ep.2 いらっしゃい
「お邪魔します」
彼女が俺のあとについて家へ入ってくる。
彼女は律儀に靴をそろえた。
こんなにノコノコと女の子が男の家に入っていいのかっていう疑問はさておき。
床に下ろした彼女の鞄から出てくるものは、服が入っているであろう袋、歯ブラシ、メイク道具、身分証明書、薬、スマホ、財布、大学のパソコン、いくつかの問題集だけだった。
身分証明書には俺と同じ〇〇大学と書いてあった。
(結局同じ大学に進学してたんだ。)
本当に俺が泊まらせてあげれないって言ったらどうするつもりだったのやら...。
「とりあえず、もう夜だからお風呂入っておいで。好きなもの使っていいから。」
そう言って彼女にバスタオルと服を渡した。
「ありがとね。」
そう言い残して、彼女はお風呂へ向かった。
あれ、ここ違うって何度かドアを開閉する音が聞こえた気がしたが、
彼女らしさに懐かしい思い出が蘇ってくる感覚に首を振って慌ててその思考を打ち消した。
とりあえず夜ご飯を買いに行こうと思い、メモを残して家を出る。
そして近くのコンビニに向かった。
戻った頃はまだ彼女はお風呂から上がっていなかった。
ご飯食べるかぁ。
元カノということもあって一緒に食べるのはまだ流石に気まずい。
俺はおにぎりとお惣菜を取り出して、テレビをつけた。
どれくらい経っただろうか。
洗面所の方でドアの閉まる音がした。
「あつしくん、出たよ。シャワーありがとね。」
「おかえり。ご飯買ってきたから、これ食べていいからね。眠かったらベッド使っていいよ。じゃあ俺お風呂入ってくるから」
そう言い残し、着替えを持ち部屋を出る。
部屋から出た時、緊張の糸が少しほぐれた気がした。
緊張しているだなんて、思わなかった。
少し安心する自分に疑問を抱きながら、洗面所のドアを閉めた。




