがお前の任務で責任だ、いいな?」
[ふてくされたイト]「この姿で誰を見守って責任取れって? 元に戻せって言ってんだろ!」
「イト…それは…ダメだ! お前は観察だけしろ。保護と観察!」
「このフクロウめ! こんな弱っちくて誰を保護すんだよ! さっさと戻せ!」
「ダメ! そうなったら子どもたちはお前にだけ頼るようになる〜」
「保護しろって言っただろ!」[声が大きくなる]
「時が来たら分かる。待て。」
笑っていたポルンは、またイトに襟首を掴まれる。
そんなポルンとそれを見ている大勢のオルピンたち——
「オルピン総司令官・黄金フクロウのポルン」の襟首を掴んで揺さぶる
「赤い鶏・イト」の威厳に、オルピンたちは仰天し、震える者もいた。
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本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。
小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、
ご興味がありましたらぜひご覧ください。
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今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。




