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MORITARIN 14

...

Episode -4 C

♢ ♢ ♢ ♢ ♢


今日も広場に子どもたちが全員集まり、その顔には期待がいっぱいだった。


今日の物語はパイの番だ。


子どもたちは今回はまたどんな「物語世界」を見ることになるのか、ひどく楽しみにしている様子だ。


「私の物語はシンプルだよ…」


「すごく美しい森で、きれいな花を見たり、かわいい動物たちと一緒に自然を眺めるお話なの。」


パイは、自分の物語は気楽に楽しむだけでいいのだと強調しながら内容を説明している。


しかし男の子たちは、説明を聞けば聞くほどだんだん表情が妙に固くなっていく。


ワクワクする冒険や戦闘を少しは期待して来ていたのだ。


ダビとエリは、パイの説明の途中でそっとヨナに近づき、ささやく。


「隠し任務あるよね?」


ヨナはエリの質問に何も答えない。必死に無視する。


それがもどかしいダビが、またヨナを急かし始めた。


「森の中に怪物くらいはいるだろ? 隠し装備とか!」


ダビの怪しい動きを察したパイが叫んだ。


「ダビ、何してるの!?」驚いたダビは慌ててその場を離れる。


[各物語の完成手順はこうだ。


まず個人ごとにヨナと一緒に大きな流れを作り、続いてヨナが別で文章をまとめてイトに渡す。


イトは簡単に検収するだけで黄金のフクロウに丸ごと渡し、


あとは仕上げはフクロウが勝手にやる――その程度で子どもたちは大まかに理解していた。


だからなのか、時間が経つほどヨナにそれとなく圧をかける者が一人二人と現れ始めた。]


