12話目 地震
たどり着いた壁はかなり高い。7メートルはあるだろうか。
門も大きく、2車線分は余裕である。門扉には良く分からないが細かな彫刻もされている。
(あっ!雷に釣り竿の意匠か!なんて残念な物を刻んでやがる。まぁ良い、ここが神に用意された物だって確認出来たしな。)
大きな門の横に有る扉から街へと入る。
門からは城まで真っ直ぐ石畳の道が延びている。
(しかし、全く人の気配がしないな。ここに一人で暮らしていたらホームシック間違いなしだな。)
キョロキョロと辺りを見回しながら、ゆっくりと城へと歩いて行く。商店街の様な通りの先に教会の様な造りの建物が有った。気になったので覗いてみると、ダンジョン入り口の反対側の扉に有った女性の石像が祀られていた。
(ん?神ってあのおっさんじゃ無いのか?あのおっさんの嫁か?嫁自慢なのか?美人な嫁さんを信仰の対象に、おっさんが甘い汁を吸うとゆう詐欺宗教なのか?そんなのに連れて来られてオレ大丈夫か?)
そんな心配をしながら、城へ向かう。堀には奇麗な水が満たされ、跳ね橋が渡されている。門を潜ると見事な庭園。左右対称で大きな薔薇のアーチ、噴水も幾つか設置されている。玄関前は馬車用なのか、ロータリーみたいになっている。
30分近くかかって庭園を抜け、玄関の前に立つ。
大きく重厚な扉、その上には例の意匠のエンブレム。
ため息を吐きながら、扉を開く。
テニスが出来そうな位の広さのエントランスホール、奥には歌劇団が降りてきそうな広い階段、見上げると高い天井からぶら下がる豪華なシャンデリア。他にもサッカーが出来そうなダンスホール、図書館レベルの蔵書数の書庫、彫刻の持つ水瓶からお湯が流れる掛け流しの大浴場、食堂には10メートルを超える一枚板を使ったテーブル、なんて言うサイズなのか分からない特大の天蓋付きベット。
ドコにも落ち着ける場所がない。
『ぐうぅぅぅ〜…』
(だいぶ時間食ったな…今は何時になるんだろうか?厨房に何か有ればいいんだが…)
厨房は一階にあり、食料保存用なのか地下室も備えられている。たが、流石に食料までは備わっていなかった。
今日はここまでにして、ダンジョンを出る。
出るまでにもまあまあ時間が掛かる。城を出て、庭園を歩き、城下町、田園を抜けてやっと地下道だ。
外に出る頃には太陽はだいぶ傾いていた。
森で果物を摘み、砂浜で貝を掘る。竹林まで足を伸ばしては竹で罠を作っては磯場や滝壺辺りに沈めておく。
その日から、1日食料等を調達しては、1日ダンジョン内を調べるとゆう日々を過ごした。
途中、城の中に女神像の有る部屋を発見、ダンジョン入り口からの転移が可能になった。
城の宝物庫を見つけ、様々なアイテムを手に入れ、図書館で魔法や手に入れたアイテムを調べる
7割のアイテムを調べ終わった所で[鑑定モノクル]なんて物を見つけた時は一人「アアアアー!!」ってなったよ。
神界図書は調べる物の名称が分からないとダメだったから…
ダンジョン内には島には居なかった動物も、目撃頻度は少ないが多種生息していた。
この半年で鉱山を見つけては採掘し、少しばかり畜産も初めている。とても一人では無理、と考えていたが、現代の機械を魔法や魔道具を利用して再現する事で、俺一人分なら問題なく暮らせている。
そう、一人だ…ダンジョンに入る様になってから、眷属との関わりはほぼ無くなった。たまに食料を融通して貰うくらいだ。
何せ自分の面倒ぐらいは自分で見れるし、得にやる事も無いのだ。食料だってレイ達に仕事下さいアピールをされた時にお願いするくらいになっている。
順風満帆…なのだろうか?
なんだかまだ出航すらしていない気分になって来た…
書庫に有った魔法や魔道具に関する書籍で気になる物は読破したし、宝物庫に有った使えそうなアイテムは、同じく宝物庫に有った空間収納の腕輪に入れてある。
そろそろもう一つのダンジョンに入ってみるか?此方のダンジョンも何処かに下の階層へ降りる階段とか有るのかなぁ?
一人の時間が多いからなのか、閉塞感なのか、何とも言えない感情に不安が広がる。
今日は元の拠点で寝よう。
星を見上げて、波の音を聞いて眠ろう。
夜中に目が覚める。辺りはまだ真っ暗だ。地面が大きく揺れている。此処はマズイ!収納の腕輪からランタンの魔導具を取り出し、山頂を目指す。木々がバサバサ音を立てて揺れている。途中四つん這いになりながら、頭上に気を配りながら山頂を目指す。
(ここなら海抜100メートルくらいはあるか?ここが駄目なら生き残る術は無かったと諦めるしか無いな…ダンジョン内は大丈夫だろうか?まぁ…明日は被害状況の確認からだなぁ……)
腕輪にしまっておいた船を出す。中に布団を敷いて横になる。
(気が重いなぁ。書庫だけでも片付けに何日掛かるやら……)




