35話目 イラッ
ハルのヤツ、いつの間にウニクに辿り着いたんだ。
弱火でゆっくり肉に火を入れるなんて成長したなぁ。
やっぱり22歳になったからなだろうか?
おっと、ウィル達がまた固まってるな。
あっ!ジャックがモノクル覗いてる!
「ジャック!」
声を掛けてモノクルを返して貰う。
この島で俺に次いで強いのはハルだからね。ビックリするよね?
「そーだ!魔法はまだ使うなよ?【まほう】の数値が低いとすぐに気持ち悪くなって動けなくなるからな?2周間は禁止ね!」
「リョータさん、私も水魔法以外使えません。詠唱句とか無いんですか?」
確かにギルドで見た入門書に書いてあったな。でも無くても普通に使えるんだよな?
「別にそんなの無くても使えるだろう?」
指の間で雷を発生させる。
「それ、どーやってるんですか?私にも教えて下さい!」
「身体の中の魔力を雷にしてるだけだけど?」
「はい。どーやるんですか?」
さぁ困った!俺、魔法どーやってるんだっけ?
「ん〜イメージ?お腹の辺りに有る魔力を、指先に持ってきて、水出ろぉー!って?足に持ってきて竈になれぇーって?」
「足でも出来るんですか!?いえ今はいいです…お腹に魔力……有りますね…これを…指先…へ…」
魔力の移動に必死なのだろう、身体も動いちゃってる。コレットが変な踊りを始めた。
「身体の力を抜いて。俺が初めて魔法使った時よりステータスは高いから出来る筈だよ。」
「リョータ見て!雷!リョータと一緒だね!」
「おっホントだ。一緒だね!ハルは出来たぞ。コレットも自然体で。寝そべってやって見たらどうだ?はい、深呼吸して目を瞑る。お腹の魔法をゆっくり腕まで伸ばして、水出ろぉー!おおっ出来たじゃん!」
「やった!出来ました!出来ましたぁ!」
上には打ち出した水は小さな虹を作り出していた。
「後は慣れだね。回数熟して行けばすぐに発動出来る様になるし、イメージ次第で出来る事も増えていくから。」
ハルは上空から海面に向けて雷を落としてるし、コレットも水球を海に飛ばしてる。
「今日は解散だな。長々と付き合わせて悪かったね。」
「いえ、勉強になりました。マーメイドさんやハーピィさんは皆さん同じ位強いんですか?」
「マーメイド皆同じ位かな?ハルは食いしん坊だからね。多分俺の次に強いと思う。」
「我々が強くなる意味は有るのでしょうか?」
「何言ってんだ。彼女達だって、この島に来て1ヶ月位しか経って無いぞ?それに成長限界は種族によって違うかも知れないじゃないか。俺みたいに限界突破が付くかも知れないしな!」
「1ヶ月…マジッすか!?」
お、ネロのヤツ素が出たな。
「マジッす。ネロも来月にはアレぐらい出来る様になるさ。さっきも話したけど、限界値が何処に有るかだな。3ヶ月もしたら一旦皆のステータス確認するから。」
「ウッス!頑張るっす!」
せっかく帰って来たし、今日は島でゆっくりしよう。
ウィル達と一緒にダンジョンに入り、城の食料庫に集めてある砂糖と昆布を見に行く。
砂糖は少し茶色ががっているが、エグみなどは感じられない。少し甘さが弱い気はするが、クドく無くて俺好みだ。
昆布は見た目完璧!以前ワニザメのドロップで作ったなんちゃって鰹節と合わせて引いた出汁に、少し塩を入れて飲んだが味もかなり近い物になっている。
その日は白米に焼き魚、魚のツミレのお吸い物に果物。
久しぶりの和食に舌鼓。
翌朝、皆に挨拶してから旅の続きに戻る事にした。
湖の近くに転移で戻り、馬に跨り一人旅。
馬の足ならこのまま湖に沿って1日、そこから2日もすれば次の街に着くだろう。
次の街までは特に問題無く着いた。
問題があったとするならば、馬が明らかに速く、力強くなっていた事だろう。鑑定してみたら、各ステータスに600前後のプラス補正!草原の草でも付くんかい!
しかも運以外各600、馬の食事量なんて知らんけど、かなりの量を食べたみたいだ。
もう黒王号って呼ぶか?雄で合ってるのかな?
黒王号(仮)の頑張りもあり、2日後の昼過ぎには街に到着。王都に近いだけあって今までの街より大きいし、人通りもディニクの街より多いし、何より皆小綺麗にしてる。
ディニクが労働者の街なら、この街は商人の街になるのだろうか?位置的にもヨークデリアの北の要所って所だろう。
まずは冒険者ギルドに行ってみる。
俺でも泊まれる高級宿が有ると良いな。
おっ、ここのギルドはスイングドアだ。良いねぇー!
スイングドアをバンっと強めに開ける。室内に居た人達が大注目だ。1回やってみたかったんだよね。
ただ、手ブラの強そうに見えない俺を一瞥すると、すぐに興味を失ったようだ。
テンプレは無し…っと。
冒険者もディニクの街より品が良いんだな。
受付に並んで少し待つと俺の番になった。
なんか…派手なねーちゃんだな。香水つけてんのか?
「こんにちは。この街は初めてなんですが、おすすめの宿とか有ります?お風呂はマストで、なるべく清潔で食事が美味しく所が良いんですけど。」
「それがご依頼ですか?でしたらこの書類に記入を。今回の内容ですと大銅貨3枚頂ければ、すぐに受けて貰えると思いますよ。」
事務的にも程がある。
壊れかけのミリーちゃんが愛おしい。
対応にがっかりしながらため息をつく。
「ギルドって冒険者の支援もやってるって登録した時に聞いたんだけど、この街では違うの?」
「記入が終わりましたら並び直して下さい。次の方どうぞ。」
ムッかついた!後ろのヤツも俺を押し退けてようとしている。まぁ1歩も押されないが。
「まだ話し終わってねんだ。大人しく待ってなよ。なんなら兄さんも一緒に聞いてくれよ。」
受付に向き直り
「なぁ、ギルドに登録した時に冒険者の支援もやってるから何でも相談来いって言われたけど、おすすめの宿聞くのにも金取んのか?ここのギルドは?」
受付は口ごもる。
「兄さんは登録した時にちゃんと説明聞いてた人?支援やってます。って言われなかった?」
「ああ…言われたけど…」
「俺もそう聞いた。でおすすめの宿聞いたら大銅貨3枚だって言われたよ。ここの冒険者ギルドは詐欺見たいな商売してるみてぇだな?お前等の報酬は大丈夫か?騙されてないか?」




