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――ここは……
次に目が覚めたのは、真っ白な空間だった。周囲を見渡せば、ぽつんと一脚の椅子。そこに腰かける、草色の髪の一人の男性。
――神様
あぁ、そうだ。
向こうの世界からこちらに呼ばれた時、最初に目が覚めた場所。状況を説明され、神様に謝罪され、理不尽な仕打ちに心の底からの絶望を味わった場所。
――おかえり
神様は、微かに目を眇めて口を開く。
「声を、出すね」
「は、い」
何となく、深呼吸。
「君は、これからどうしたい?」
神様の傍に歩いていけば、彼は私の手を取って微笑んだ。
「理不尽を飲み込んで、皆の為に力を捧げた。僕にできる事ならば、君に与えたい」
「……もう、疲れてしまいました。このまま消えてもいいと思ってます」
その言葉に、神様が目を伏せた。
「君は、彼の事が好きだったのではなかったの?」
好き、だった。この世界に来て、ずっと共にいた騎士。私を大切に守ってくれた、彼。
「私は疲れました」
口に出して、……口に出して。実感、した。もう、疲れた。考えることに。誰かの悪意に、誰かの愛情に。すべてのことからもう、逃げたい。何も考えたくない。
「……役目は果たしました。もう、解放してください」
神様は、そうか、と呟いた。
「君にほんの少しだけ残っていた聖女の力を、私の助力で最大にまで引き上げた。その結果、身体に大変な負荷がかかった。このまま過ごせば、きっと近い将来命を落とす」
命を落とす。
それを聞いても、別になんとも思わなかった。
「今の体のままだとそのうち君に痛みを与えてしまう。僕が今から君の体を生成するから、その体で少しの間だけでも暮らしてみない?」
「生成?」
「眷属みたいな感じかな。誰も知らない君になって、少しでも穏やかに余生を暮らしてみるのはどうだろう」
穏やかな余生、ねぇ。
面倒くさそうにため息をついた私に、神様はお願いと頭を下げる。
「少しでも君に恩を返させて」
胡散臭そうな笑みを浮かべる神様を見て、まぁいいかと笑った。
「うん、わかりました。そうですね、少しでも楽しい思い出作りたいな」
それが神様のためだとしても。持つかわからないけれど、罪悪感を薄れさせるのならばそうしてもいいと思うほどには絆されていたのだと思う。
「あ、申し訳ないですが残してきてしまった人たちに説明よろしくお願いします」
「ええぇぇぇ。私、一応この世界の神なんですが。そんな簡単に、人の前に出ないんですが」
「今回は特例で! ではよろしくお願いします」
「全く仕方がないなぁ。まぁうん、行ってらっしゃい。体は大切に預かっておくからね」
「変なことに使わないでくださいね」
……
「君は、私の事をどんな風に思ってるのかなぁぁっ!!」
最後、薄れゆく視界の中、なんだか叫んでいる神様がいたけど、まぁいいか。




