34話目 白狼族ウィル、ネロ、ジャック
昨日はウナギを解体して昼過ぎに寝たのだが…既にだいぶ太陽が高い。まぁここ1週間はあまり睡眠時間取れなかったから仕方ない。
作り置きの朝食を摂り、里長さんに挨拶に向かう。
広場にはもうウナギの骨格が鎮座している…まだ少し生臭いな。約束の看板も立ててある。
「里長さん、長い間お世話になりました。元々ちょっと寄り道の積もりだったので、今日にも出発しようと思います。」
「おお、リョータさん。こちらこそ新しい観光資源が出来たよ。ありがとうねぇ。なぁ、わしにだけどーやって釣ったか教えてくれんかい?」
「構いませんが、こちらの道具が無いと難しいですよ?」
「どれ…なるほど、ずいぶんたくさん糸が巻けるんだね。これを作るのは難しいか……。生け簀だけでも使わせて貰えると有り難いんだがどうだろうか?」
「もちろん構いませんよ。集落の皆さんで使って下さい。」
「有り難く使わせて貰うよ。じゃぁ気を付けての。また何時でも遊びに来るんじゃぞ?」
「はい、それでは行ってきます!」
集落を少し離れた所で馬から降り、島に転移する。
少し馬が興奮したがすぐに機嫌を直してくれた。
久しぶりの乗馬なので砂浜を少し走らせる事にした。海風が気持ち良い!
「リョータ、お帰り!ハルも乗せて!」
「おう、ハル!ただいま。ほら、前乗るか?爪引っ掛け無いように気を付けてな。」
「おぉ〜!不思議な感じ。」
「留守の間に何か変わった事は無かったか?」
「……あった!なんと、ハルは22歳になりました。」
「おめでとう。暫くはハル姉さんだな。」
「あとコレットが困ってた!リョータの悪口言ってた!」
「そっか…じゃぁコレットの様子を見に行くかな。ハルはまだお馬さん乗ってるか?」
「もう良いや。飛んでる方が楽しい!
コレット呼んでくるよ!またねぇ!」
草原に馬を放ち、何時ものように飲み水と岩塩を置いて、砂浜をダンジョンに向かって歩いて行く。
「リョータさん!お帰りなさい。王国での用事はもう済んだんですね?」
「ただいま、まだ済んでないよ。みんなに変わりは無いかなぁと思って顔を見に戻って来ただけだよ。」
「そーですか…あの、あれからずっと考えてて、なるべく白狼族の皆さんとお話ししたりして。でも無理に話し掛けてるのに勘付かれちゃって、微妙に距離を置かれる様になっちゃって。」
「あ〜ごめんなさい。悩ませちゃったね。コレットに任せるって言うのは、俺はコレットを信頼してるから、コレットの判断に文句言わないよ。っていう事を伝えたかったんだ。コレットから見てウィルはどう?信頼出来るかな?」
「はい。ウィルさんは信頼出来ると思います。リョータさんへの恩返しを1番に考えてて、砂糖も昆布も皆を纏めて一生懸命作業してくれてます。」
「じゃぁウィルには食べさせちゃおう。」
「ウィルさんだけですか?他の方は?」
「コレットから見て、この人は信頼出来ますよって人が他に居れば、もちろんその人も食べさせちゃって良いと思うよ。」
「では、ネロさんとジャックさんもお願いします。」
「ネロにジャックね。俺まだ皆の名前全然覚えてないなぁ…マズいよねぇ〜。」
「ヨークデリアに行ってるから仕方ないですよ。それに皆さん、これ以上リョータさんに頼るの遠慮してるんだと思います。少しづつ覚えていきましょう?」
「あんまり話し掛けられないのはそのせいかな?嫌われてないと良いけど…」
「それは大丈夫です!私が保証します。」
ウィル、ネロ、ジャックの3名をダンジョン入口の俺の使ってる部屋へ呼び出す。
「急に呼び出してすまないな。今回集まって貰った3名には1つ、この島の秘密を話そうと思っている。マーメイドとハーピィ達には既に伝えてあるが、白狼族は君達3名に伝える事にする。この事は他の白狼族にも話してはならない。いいな?」
「「「はい!」」」
「まず、ここ最近、コレットが白狼族に色々アプローチしていたが、あれは俺の指示だ。心から信頼出来る者を探しておくように、とな。不快に思ったかも知れないが、コレットに他意は無い。許してやって欲しい。」
「いえ、最近ずいぶん悩んでいたので、何かあるとは思っていましたが、リョータさんの話しで納得出来ました。それよりも信頼出来ると選ばれた事を誇りに思います。」
「じゃぁ君達にはコレを飲んでもらいたい。」
3人の前にミックスジュースの入ったグラスを並べる。
「これは?果物の汁ですか?」
「ああ、次も有るから早く飲んじゃってくれ…。よし、一旦出るぞ。着いて来い。」
3人を引き連れ、以前バーベキューで使った竈へ向かう。
「あ、リョータさん!こっちはもう準備出来てますよぉ!」
「コレット、ありがとうな!3人も適当に座ってくれ。焼けた物からどんどん食べて良いぞ。」
網の上には様々な魚介が並んでいる。
「リョータさん、我々は少し前に食事を摂りましたので腹は空いていない…」
「先程の飲み物といい、何か儀式めいた物かも知れん。頂くぞ!」
ネロが満腹を訴えれたが、ウィルによって止められた。まぁ無理して食べてる様なら辞めよう。
「あの…そろそろこの島の秘密を教えて頂いてもよろしいですか?」
限界が近いのかネロが食べるのを辞め問いかける。
「これはダンジョンで見付けた鑑定モノクルと言う魔道具だ。これでお互いに確認して欲しい。話しはその後だ。」
ネロはウィル、ジャック、最後に自分を確認して固まった。次々とモノクルを回しステータスを確認して貰う。ウィルは俺やコレットも見てしまった様だ。
「さっき飲んだジュースはこの島の果物を搾って作った物だ。力や守りに補正が付いているのはそのせいだ。次に魔法スキルが付いていると思うが、近海で獲れた魚介を食べたせい。これがこの島の秘密って訳だ。」
「なるほど…これはコレットさんも悩む訳です。」
「リョータズルい!内緒でバーベキューしてる!ハルにも焼いて!お肉焼いて!コレットはウニ!ウニ獲ってきて!」
「あ〜見つかっちゃったかぁ。これからこの3人もバーベキューに参加するからよろしくな。」
「うん。ハル!22歳のお姉さん!よろしく!」




