表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙人襲来!!  作者: Minoru
1章 調査編
46/66

#1‐20 天地竜ヴリドラ 襲来③

 「さっきからずっとここに居るけど、先に進まなくていいの?」


 ふと、谷口さんがそんな事を問い出して来た。ここは【アパートの空部屋】の入り口(・・・)から最も近い場所。つまり、ここ数時間ダンジョンに侵入してからちっとも先に進んでいない。帰ろうと思えは直ぐに帰れる、ずっとそんな環境だ。


 「今回は検証がメインだから、別に先に進む必要が無い。ヴリドラさんとの闘いにおいて、まだまだ調べたい事があるし。」


 入り口には天地竜ヴリドラ(スライム)レベル2とレベル3しか確認されていない。レベル3はレベル2より、少しだけ行動が速くて耐久力がある。ただし、行動パターン自体には変化が無かった為、難なく倒している。レベル差で変化するのはステータスだけのようだ。獲得経験値(Exp)とお金もレベル2より少し多い。


 ヴリドラさんの行動パターンは全て把握している。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 ・押しつぶし(手から鷲掴み)

 ・アースボール(岩石を飛ばしてくる魔法)

 ・灼熱のブレス(口から炎)

 ・地響き(地面を揺らす、ダメージと休み効果)

ーーーーーーーーーーーーーーー


 以上の4パターンからランダムでどれか発生する。魔物自体に意思を持っている気はあまりしない。行動パターンが決まっている以上、AIで動いている感覚がある。人間みたいに繊細に動いていたら、かなり厄介だったが、初歩的なAI相手なら自分の得意分野なので助かってます。


 

 「はぁ……はぁ……」


 ダンジョンに潜ってから5時間程が経過しただろうか。谷口さんの疲れが鮮明に見え始めていた。あ、しまったな……つい夢中でヴリドラさんを葬って来たせいで、彼女の事全然考えていなかった。


 「大丈夫?」


 「大丈夫だよ……これくらい。」


 無理してるかの様に彼女は笑顔を浮かべる。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 谷口彩香

  ST:24/152

ーーーーーーーーーーーーーーー


 「流石に少し休んだら? ST凄い減ってるよ。」


 「ねぇ、師匠は大丈夫なの? STって私の3分の1も無いよね? 私でこれだから、師匠は大丈夫なのかなって……」


 「いや、全然大丈夫だけど……」


 谷口さんはセレクト画面を開いて、自分のSTの値を見ると、驚きで目を大きく見開く。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 松本直人

  ST:51/58

ーーーーーーーーーーーーーーー


 「嘘……!? どうして全然STが減っていないの!?」


 「うーん、無駄な動きが少ないから?」


 「それにしても、減らなすぎると思うんだけど。」


 「細かい積み重ねだよ。谷口さんは戦闘中に無駄に体力を使ってる場面が多い。敵の攻撃から避ける時に無駄に多く移動したり、敵が瀕死状態にも関わらず思いっきり殴ってオーバーキルしたりね。あと全体的に力も入りすぎ、それだけで大分(だいぶ)ST削られる。STを節約する精神は鍛えた方がいいと思う。」


