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宇宙人襲来!!  作者: Minoru
1章 調査編
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#1-37 鑑定眼鏡 襲来!!

 世紀末な料理対決から1日が経過した。一晩ぐっすり寝て目が覚めると、隣で寝ていたはずの龍君の姿がそこにはなかった。ヤバイと直感した自分は直ぐに玄関先に向かうと、靴を履いて身支度していた彼がいた。


 「もう行くの?」


 「ああ」


 「そ、そっか」


 彼は再び高難度ダンジョンに潜るために、旅立とうとしていたのだ。


 「まさか、一回Dランク攻略したからもうCランクに潜るつもりなのか?」


 「いや、今の俺でCランクに潜ると流石に死ぬ可能性がある。しばらくはDランクに(こも)りながら、レベリングするつもりだ」


 「そっか、流石にそこまで馬鹿じゃなくて安心したよ」


 まぁ、Dでもレベル96~124だから相当ヤバいんだけどね。


 「気をつけてね、絶対に死ぬんじゃないぞ」


 「ああ」


 「……」


 見送ろうと手を振ろうと思ったが、彼は背を向け旅立つ事はなく、じっとこちらの目を見つめ続けていた。


 「どうしたの?」


 「いや、やっぱりお前が持っていた方がいいか。」


 「?」


 龍君はアイテムボックスを念じたのか、手の平サイズの物体を1つ出現した。物体は眼鏡の形をしており、青いフレームと透明なレンズで覆われている。一見普通の眼鏡に見えるのだが。


 「これやるよ」


 「眼鏡? 別に自分は視力低くないよ?」


 「唯の眼鏡じゃない、【鑑定眼鏡】だ」


 「……」


 「……」


 「今何て言った?」


 「【鑑定眼鏡】だ」


 「……」


 「……」


 「はい?」


 「【鑑定眼鏡】だ」


 「……」


 「……」


 「うぇええええええええっ!?」


 いやいやいやっ!? 【鑑定眼鏡】って明らかに魔物のステータスやスキルを一発で全部分かる奴だよなっ!? チーtじゃねぇか! チーt! なんで再序盤にチーtがあんだよ、教えはどうなってんだ教えは!?


 「ちょっと待て! こんなヤバイ物どうやって手に入れた!? そもそもそれは本物なの!?」


 「世界で初めてDランクを攻略した報酬として宇宙人から貰った。紛れもなく本物だ」


 「あ、そうなんだ」


 入手方法が意外と現実的で少し冷静になれた。あれ、ちょっと待って?


 「初めて攻略して貰った報酬ってことは初回限定って事だよな? と言う事は、」


 「おそらく非売品で、世界で1個しかないだろうな。」


 「ぎゃあああああああ!!!」


 やっぱりヤバイ物だった!


 「そんなヤバイ物いつ認知されて、誰に奪われるか分かんないぞ!? さっさと【アイテムボックス】に閉まって!」


 「聞いてなかったのか? お前にやると言ってるんだが?」


 「え?」


 「え?」


 「……」


 「……」


 はへ? あー、うん、はい。


 まさか、ムーショックさんみたいに自分が持ってると人が寄ってくるからヘイトを自分に傾けようとしているのか?


