52話目 森を行く
シンクモレイを味わった翌日、昨日作った港の前に探索班が集まっている。
マルシアさんとネロが東側を、オレとガルとジャックが西側を探索する。
今日の分の食糧は持っているが、明日からは朝に狼煙を上げ、ハーピィさん達から食糧を受け取りながら探索。
発見したら配達に来たハーピィさんに伝え、そこからレイ、オレへと連絡。
連絡が届けばオレが戻って回収。届かない時はレイ達に回収して貰う。
その他にもハーピィさん達に空からの捜索と、魔獣に襲われた時もフォローして貰う。
ウィル達はまだ10日程しか島の果物を食べて無いが、ハーピィさん達は違う。ステータスだけなら既に伝説の存在達を超えているのだ。
「みんな集まったね。一昨日話した通り、これから大陸の森に転移します。上空をハーピィさん達が巡回しているので、手に負えない魔獣に遭遇したら助けを求めて下さい。その他にも補給、連絡もハーピィさん達にお願いしてありますので、何か不測の事態が起こったら頼って下さいね。それでは行きましょう!」
「「「おぉー!」」」
マルシアさん、ガルを始めとし、ハーピィさん達含め50名程で転移。
ハーピィさん達はすぐに上空へと飛び立って行く。
俺達はまず森を北に向かう。
森に潜伏していると言っても、ここは危険な森らしいので、それほど深くには入り込んで居ないだろうとの予想から、一度森を抜けて、反対側から捜索する事にしたのだ。
深い森なので、抜けるまでにも時間がかかると思っていたのだが…そこは獣人だからなのだろうか、木の枝から枝へと飛び移りながらお昼頃には森を抜ける事が出来た。
ブレナンさんに見せて貰った地図だと3、40キロ位は有りそうだったのに…
「さて、食事も済んだし俺達も早速向かおうか?目的は森にいる仲間の救出。魔獣と無理に戦う必要は無いからね?」
「はい。リョータさん、同胞の為にありがとうございます。」
「お礼は無事に島に戻った時に。マルシアさん達も気をつけてね。」
マルシアさん達と分かれ、オレ達は西へ向かう。
森を少し入った所で、痕跡が無いか調べながらの移動になるので、移動速度は午前中に比べるとだいぶゆっくりだ。
と言ってもマラソン選手並みのペースは出ているが…みんなちゃんと痕跡の確認してるのか?俺にはわからんのだが?
少し広がって移動しているが、痕跡は無い…らしい。ただ、魔獣に襲われることもないのでかなりのスピードで探索出来ている。
と言うか魔獣達が俺達を避けている。
何度か遠目に発見したが、俺達に気が付くと逃げ出すか隠れる。
あれはオークなのかな?木の陰からこちらを覗いているが、巨体が隠し切れずお尻が反対側にはみ出ている。ちょっと和む。
危険な森で魔獣が多いから開拓出来ないと聞いていたが、そこまででは無いのかも知れないな。もしくは木々を伐採でもしないと襲ってこないのか?
そんな事を考えながら森を進んで行く。
すると前方に煙が上がっていると、先行していたハーピィさんが戻って知らせてくれた。念の為、何か有ったら勝手に接触しないで報告するように言い聞かせていたからだ。
ちゃんと覚えてて偉い。
ガル達と相談の結果、俺を除いた他のメンバーで接触する事に。
いきなり人間が現れても警戒されちゃうってさ。
風下に回り込みながら、煙の上がっていた場所を目指す。獣人は鼻が利くので隠れても匂いでバレるらしい。
俺、そんなに臭うかな?
いよいよ集落らしき物が見えるか、と言う所でガルが身を隠す様にしゃがみ込む。
「こりゃぁオークかなんかの集落ですね。ひでぇ匂いだ。迂回して先に進みましょう。」
「そうだな。ここで騒いでガルの仲間に警戒させてもまずいし、今回は見逃してやろう。」
俺には分からないがかなり臭うらしい。
ステータスが上がっても嗅覚とかは変わらないんだな。
集落を無視して先に進もうとすると、ジャックが人差し指を口元に添え、静かにするよう促してきた。
何か察知したのかと辺りに気を配るが何もない様に思える。
「ジャック、何かいるのか?」
「いえ、逆です。静か過ぎる。オークの集落ならもっと騒がしい筈なんです。もう少し近付いて様子を見ましょう。」
言われるままにジャックの後に着いて行く。集落は丸太を立てて柵が作ってあり、中の様子は伺えない。
しかし、ジャックの言う通り、中から生活音やオークの声などは聞こえない
。煙を見たって報告からそんなに経っていないので、ジャックもガルもこれは可怪しいと訝しんでる。
近くに他の魔獣の群、もしくは黒犬族の集落があって、全員で襲いに行ったのか、或いは何か凶悪な魔獣から逃げ出したのか?
どちらにしても黒犬族に危険が迫っているのではないか?と言う事で急ぎオークの集落を後にする。
ガルが言うには、オーク達は北西へと進んで行ったとの事なので、ハーピィさんをそちらに、俺達は当初の予定通り西へと進んで行く。暫く進み、辺りが暗くなってきたので野営の準備だ。
半径10メートル程の木を土魔法で倒して収納。同じく土魔法で簡単な家を作る。森の中なのでギュッと圧縮して強度を高め、魔獣対策も忘れない。扉は…中から閂掛けるか。
囲炉裏を作って、煙突立てて、おっとお風呂もいるな。後はトイレ…は外に作ろう。
寝るのは毛皮を敷いたらいいかな?暑くて布団なんか被ってられないし。
「おお…あっと言う間に家が出来たな…。これは野営ってレベルじゃ無えぞ。」
「全くです。なんだかマルシアさん達に申し訳なくなって来ました。」
ガルとジャックが何か言っているが気にしない。
「よし、じゃぁ飯だな。せっかく囲炉裏作ったし、ここで魚焼こうぜ。」
木炭に火を付け、前日に用意しておいた、串に刺した魚を並べる。
うわ〜良い雰囲気だ!自在鉤とか作って、鍋も吊るしたいな。道具生成っと!
よし、完璧だ!いや、こうなって来ると、風呂もそれっぽいヤツにしたいな。五右衛門か?やっちゃうか?魚が焼けるまで時間もあるし、やっちゃおう!
ほい、道具生成!
水魔法でお湯入れて、冷めたら炭で追い焚きしよう!
いや〜ビバ野営!ビバ魔法!
楽しくて今晩は眠れないかも知れない!
「なぁリョータさん、明日の探索について話したいんだがいいかい?」
「ん?おぉ、そうだな。オーク達を追って行ったハーピィさんによると、森の外まで出た所で休んでるって事だったな。黒犬族が襲われてるってんじゃなくて一安心だ。」
「ああ、全くだ。山までの距離を考えると、明日には集落が見つかると思うぜ。山に近付き過ぎるとヤバい魔獣が増えるからな。」
「ガルは山に詳しいのか?どんな魔獣が出るんだ?」
「いや、詳しいって訳じゃないが、集落の爺様連中に聞いた限りだと、オーガやワイバーンが群れを成してるって話だ。奥に行けばもっとヤバいヤツも居るらしいぞ。」
「ワイバーンって小さいドラゴンだよな?ドラゴンって美味いんだろなぁ、きっと。」
「まぁ亜竜とか、飛竜とか言われてるな。食った事ねぇし、食ったって話しも聞かないけどな。」
「ま、今日は魚で我慢だな。飯食ったら順番で風呂な。明日も早いぞ。」




