6/7
ep.6 朝
翌朝。
カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
スマホを確認すると、まだいつも起きる時間より少し早い。
隣の部屋からは、物音ひとつ聞こえなかった。
彼女はまだ寝ているらしい。
起こさないように静かにベッドから出て、顔を洗う。
キッチンに立ち、朝食の準備を始めた。
といっても、簡単なものだ。
パンを焼いて、卵を焼いて、コーヒーを淹れる。
一人分を用意するつもりだったが、ふと手が止まった。
……二人分、作るか。
どうせ彼女も起きたら食べるだろう。
そう考えて、卵をもう一つ取り出す。
そのとき、背後から小さな声がした。
「……おはよ」
振り返ると、寝起きの彼女が立っていた。
「おはよ。起きたんだ」
「うん……いい匂いする」
そう言って、彼女は眠そうに目をこすった。
「もうちょっと待ってて。すぐにできるから」
「はーい」
彼女は素直に返事をすると、椅子に座った。
その様子を見て、思わず口元が緩む。
少し前まで、彼女がこんなふうに朝食を待っているだなんて、想像もしていなかった。
でも今は、それが少しずつ日常になり始めている。
この時間が、いつまで続くのかはわからない。
それでも。
彼女が一時的にでも気休めになるのなら。
ここで安心して過ごせているのなら。
今はそれでいい、そう思った。




