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4話 大男

普段と比べると短めです

【トーザ視点】


 私がニストを見ると、彼は引きつった貼り付けの笑顔で会話を開始した。

 彼には底知れぬものを感じるのは私の気のせいではないだろう。

 先程は彼の身を案じていたが、どうやら杞憂だったようだ。

 私はこの大男さえなんとかすればいいのであれば、ある程度の余裕も出てくる。

 先程の攻撃によって多少動きが鈍ったが、向こうの攻撃パターンは既に把握済みだ。

 避けることに集中していればなんの問題もない。

 そして反撃の隙を伺う。

 相手のパターンは大したことない、大振りで殴り続けるか軽いパンチを繰り出した後に大きなタメ技を繰り出すか、それ以外か。

 実はそのそれ以外と括ったパターンは多いが結局その2パターン以外の隙はさほどないので避けに徹する方が良い。

 そしてその2パターンはこちらが隙を見せた時に繰り出す所謂決め技だ。

 私はあえて隙を作るために相手の動きをより観察していった。

 余裕が出てきたのでニストの方を見ると子分の1人が逃げていくのが見えた。

 一体何をしたのだろうか。

 私も負けてはいられない。

 もう「隙を作る」だけの余裕は十分にある。

 ということで、私は足がもつれたふりをした。

 大男はその隙を逃さず軽いパンチで更に体勢を崩そうとしてきた。

 私はそれに引っかかったように振る舞い、そうすることで相手のタメ技を誘い出した。


「ヴィントミューレ!!」


 前のめりになっていたのを利用して一回転した私はその勢いを拳に込めて、大男が振り切っている拳にぶつけた。

 ドパンという破裂音が響いて相殺された。

 大男は驚いているような、怒りに打ち震えているような顔でこちらを見ていた。


「てめぇ!!何しやがった!!」


 さて、なんでしょう。



【ニスト視点】


 周りはトーザの事で夢中だ。

 手下Bまでも向こうを見ている。

 とりあえず重くてどうしようもない剣を引きずってでもなるべく遠くに持っていく。

 意外も意外手下Bは向こうにお熱みたいだ。

 全くこっちを見n…こっち見たーーー!!

 一瞬ぽけーっとしていたが我にかえると勢いよくこっちに突っ込んできた。

 しかし、俺には超運の女神が付いている。

 ちょっとやそっとでやられる玉じゃねぇぜ。

 それにさっきの事があるからか様子を見るというなんとも賢い行動に出る手下B。

 その知能の高さに感服してしまう。

 いや、馬鹿にしているわけではない、ただいい時間稼ぎになっているとは思う。

 正直俺が正攻法で手下Bに勝てるイメージは全く浮かばない。

 だから、そのまま殴りにこられたらひとたまりもない。

 まぁ、俺には超運がついているからただでは倒れない気はするんだが、それでも気がするだけで実際やってみないことにはなんとも言えない。

 それにもう一発くらって平気なのかっていう気持ちの方が大きい。

 そして何より俺がのびた後手元の剣があの大男の元に戻りかねない。

 手下Bと相打ちなら許されるが、そうじゃなければ悔いても悔いきれねぇ。

 後俺の安否も非常に気になってしまう。

 とりあえず、俺は手下Bには下手に刺激せず、これから何かするかも、みたいなポーズをとって睨み合いをし続けることにした。

 さて、ここから腹の探り合いだぜ。

 人より少しばかり皮の厚い腹の内を探るのは骨が折れるだろ?


【トーザ視点】


 頭に血が上ってもう少し隙を見せるかと思ったら、意外と冷静さは欠いていないようだった。

 頭に血管が数本浮いているものの、その動きは先ほどと変わらないかより洗練されたものになっている。

 しかし、先程の結果を得られたことにより私の選択肢は大幅に上がった。

 攻撃が相殺されたということは、攻撃手段ができたということだ。

 私の攻撃が通用しなかった先程は、防御に徹せねばならなかったが、これからは攻撃が組み込まれる。

 一つしか増えていないように感じるが、向こうからすればいつ来るかわからない攻撃を警戒しなければならない。

 こちらが攻撃する気がなくてもだ。

 つまり、私が少し先程と違う動きをしただけで相手はそれより大きなエネルギーを使って身構えなければならない。

 つまり、より私に有利な方向に持ってこられたというわけだ。

 後は相手のスタミナ切れを待てば良いのだが、ニストの方がそうは行かなそうな雰囲気を出している。

 少しリスクはあるが、決着は早めた方が良さそうだ。


「ヴィントミューレ!!」


 私は同じ技を放ったが大男は反応できなかった。

 それもそのはず、先程の私が出した技とスピードもキレも違うからだ。

 体が覚えてしまえば、それをより最適化させて出せば良い。

 しかし彼の芯を捉えることはできず浅く体にめり込んだだけだった。

 大男は攻撃された箇所を軽く押さえて、しかしすぐさま方針を固めてこちらに突っ込んできた。


「ウォオオ!!」


 顔を両腕で覆うことで受ける攻撃を最小限にし、私を絶対に逃さないよう足元を見て移動する位置を予測している。

 私に真っ直ぐに来る。

 それがわかっていれば都合がいい。

 私は大男に向かって突っ込んだ。


「!!」


 大男は一瞬私の動きを見て動きが緩まったが、その思考が無駄だと言わんばかりにスピードを上げた。

 私の目前に大男が迫る。

 私はその瞬間に大男の肩に足を乗せ真上に跳んだ。

 しかし、それも一瞬の事で、私は片方の足に力を込め急下降する。


「コルテージ!!」


 大男の背中に当たり、彼は地面に突っ伏した。

 しかしそれだけでは終わらず、勢いに乗った攻撃はその衝撃で地面を軽くえぐった。

 辺りがシーンと静まり返る。


「ひ、ひぃ、ティエ様に知らせなければ」


 そう言い残し手下の1人が何処かへと走り去った。

それじゃあまた次回

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