10話目 武器
オレはもう一つの岩山に足場を作っていた。
見つけましたよ、ダンジョン。
見つけたからって入りませんよ。
武器無いし…ロンTにジーパンですよ?
考えるまでもないでしょう?
さぁ探索の続き行ってみよう!
(こっちも向こうと変わらないな、木々に鳥の巣は有るが卵は無い。)
(そしてこっちにもダンジョンらしきものが…だから入りませんて!)
そろそろお昼時、岩山の探索を切り上げ西側から中央付近の山へと分け入る。
いくつかの果実を食べ、腹ごしらえと水分補給だ。
そのまま先日見つけた綿花の群生地で袋を作り、河原で赤っぽい石を袋に詰めていく。
(あとは木材も少し必要かな?チャカがぶっ倒した木を少し持っていけばいいか。)
イメージを固めながら拠点を目指して歩いていく。
作るのは小太刀だ。ダンジョンの中がどれ位の広さか分からないから、取り回しの良い武器が良いだろうと考えたのだ。
剣術に関しては、実は少し心得がある。
今は印刷工場になっているが、昔は爺ちゃんが剣術を教える道場だった。
しかも剣だけでなく、槍やトンファー、薙刀など、古式武術なんかも教えていた。まぁ薙刀は女子用見たいな扱いだったので教わった事は無いが…
(小太刀二刀流にするか?左手はカイ?だったか、刃の付いたトンファーにしたほうが守り易いかな?)
あーでもないこーでもないと考えていると拠点まで辿り着いた。
結果から言うと太刀とトンファーの様な物を作った。
ステータスが上がった分、小太刀よりも長い太刀でも問題なく振れるコトが分かったからだ。
トンファーの方は長さは少し短く、手首の内側で回しても腕を斬らないように、その分幅は手元から肘に向けて厚くなっており、刃は両刃にしてある。腕を獣の噛み付かれない様にと、単純に盾としての役割だ。
切っ先側に重心がある為、回転させた時の威力アップ、反りもあるので切れ味も中々いい物が出来た。
持ち手側には刺突用に小さな刃を付けている。
(やっぱり竹刀と真剣じゃ使い方が全然違うな…
確か引くように切る。だっけ?力加減が難しい。)
昔教わった型を思い出しながら、土魔法で作ったドロ人形を切って行く。
「あるじぃー、何してんの?」
「おう、カスミか!ダンジョン見たいなトコ見つけてな。入る前に剣の使い方を練習しようと思ってな。
そー言えばカスミは斬撃が得意って言ってたな?見せて貰えるか?」
「良いけど…アタシは剣とか使わないよ?」
スタスタとドロ人形に向かって歩いていく、そのまま右手を振り上げると、ドロ人形は斜めにズレ落ちた。
何気なくやって見せたが、足運び、体重移動、腰、肩、腕が全て連動していた。
「こんな感じかなぁー。人の形だとなんか変な感じするけど…」
「いやぁ〜凄過ぎて参考にならんかったわ。」
乾いた笑いを浮かべて答える。
「うーん…切ろうとしないで、正しく振り抜くって感じかなぁ?目標の物を切るんじゃ無くて、全てを切る?見たいな?」
(なんだそれ?剣の極意か?斬ろうとすれば斬れず、見たいなヤツか?)
「あ〜アタシも良くわかんないよ!!力入れ無くても振りやすかったり、自然と鋭く振れたりするでしょ?それよ、それ!」
オレがピンと来ていないのを察したのか、カスミが更にアドバイス?をくれるが、やっぱりピンと来ない。
「あ〜…何となく掴めたかな?ありがとう。もう少し剣を振ってみるよ。」
(とりあえずはリキまず、素振りかな?さっきのカスミの動きをイメージして……)
(うーん、太刀はまだしも、トンファーは無理だなぁ…暫くは盾と刺突武器として使おう。)
日もだいぶ傾いて来ているし、汗も掻いた。
よし、風呂を作ろう。
足を伸ばして浸かれる様に、少し広めに湯船を作る。建物の1/3を占めてしまったがまあいいだろう。
湯船に魔法でお湯を貯めたら完成だ。
排水を考えていないが魔法で何とかなるだろう。
明日はどーしようかな?
風呂に浸かりながら考える。
探索の続きをするか、ダンジョンに潜って見るか…
おそらくはこの島にそれ程の危険は無い。
オレは神に「安全か?」と尋ね、神は「問題無い」と答えたからだ。
ただダンジョンの中までは解らない。
この島が神の作ったチュートリアルだとしたら、戦闘は有るだろう。どのタイミングで入ることを想定しているのか…
神は困ってるヤツが居たら力を貸してやれとも言っていた。
この島にオレ以外の人間は住んで居ないと思っていたが、ダンジョンの中で生活しているのか?
「はぁ〜石鹸欲しいな…確か油と灰で出来るんだったか?」
明日は探索と石鹸作りをやろう。そう心に決めて砂浜に歩き出す。
今日の晩飯は貝を蒸し焼きにしよう。




