11話目 ダンジョン?
まずは油が取れる植物だな。
大豆、菜種、向日葵の種やオリーブ。確か綿花も実から油が取れたはずだ。
とゆーか種なら何でもオッケーな気がしてきた!
作っておいた袋と籠を手に、今日は山の方へと進んでいく。
果物を籠に収穫し、袋に種子を入れていく。
そろそろ草原へと差し掛かる辺りで、低木の群生を見つける。
(おおっ!これは椿か?山茶花か?確かどっちも高級油だったはずだ。後は少し花でも摘んで、香りを付ければ良い石鹸が出来るだろう。)
ほくほく気分で草原へと歩き出す。
気になった物を見つけてはふらふらしながら北側へと進んで行く。
幾つか香りの良い花を摘み、北側の砂浜まで辿り着く。
(異常なしっと。そろそろ飯にするか。)
土魔法で波打ち際を掘り返すと、ポコポコとはまぐりモドキが現れる。
4つ拾うと竈を作り、打ち上げられた流木に火を熾す。
(魔法便利過ぎだなぁ…)
貝を焼き、デザートに果物を食べると、西側の砂浜を岩山まで歩く。
ふと磯場を見ると、水面がバチャバチャと湧いている。
(そー言えばこっち来てまだ釣りしてないなぁ…竹…じゃあ厳しいよな…カーボンロッドって炭から出来るのか?グラスファイバーってガラスから出来てんのか?
はぁ〜…
なんか良さそうな物探して見るか…)
結局、竹を採取して拠点に戻るのだった。
(道具生成! 釣り竿! 石鹸!)
3メートルと6メートル程の釣り竿、石鹸が目の前に現れる。
可怪しい。
確かにイメージ通りに出来ている。
既製品の様な仕上がりだ。
一本の竹から2本の釣り竿、しかも振出式だ。石鹸もちゃんと固い。
油と灰水で作る石鹸はもっとブヨブヨの筈だ。
曖昧な材料からでも、イメージに寄せて作られている。
(道具生成と書いてクラフトと読むって感じなのか?まぁ…好都合だな。まだ日も高いし、磯場でやってみるか。)
簡単に仕掛けを作り、途中はまぐりモドキを餌用に採って行く。
底を取り、仕掛けの長さを調節したら、小さくちぎった餌を付ける。
ぼんやりとウキを見つめ、ダンジョン探索の事を考える……様なヒマは無い。
魚影が濃いのか、魚が擦れて無いのか当たりは引っ切り無しだ。
しかし針には掛からない。集中し、ウキが沈んだタイミングで素早く合わせても、竿で仕掛けを送ってみても、針や餌のサイズを変えてみても、全く魚は掛からない。
当たりは有るので同じ所を攻める事30分、足元からチャカが顔を出した。
「うっとおしい。ヤメて!」
「あ、ゴメンナサイ…」
チャカの住処だったらしい…
どうやらこの辺りはチャカ達の住処になっているらしく、釣りをしていると話したら魚を渡された。
そーじゃない!そ~じゃないんだよ!
魚を釣る、その行為を楽しみたいんだ!
ただ、ぶっ放されても困るので大人しく魚を持って拠点に帰るのだった。
貰った魚を塩焼きにし、果物を頬張る。
(後で釣り可能エリアの相談をしよう。どの辺にどんな魚が居るのか教えて貰うのも良いな。)
翌日、道中でもいだ果物を噛りつつダンジョンに向かう。
ふぅ…と息を吐き、階段を下っていく。
下り切ると5メートル程の通路が有り、行き止まりの左右には扉。両開きにはなっているが、そこまで大きさは無い。4人並べばギリギリという感じだ。
一応ノックするが応答は無い。
左手にトンファー盾を握りしめ、ゆっくりと扉を開く。
隙間から中を確認するが、人影は無し。念の為扉の裏も確認する。
10メートル四方の部屋はガランとしており、奥に石像が置かれているだけだった。
石像は髪の長い女性を象った物で、左手に本、右手に短い錫杖の様な物を持っている。
押すとスライドして隠し扉が現れるとか、近付くと動き出すとかは無かった。
部屋も異常なし。閉じ込められる事もなく、普通に退室。右側の扉を同じ様にノックする。
こちらも反応無し、中を伺いながら慎重に入室。
更に通路があり、左右に幾つかの扉があるが…オレの目は通路の奥に向けられている。
ゆっくりと奥に進んで行く。目に映る景色は壁に描かれた物ではなく、実在する景色だと気付く。
目の前に広がる田園風景、その奥には壁に囲まれた都市、中央にはいくつも尖塔が建つ城。
御伽噺の世界に迷い込んだかの様な景色に息を飲む。
思わず走り出しそうになる自分を自ら収め、通路の扉を調べる為、入口付近まで戻る。
此処までと同様にノック、確認、入室を全ての部屋で行う。
左手前から寝室、寝室、風呂。右奥からトイレ、ダイニングキッチン、リビングという感じ。
しかも一室一室が20畳以上は有りそうな広さ。
地下なのに空気は淀んでないし、部屋も埃っぽさ等無く、ベットやリビングのソファは新品の様だった。
(IHクッキングヒーターに電子レンジにエアコン?ここだけ前世と変わらぬ快適空間?
オレが作った拠点をとは?)
拠点を移す事を決心しながら、先程見た田園へと踏み入れる。碁盤の目のように整えられた区画には、所々水車を利用した施設も見える。
念の為トンファー盾を握りしめ、城壁へと進んで行く。日光が降り注ぎ、風が頬を撫でる。
途中幾つかの橋を渡り門へとたどり着いた。