 「ち、ちなみに、相場はどれくらいなの?」


 「さっき、途中キャンセル前提でオークションに出品して相場を調べたんだが・・・」


 「怖いもの知らずにも程がある!?」


 「最後の落札価格が丁度5億だった。」


 「5億マジかw ・・・ってそんな希少品要らないわ!? 頼むから自分みたいな一般人にそんな危険物押し付けないでくれ!?」


 「いや、これは俺よりお前が使った方良い。」


 「龍君は最前線プレイヤーでしょっ!? これから格上の魔物と闘うには必須のアイテムでしょ!? 何で自分に渡すんだよ!?」


 「最初は俺もそう思った。常にHランクダンジョンに引き籠っているお前より、常に危険な闘いを強いられている俺が持っていた方が良いと。」


 「何そんな当たり前の事を・・・」


 「だが、お前の迅速で正確な『攻略サイト』が無かったら、今の俺はこの世に存在していない。」


 「ん?」


 「自覚は無いのかもしれないが、俺はお前の情報に何度も救われている。お前がいなかったら、確実にDランクダンジョンの魔物の餌食になっていた。」


 「つまり、自分達の情報があったからギリギリ生きて帰ってこれたとでも言いたいの?」


 「そうだ、ハッキリ断言する。」


 まただ。なんでコイツはそんなに自分を過大評価するのだろうか。


 「はぁ、馬鹿馬鹿しい。自分如きの情報だけで世界ランカー様を支えられる訳ないでしょ。生きて帰ってこれたのは確実に自分自身の力、そう誇示してください」


 「やっぱり、自覚してないのか。まぁ、いい。最初は直人が【創る側】になると聞いて意地でも反対してやろうと思ったが、今になってその意図が読めた。そこが今のお前のベスポジなんだな」


 「・・・それは否定しないけど」


 「そういう事だ。これからは精々それを使って俺の役に立ってくれ」


 「無自覚だからこれからも変わらず通常運転するだけだよ?」


 「構わん」


 そう残すと龍君は何も言わずに背中を向いて立ちさろうとする。


 「はぁ、分かったよ・・・っておおおおおい!? まだこれ受け取るとは一言も言ってないぞ!? って無視するなぁあああ!?」


 自分は手元にある【鑑定眼鏡】を全力で返そうと試みたが、龍君は敏捷性689という鬼ステータスを使い、全力で逃走を試みた。無論、追いつくわけがなく、そのまま姿が小さくなっていった。


 「はぁはぁ、適当に口説いてヤバイ物押し付けたかっただけでしょ」


 「師匠、私分かっちゃった」


 「あれ、谷口さん? 起きてたの?」


 龍君を見失って家の前に戻ろうとした先にはまだ寝ていたはずの谷口さんが立っていた。


 「萩原君、師匠の事好きなんだ。」


 「何言ってるのかね君は?」


 「だって萩原君って明らかに師匠にだけ優しいよね? 明らかに師匠にだけ特別扱いしてるよね? 絶対恋してるって!」


 「確かに特別扱いされてる自覚はあるけど、それだけで恋している理由にならないだろ!? そもそも自分と龍君は同性だし。」


 「師匠って実は女の子説ないの?」


 「そんな訳ないでしょ!? ちゃんとTnがあるから男だわ!」


 「ふーん・・・あっ! 分かった!」


 絶対分かってないだろ。


 「師匠じゃなくて萩原君が女の子だったんだ!」


 「何でそうなる!? あんなゴリゴリの高身長イケメンが女性な訳ないでしょ!? 胸部には実はサラシを巻いていて、顔を男っぽく……ってそんな漫画みたいな展開ないから!?そもそも、中学生時代の旅行中に一緒にお風呂に入った事があってアイツのTnがある事も確認済みだから、確定で男だ!」


 「一緒にお風呂に!? もうそんなに進んでいるなんて!?」


 「おい、何言ってる?」


 「まさか、HM!?」


 「違う」


 「二人ともHMなんでしょ!?」


 「違うったら違う」


 「意地張ってても無駄だよ? さぁ、早く認めなさい! 師匠達はホモなんでしょ!?」


 「最後まで隠せよ!」


 「うう・・・」


 いや、何で拗ねてるの? 谷口さんが龍君の事が好きで龍君が自分の事好きだと勘違いしていて……はっ!? これって偽りの三角関係!?


 だから谷口さんは自分に拗ねてるの!? ねぇ、そうなの!? なんか自分は谷口さんの恋を応援する立場だったのに、とんでもない勘違い展開に進んじゃってる。これは早めに処置を受けないとヤバそうなんだけど。


 「ねぇ、師匠は私と萩原君どちらか結婚しないといけない状況下になったらどっちを選ぶ?」


 「え? 谷口さん一択だけど? 何で男と結婚しないといけないの?


 「そっか、えへへ」


 あれ、ちょっと機嫌戻った。これからは勘違いされないように龍君とはなるべく距離を取った方が良いのかもしれない。

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