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オジサン?は異世界で、思うが儘に生きて行く!  作者: ベルベットなあきのり


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74話目 ファーマス冒険者ギルド

冒険者の朝は早い。

日が昇る頃には目を覚まし、ガッツリ目の朝食を食べ、冒険の準備をする。

朝一番でギルドに訪れ、ってこのくだりはもう良いか?



昨日は冒険者ギルドの受付嬢シンシアさんにこの街の事を色々と教えて貰った。おすすめの食事処や飲み屋さんを何件かハシゴし、おすすめの雑貨屋や服屋、お風呂の広い宿を紹介して貰い、そこでも部屋で一緒に飲み、一緒にお風呂に入り、一緒に朝を迎えた。

もう昼だが。


「おはよ、リョータ。」


ここファーマス領の冒険者ギルドの受付嬢シンシアさん。

身長は150センチ程と、この世界ではかなり小柄な女性だ。

髪は薄い翠色のショートボブで胸も控えめだ。


「おう、おはよう。そろそろ用意してギルドに行かないと不味くないか?昨日の人が来るんだろ?」


「そうでした。お風呂入ってる時間は無いかぁ。」


「ほら、こっちおいで。はい、これで良しっと。」


「今のって浄化魔法?しかも無詠唱とか…その歳でB級は伊達じゃないね。」


「良いから急ぐ。後で昼飯届けるからな。」


「じゃぁ、この宿のお弁当お願い!」

そう言って慌ただしく部屋を出て行った。


宿にお弁当を頼んだ後、昨日シンシアさんから聞いたファーマス領の内情の事を考える。



王命に従っての奴隷解放は一応されたが、今まで農奴だったのが小作人に変わっただけと言うのが実情のようだ。

しかも他の街まで売りに行けない獣人達は、商人達にかなり安く買い叩かれている上、自分達がファーマスの街で商売をする事も許されていない。そもそも街に入れないので適正な値段も知らないのだろう。

そのくせ「奴隷解放したから」と言って商人達は野菜や穀物の値上げを行なっているとか。完全に悪意のこもった飼い殺しだ。

それでも虐げ続けられた獣人達は少し環境が良くなったと喜んでいるらしい。


良い情報もあった。

日本酒、醤油、豆腐はファーマス領で作られているという事だ。ただ、日本酒は犯罪組織による密造酒で、銘柄は1種類、扱っている店も組織の息のかかった所のみ。表の店で瓶入り、樽入りが売られる事はない。

考えを巡らせていると、宿のスタッフさんがお弁当を持ってきてくれたので、シンシアさんにお届け。

手持ちの素材を確認して、薬草採集の依頼を受けると街の外に出る。



たぶんすぐに見つかると思うんだよな。クラウンに乗って街の近くの森を眺めながらのんびりとおさんぽ。



あった。あそこだ。

街の北東の森。その手前の平原が不自然なほど踏み固められている。

森を調べてみると隠されていたが中へと続く道を発見。

その道を辿り、歩く事20分。

やっぱりあった。



5×10×3メートルほどの建物。

そばには小川が流れている。

まぁ水は大量に使うだろうから、川の側が都合良いよな。


今は昼休みなのか、川べりに座って休んでる獣人が何人か見える。


「お~い」そう言って手を振ると、こちらに気付いた1人が仲間に何か指示を出している。1人が建物に走って行き、残りの4人はこちらに走ってくる。


「何の用だ!オレ達はもう奴隷から解放された。何処で暮らそうが自由の筈だ!」


「ん?俺はファーマスの人間じゃ無いぞ。好きな所で暮らしたら良いさ。それよりもだ、商売の話しがしたいんだが、ここの責任者には会えるかい?」


「商売?ここに金になりそうなもんは無ぇぞ?オレ達ゃ農業が性に合わなくて狩りで生活してるんだが、始めたばかりで食うのに精一杯ってトコだ。」


「はっ、その割には随分と綺麗な格好だな。おっと、お客さんみたいだぜ。」


振り返ると、そこに立っていたのは昨日ギルドに依頼があるとやってきた男だ。


「おいおい、あんた昨日初めてファーマスに来たんじゃ無かったのか?なんでここに居るんだよ。気付くにしても早すぎだろう。」


「それだけここで作られる酒に興味が有るってコトさ。」


「うへっ、何もかもお見通しですか。魔王様は恐ろしいねぇ。」


「あんたがファーマスの冒険者ギルドのギルド長なのか?」


「ああ、タツミだ。しかし何時から気付いてた?」


「何となく違和感があってね。様々な権利が剥奪されているのに、言葉遣いが丁寧な獣人とか、仕事を放り出して外から来た人間を監視する受付嬢とか。

最初はここの領主の仕業かとも思ったんだが、解放奴隷の状況をちゃんと知らせてくれたから違う。

そこでシンシアに疑いを向けた。彼女は色々と教えてくれた。ただ日本酒、米の酒は俺が聞いてから初めて教えてくれたんだ。冒険者ギルドに疑いを向けて、彼女が話す犯罪組織が冒険者ギルドだと仮定して考えたんだ。

たぶんギルドが獣人の面倒をみているんだろう?」


「そうだな。ここは街ぐるみで獣人を飼い殺すつもりなんだよ。ただ、彼女を責めないでやってくれ。これはオレが始めたことで、彼女は少し協力してくれたに過ぎない。」


「もちろんさ。ギルド長なら俺の噂は聞いてるだろ?俺はここの獣人達も救うつもりだぜ?タツミさんにもシンシアにも協力して貰いたいと思ってる。」


「協力は構わないが、何をするつもりなんだ?」


「もう獣人達は奴隷じゃないんだ。農作物を何処に売ろうが自由だろ?

俺が高く買えば商人達も買取価格を上げるさ。人は食わなきゃ生きていけないんだ。」


「おいおい、絶対に妨害受けるじゃねぇか。お前さんは平気でも獣人達はそうは行かねぇぞ?」


「そうだな、その時になったら何人かウチの奴らを連れてくるよ。先ずはもう少し街で情報を集めるよ。出来れば領主にも会っておきたいな。」


「わかった。領主は何とかしよう。情報も何でも聞いてくれて構わない。動く時はちゃんと教えてくれよな?」



その後ファーマス冒険者ギルドに戻り、シンシアも交えて情報共有。

妨害してきそうな商会や、力を持つ冒険者、領主の性格や趣向を教えて貰った。

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