5話 鬼現る
ついに決着しましたね
バコーンという音が鳴り響き、音の出どころを見てみると、大男を踏みつぶしたトーザの姿がそこにあった。
どうやって手下Bを倒すか皆目見当が付かなかったので非常に助かった。
今手下Bは全力で逃げている。
とりあえずこの混乱に乗じて俺はトーザと一緒にその場からとんずらした。
俺らはとりあえずさっき泊まっていた宿に帰ってきた。
その際にまた頭を殴られた。
さっき八つ当たり気味にすってたの忘れてた。
とりあえずこの疲れた体を休ませたい気持ちだったので、さっさと風呂に入りたかったが、赤面野郎のせいで変な気を遣うことになった。
据付けの風呂は諦めて大浴場でパパッと済ませる。
なんかさっぱりした気がしないがお互いに疲れていたのでそのまま就寝。
「少年A、B出てこいよ!!」
おはようございます。
睡眠時間3分弱、ベストタイムを叩き出しました。
ってうるせぇ。
耳をつんざくようなドスの効いた少女の声が窓の外から聞こえてくる。
これは俺たちに言ってるんだよな、おそらく。
「出てこねぇと宿ごと打ち壊すぞおら!!」
嘘をついているようにも聞こえないしここのオーナーの泣き声があまりにも哀れだったので、
「逃げるぞトーザ」
「逃げません」
ごちんとまた頭をフルスイング。
そうだろうと思ったけどそりゃねぇぜ。
「やっと出てきたか、踏ん張る物でもあったのかよ?」
「レディーは色々と準備に時間がかかるもんだぜ。なぁトーザ?」
「は?……あぁ、まぁ、はい」
この無茶振りに肯定の返事をしただけでも及第点か。
さてさて、では目の前の相手を観察と行きますか。
小馬鹿にするように話しかけてきた少女は口を横に広げて、ギザギザした歯を見せながらニタニタ笑っていた。
身長は低く、子分達と比べると頭1つ半くらい小さい。
しかし、半袖半ズボンから伸びる手足が無駄なく引き締まり、その肌の色は人にしては赤褐色が強い。
そして、見間違いでなければデコの右端に小さな突起が見られる。
もしかしなくても人間じゃねぇなこいつ。
「あなたはヒトではなさそうですね」
トーザのストレートな問いに少女は鼻を鳴らした。
「ウチは鬼のティエだ。舐めんじゃねぇぞ」
舐めてはないんだけどな、というか逃げてぇ。
「ここで立ち話ってのもなんだ。場所移すぞ」
ティエの一声で後ろにいた沢山の手下達が俺らを取り囲む。
おそらくさっきの手下達とさほど変わらない強さだと思うから、トーザなら何とかできるだろうが、当の本人が何もしてくれないから大人しくついていくことにする。
歩くこと15分、いや長いよ、気まずい空気のままずーっと歩かされる側の気持ちを考えた事がある?
まぁ、文句も言えないから辺りを見渡すと、何もない。
ちょっとは何かあってもいいだろうって程何もない。
あるのは2メートル程の高さがあるそこそこ大きな岩くらいだ。
ティエはそこに駆け上がり、仁王立ちでこちらを見てきた。
「ところでお前らはロベリアっつう研究者達の仲間なのか?」
それこそ鬼の形相で睨みつけるティエ、おおこわ。
と言っても前回も聞かれたが、知らないものはどんなに圧をかけられても知らないのだ。
俺はとりあえず首を傾げた。
トーザの方もそうらしく同じ行動をとっていた。
「……、マジか」
ティエは威圧を消すと体を大きく前にだらけさせた。
そして、やってしまったと言わんばかりに頭をぐしゃぐしゃとかいた。
「あ〜、わりぃ、うちらの早とちりだったみたいだわ」
「ところでそのロベリアっていうのはどういうものなんですか」
「あぁ、まぁ、なんていうか、うちらの敵対相手みたいな」
向こう側の罪悪感からかトーザの質問にあっさり答えた。
「それと、もう一つ先に謝らなきゃいけない事があるんだけど」
頬をぽりぽりとかきながらバツの悪そうにはにかみを見せるティエにほっと胸を撫で下ろすのも束の間だった。
「うちと勝負してくれ」
さっきの圧とはまた違う、爽やかな圧――さわやかな圧ってなんだろうな――が俺たちに重くのしかかった。
「隊長が旅人2人にあっさりやられましたって事になると、ロベリアが黙ってないんだよね」
その代わり相手をするのは自分だけで良いと鬼娘は話すが、いやちょっと休憩くれません?
「まぁ、少しボコされた程度でいいから付き合ってくれよ」
歳の近い少女に付き合ってって言われてここまで首を横に振りたい事なかったわ、いや凄い。
正直降参すれば大丈夫な気もするけど、これ程の理不尽には黙っちゃいられねぇ。
トーザも同じ気持ちなのか結構やる気な目をしてるぜ頼もしい。
「女の子の頼みとあっちゃしょうがねぇ。あっと驚くサプライズを用意してやんよ!」
俺たちは疲れた体を鼓舞して鬼と相対するのであった。
デート()開始!!