ロギが来る前は、子どもたちがイトと会った時間も短かったこともあり、主に短編の物語だけで遊んでいた。


一日、長くても二日で完結する物語ばかりだった。とはいえ長編をまったく作らなかったわけではない。


子どもたちの望みが増すほど物語世界は巨大になり、その過程でヨナは大きな壁にぶつかった。


そのたびにヨナは勉強部屋の先生を訪ね、多くの助けを得た。


先生は物語の流れを分ける方法や章を構成する方法も教え、詰め込むだけだった世界観から「引き算」を通して


最も大切な「バランス」を掴めるようになっていった。


おかげでヨナは長編をいくつかの章に分けて整理できるようになった。


そうして整えた物語は問題なくイトへ渡すことができた。


例えばヨナが準備していた「魔法の子」もまた長編だ。これもまだ完成した物語ではない。


ところが、そのヨナの物語をロギが所持してしまい、今ヨナの手元には何の物語もない状態だ。


だがヨナには物語の種が無尽蔵にある。


それに、友だちの物語を整理するのがたまらなく楽しく、幸せなのだ。


---


やがて子どもたちは集まり、手を重ね合わせて叫ぶ。


「ドリトリ トリス!」


パイの物語が始まると、子どもたちの周囲の空間が変化し始めた。


いつの間にか広大な野原の真ん中に集まって立っている子どもたちは、森へ入る入口を見つめていた。


女の子たちは周りの花々や走り回る小さな獣を見て可愛いと叫び、どうしていいか分からないほどはしゃぎ、


反対に男の子たちは無表情と不満そうな表情の間を行ったり来たりしていた。


幸せそうなパイがヨナに微笑みながら近づいた。


「本当に、私が想像してた場所とそっくり。すっごく綺麗。」


ヨナはパイと一緒に喜びたかったが、自分を睨むエリとダビの視線がひどく重かった。


その時エリが、短く願いを込めて意見を出した。


「スーツを着て森を探検しよう!」


エリの言葉は希望の光の筋のようにダビとレオの目をぎらりと輝かせた。


「そうだ! もし危ない状況になったら困る。スーツを着よう!」ダビが強く支持し、声を重ねる。


しかしパイがまた微笑んで近づき、言った。


「みんな、森の中を少し歩いて入れば、私たちが乗って森を眺められるように舟を用意してあるの。


見たいでしょ?…ついてきて〜」


言い終えるより早く、パイはくるりと背を向けてヨナと一緒に急ぎ足で歩き出し、エティとロギもその後を静かに追った。


男の子たちの小さな反乱はひとまず失敗に終わったが、彼らは「諦め」を知らない。


「でも森の中を歩かずに舟を使うって〜 すごくいいね。」ロギが弾んだ声で言った。


その時ヨナが申し訳なさそうな顔で「実はそれが…」と口を開きかけたが、パイが代わりに遮った。


自分がその言葉を代わりに言うべきだと判断したのだ。


「ヨナは杖があるから長く歩けないでしょ〜」


パイの言葉にロギは、ヨナの立場を考えられなかった自分の行動を悔いた。


それからロギは口をきゅっと結んだまま友だちの後ろをついて行った。静かに自分の頭をぽかぽか叩く。


沈んだ空気を感じたエティが、もう一度明るい旅のために動いた。


「ヨナお兄ちゃん、次の物語ではお兄ちゃんの腕と脚が治って冒険に行くってことに変える?」


エティが可愛く笑って言うと、その純粋な考えにヨナも微笑んで答えた。


「それが…やってみたけどダメだったんだよね〜」


急に空気はさらに重くなった。ロギに続いてエティも口をきゅっと結び、うつむいて静かに歩いた。


先頭を歩くパイの表情は誰にも見えなかったが、彼女もさっきの自分の言葉を後悔して心が重かった。


『私、なんで…ヨナのこと、もう少し柔らかく言えなかったんだろう。』


『杖のせいだなんて…私、正気?』


今日のパイは友だちと一緒に遠足に来たみたいなときめきでここへ来た。


なのに意図せず広がっていく沈んだ空気は何なのか?


後ろからついてくる男の子たちは反乱を計画中で、先頭のパイの一行は


それぞれ自責と後悔の重みを抱えたまま歩みを進めているのだから…。


いつの間にか先へ行っていたパイが、真っ先に謎の舟を見つけて微笑んだ。だが…木で作った立派な渡し舟を


想像していたパイの目の前に現れたのは、ひっくり返った巨大なカメだった。


「そのカメは何?」パイの表情が一気に固くなる。


立派な舟を見つけたと同時に、沈んだ空気を反転させようと夢見ていたパイに、巨大な絶望が重なった。


パイ:「ヨナ、なにこれ? これ舟なの?」


ヨナ:「水陸両用のカメ舟だよ〜」


パイ:「私は木でできた小さい舟を想像してたのに…」


ヨナ:「ごめん…陸でも使えるかなって思って…」


パイ:「なんで陸を移動するの! 森の中だけ回るって言ったじゃん、私が!」[声が大きくなる]


ロギ:「パイ、どうしたの〜? 私、気に入ったけど?」


パイ:「そう…? う〜ん…でもこれはちょっと…」[考え込む]


「お兄ちゃんが杖で森を歩くのは大変そうだけど…」エティがつい口にした。


パイはその言葉を聞いた瞬間、立ち止まった。


(『ヨナが歩きにくいからわざわざカメ舟を用意したのに…私はそんなヨナに冷たく当たったんだ。』)