 「理論は分かるけど、5時間も動いてそこまで節約できるものなの!?」


 「うーん、出来てるから出来てるんじゃない?」


 自分は身体能力が終わっている。生まれつき身体が弱く、走るだけで直ぐにばててしまう。何とかして鍛えようと思っても、生まれつきの身体つきから、殆ど伸ばせないでいた。


 そこで体力を鍛えるのではなく、体力を節約する(・・・・)精神力を伸ばすことにした。いかに最小限の体力で物事をこなすか、そうやって今迄生きてきた。


 そう意識している内に気付いたのだ。人間って如何に体力を無駄に浪費していたのかと。


 睡眠、食事、運動……日常生活においてあらゆる動き全てに無駄に身体に力が入り、エネルギーを莫大に消費していた。


 この無駄な力を抑える訓練を心の中でずっとしていた、5年間くらい。努力を積み重ね続け、遂に長時間活動してもSTの消費を最小限に抑える究極の身体を手に入れたのだ。



 「谷口さんは暫く休んでて。回復するまで、一人でレベリングするから。」


 「いや、休んでいるだけで師匠のExpを貰うのは悪いよ……せめてパーティーを抜けて……」


 「Expは平等に分けるって決めたよね? 悔しいと思ったら、休みながら自分を観察してSTを節約する動きをいち早く覚えることだよ。」


 「ううう……はい……」


 谷口さんが武器をしまって戦わない意思を確認すると、自分はある物を取り出して、彼女に渡す仕草を見せる。


 「はいこれ。」


 「?」


 谷口さんに渡したのはストップウォッチと自分のスマートフォン。


 「これで今のSTと回復するまでの時間を測って。」


 「え、何がしたいの?」


 「STの回復速度の法則性を知る為にデータが欲しい。」


 「【創る側】って本当にやること沢山あるんだね……分かった。」


 「それから、スマホで戦闘様子を録画してほしい。」


 「SNSに上げて自慢したいの?」


 「そこまで承認欲求じゃないからそんな事言わないで……ヴリドラさんの動きや速度などをもっと知っておきたい。」


 「分かった。」



 谷口さんは遠くで休みながら、自分の戦闘様子の撮影を始める。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 松本直人 HP:46/110

ーーーーーーーーーーーーーーー


 塵も積もれば山となる。微量とはいえ、何十体も戦闘を続ければ流石にHPの減りが蓄積されていく。そろそろ、ポーションで回復した方がいいかもしれない。クリティカル飛んで来たら怖いし、回復しておくか。



 いでよ、ポーション!


 『戦闘中はアイテムボックスを使用する事が出来ません。』



 はえ?


 『ギャオオオおおおおおお!!!(女の子にかっけぇ様子撮影させてるんじゃねぇよ、糞がああああ!!!)』


 シュン。


 ばこーん!!!


 ポーションを取り出せない事に少し焦っている最中に、ヴリドラさんが鷲掴みしようとしたが、直ぐに冷静に回避してヴリドラさんに攻撃を与える。


 戦闘中はアイテムボックスが使えない? えっと、じゃあ……


 

 ポーション!


 そう念じるのと同時に、ポーションが手元に出現した。取り出せた。『袋』からなら戦闘中でも取り出せるみたいだ。


 パリーン!


 直ぐにポーションを真下の地面に叩き割る。叩き割った破片は飛び散ることなく消滅(・・)し、地面からは緑の光が広がっていく。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 松本直人 HP:110/110

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ポーションは別に飲まなくても、身体に掛けたり、周囲の地面に叩き割っても回復する。自分ではなく、他者にポーションを使いたかったら、その人に向かってポーションを瓶ごと投げれば良い。ちなみに、ポーションが敵に当たったら敵も回復する。結構、他者に使うには注意が必要なアイテムだ。


 それでも、1000ドスコイで全回復するのは美味しい。最大HPが低くて全回復しているように見えるだけだけど、実際にはどれくらい回復するんだろう? それは最大HPが伸びたら分かる事だから今知ろうとしなくてもいいんだけど。


 回復して元気が戻ると、ヴリドラに一撃を与え討伐する。



 「戦闘状態で【アイテムボックス】が使えなかった。」


 「えっ、それって……」


 「戦闘中は【袋】しか使えなかった。成程……これで【袋】と【アイテムボックス】の違いがおおよそ把握できたか。」


  

 その後も幾つか検証をし、『袋』と『アイテムボックス』の違いを識別することが出来た。


ーーーーーーーーーーーーーーー

【袋】

 ・どんなものでも最大10個までしか入れられない。

 ・アイテム名のみを強く念じる事で取り出しが可能。

 ・戦闘中にも取り出しが可能。

 ・【袋】に武具を入れておくことで戦闘中でも武具を交換する事が出来る。交換前の武具は【袋】に収納される。


【アイテムボックス】

 ・どんな物でも無限に入れられる。

 ・1種類に入れられる個数に制限はない。99個が上限値とはなく、100個でも200個でも1000個でも入れられる。

 ・『いでよ、【アイテム名】』と念じれば取り出しが可能。

 ・戦闘中では使えない。

ーーーーーーーーーーーーーーー


 戦闘中は【袋】しか使えない。これはかなり貴重な情報だ。これを知っておけば、強いアイテムをアイテムボックスに収納して、戦闘中取り出せずに負ける事例を回避できる。今夜はこの情報をメインに掲示しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