パイはそのまま固まってしまった。


ヨナはカメ舟のことで落ち込むパイを見て心が重い…頭をかきながらうつむく。


そしてパイは焦るあまり、またヨナに言い間違えたことが本当に申し訳なくて目を合わせられない。


エティも、考えなしに吐いた一言で苦しむパイお姉ちゃんを見ると、なんだか申し訳なくなった。


この混乱の中でロギは、この状況を解決してくれる強力な誰かを切実に願っていた。


その瞬間ロギは、沈んだ空気を変えてくれるいい考えが浮かんだ。


「ところでイトはどこ? なんで見えないの?」


沈黙を打ち破り状況を反転させる、とてつもない叫びだったのか? エティとヨナはロギを愛おしそうに見つめる。


その時、カメ舟の上でイトが姿を現した。


パイがイトを睨む。


「なんで今さら出てくるの? 寝てたでしょ?」しかしイトは平然としている。


「私は眠らない。」パイはイトがつまらない冗談を言ったと思う。


「寝ないで生きられる人なんてこの世にいない!」イトがつぶやく。


「私は人じゃないって言ってるだろ。」そうしているうちに全員が集まった。


子どもたちが一人また一人と舟の上に乗る。するとカメ舟は森の川筋に沿ってゆっくり動き始めた。


カメがひっくり返ったようなこの舟は、カメの頭が進行方向へ向き、各脚が水をかいて前へ進むよう設計されている。


鬱蒼とした森を探検する前までは、それぞれの不満と悩みで苦しんでいた子どもたちは、今やただ無邪気だ。


森の動物たちと壮大な森の姿は、子どもたちにとって驚くほど美しかった。だがエリは思う。


『まさか、このまま終わり?』エリにはそれなりに期待していた特別で驚くようなイベントがあった。


エリが不満いっぱいの表情でダビを見る。ダビも同じ顔だ。二人は同じ気持ちでヨナを見た。


ヨナは必死にその視線を避けていた。ダビが先に近づき、ヨナの肩にそっと手を置く。


ダビ: ヨ〜 まさかこれで終わりじゃないよね? 絶対、特別な状況を隠してあるはずだよな? ね?


ヨナ: …ないって〜(自分も少しだけ残念だ)


エリ: うそ!…サプライズイベント!…期待してる!


ヨナ: どんなイベント…はあ…


ヨナはエリとダビの執着が少し負担だが、その一方で心の片隅に小さな物足りなさが残る。


それは数日前、パイが固い意志を見せて今回の物語ではイベントを排除することに決めたからだ。」


実はヨナも友だちに楽しんでもらうため、さまざまな「隠し任務活動」や逆境を乗り越える状況を演出しようとしていた。


だがパイの容赦ない検閲の前に、なすすべなく不適合判定と削除指示を受けたのだ。


それを知らないダビとエリの切実な眼差しは終わりがない。


ヨナは独り言のようにささやく。


「ああ〜 何でもいいから何か起きてくれ、お願い〜」


しかし森と動物の間の川筋を、巨大なカメ舟で移動しているため、森の動物たちも彼らを避けて隠れ、


逃げて大騒ぎだ。どう見てもこのままでは小さな事件すら起こる可能性がなさそうだった。


パイ: みんな、すっごく良くない? 遠足みたいな感じを入れてみたんだ〜(願いが叶ったみたいに幸せそうだ)


ロギ: 本当に〜 静かで、とってもきれい。


レオ: 思ったより…かっこいいな。神秘的だ。(森の美しさにすっかり浸ってしまった)


パイ: ヨナ〜 私の考えをよく分かって表現してくれてありがとう!〜


ヨナ: はは… はあ〜(心が重い)


エティ: こういうの初めて見た、ひゃ〜!(はしゃいでどうしていいか分からない)


イト: 美しい…香りもすごくいいな〜(ぼんやり、何を考えているのか分からない)


エティは赤ん坊の頃にドトリ村へ来て以来、村の外へ出たことがない。


こんな大自然の壮大さは、幼いエティの口をどうしても閉じさせてくれなかった。


多くの子どもたちが満足している様子に、イトも満足げにつぶやく。


「たまにはこんな日も必要だよな〜」


二人を除いて全員が十分満足しているこの時、ゆっくり進んでいたカメ舟に少しずつ速度がつき始めた。


だが誰もそれを大したことと思わなかった。


舟の上で騒いで楽しんでいる最中、レオだけが舟の速度の変化を少しずつ感じ取っていた。


「うーん…舟、ちょっと速くなった?」


レオは何気なく笑いながら、友だちに一度情報を流してみた。


だが子どもたちの反応はそれぞれだ。


パイ: そうかな?(笑い転げながら答えた)


イト: ここは予測できることがあんまりないからな〜(大したことないように言う)


ダビ: いや、俺はむしろもっと速くてもいい。(退屈な気持ちを込めた)


エリ: そうそう。(ダビの意見に同意する)


パイ: あんたたち、もう諦めなよ。何を期待してるの〜〜 何もないよ。(小馬鹿にするように言う)


イト: パイが物語の主だ。大人しく従え。(答えを決めた)


エティ: お兄ちゃんたちの物語の時、私たちもやらないって駄々こねようか?


意見と対立が交わされていたその時、カメ舟が大きく揺れた。


「きゃあ〜!」皆が驚いて叫んだ。その後、速度が尋常ではないことに気づいた。


「どうしたの?」驚いたパイが口を開く


舟はどんどん揺れ、速度は恐ろしいほど上がっていく。


「きゃあ〜 ヨナ!」パイが責めるようにヨナを呼ぶ。


ヨナ:「俺じゃない!」


パイ:「あんたじゃなきゃ誰なの!」


ヨナ:「俺も分からない〜」


パイ:「なんで分からないの! ダビにやらされてるんでしょ!!」


ヨナ:「違う!」


その時ダビが驚いた顔でヨナを呼んだ。


「ありがとう、ヨナ!」


ヨナは驚きと悔しそうな表情でダビを振り向くが…


「ヨナ〜 私もありがとう。」


エリも感謝の気持ちを伝える。悔しいヨナは目がフクロウみたいにまん丸になった。


「何言ってんだ! 何がありがとうだ! この悪い奴ら…」


[ガタン ガタン]舟が激しく揺れる。


そこからカメ舟は立っていられないほど揺れ始めた。この時は誰も知らなかった。


舟が向かう小さな川筋は幾つもある川筋の一つで、まもなく流れの速い大きな川へ合流するということを。


イト: みんな、何でもいいから〜 しっかり掴まれ!


子どもたちの悲鳴!「きゃあっ!」「うわあっ!」舟が激しく揺れながら巨大な川筋へ突入する。


皆が必死で何でもいいから掴もうとし、その中で力のないエティはレオが全身で守っていた。


必死の中、揺れは少しずつ収まったが、速度だけはどんどん増していった。


エリ: スーツ! スーツを出して!


パイ: …スーツ?…そうしようか。(悪くない目つきだ)


パイ: イト、スーツ出して〜


イトはうなずき、掴んでいた手を放し、フードの中へ手を入れてスーツを探す。


その瞬間、舟が大きく揺れ、手を放していたイトは舟の外へ弾き飛ばされた。


「うわああ!」(ざぶん)「ぶはっ、ぶはっ〜」


驚いた子どもたちはさらに身を縮め、舟の縁を見つめる。「イト〜!」


水の中からやっと頭を出したイトは、舟と一緒に急速に川筋へ流されていく。


だが子どもたちには彼を引き上げる術がなかった。


ダビ: ヨナ!! 隠してある装備はどこだ?(叫んだ)


[子どもたちは驚きつつも切実な気持ちでヨナを見つめる。]


ヨナ:(大声で)隠してるものなんてない! 何もない!


パイ: なんでないの!!!(怒って叫んだ)


すると子どもたちが驚いた目でパイを見た。


船首付近でやっと身体を支えていたロギは、揺れる舟に慣れてくると、


顔を上げて舟が向かう方向を見た。


ロギは何か変だと思った。前に伸びているはずの川の流れが、どこかから消えて見えなかったのだ。


ロギの目には、カメ舟がはるか遠く空へ吸い込まれるように進んでいるように見えた。


まるで川が空へ続く道にでもなっているみたいに。


-4 C END

本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。


小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、

ご興味がありましたらぜひご覧ください。


▼漫画版はこちら

https://www.amazon.co.jp/dp/B0G6MJ6RT9


今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。

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