表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙人襲来!!  作者: Minoru
1章 調査編
41/66

#1-15 山本雄大 襲来!!

 「別に私なら全然待てるよ? しばらく、ここで待機でもいいけど?」


 トイレ待ちを気遣ってくれる谷口さん、なんか恥ずかしいんだけど。


 「いや、時間が勿体ない。別に我慢出来ない程でもないし。」


 「大丈夫?」


 「大丈夫。トイレ待っている間にも人間がどんどん犠牲になっている。それより、1秒でも早く作業をしたい。」


 適当に言い訳を作りここから出ようと移動したその時、『無職グループ』とは別で見覚えのある人影を発見した。


 その人影は派手な装備をしていた。銀色に輝く鎧、盾、そして剣。全身が鉄装備で覆われており、揚々と道路を歩んでいた。


 その姿と彼の名前と職業を見て、自分達は目を細める。龍やムーショックさんとは違い、その人はあまり会いたい人とは思わなかったからだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

 山本雄大 勇者 Lv.2

ーーーーーーーーーーーーーーー


 荒川の勇者様が出現したのだ。


 山本雄大。我が校、荒川高等学校で出現した唯一の『勇者』。『勇者』は現在世界で5人しか確認されていない。特に、日本の『勇者』は山本さんしかいなく、世界中から注目されている。


 山本さんはとにかく眼鏡の威圧感がとにかく凄く、周りからも一目を置かれている。彼の眼鏡が光った時、生きて帰った人間はいないという。眼鏡からはビームを発射し、身体では無く眼鏡自体が本体なのでは? と噂されている、冗談だけど。とにかく、彼は眼鏡がチャームポイントの人である。


 勇者様がこんな所で何してるんだ? 日本で1人しかいないとなると、日本政府の防衛省さんから呼ばれてもおかしく無いと思うんだけど。一緒にパーティーを組んでいた、剣闘士(清水)賢者(西村)はどうしたんだ?


 あの2人はブスとクソババアだったけど、勇者の山本さんはどうなのだろうか? 果たして、善なのかブスなのか?


 山本さんは谷口さんを無理矢理勇者パーティーに誘おうとして、新聞部のあの事件が起こった直後に切り捨てた奴だからな。良い印象は持っていないけど。


 まぁ、印象だけで判断してはいけない。あの2人のせいで悪者に見えるだけで、コイツだけ実は滅茶苦茶いい奴なのかもしれない。もし、そうだったら失礼だ。何せ、勇者だもんな。今はコイツの言動だけを見て判断するとしよう。




 山本さんは自分達の存在に気付くと、不気味な笑みを浮かべ、何も躊躇いもなくこちらに近付いてくる。どうやら、知らないフリをしてくれる訳ではなさそうだ。


 谷口さんの反応を見てみよう。非常に引き()った表情をしている。あんな事があったんだ。別にそんな顔をしても可笑しく無い。


 さて、この空気をどうやり過ごすか。


 山本さんは眼鏡をギラギラに光らせながら、自分には興味なさそうな素振りを見せ、谷口さんの前に立つ。谷口さんは冷や汗を掻きながら、じっと彼の様子を窺う。




 バコっ!


 その瞬間は一瞬だった。山本さんが谷口さんの腹部を強く蹴り出したのは。呆気ない光景に彼女は、悲鳴ひとつ聞こえず背中を強く打つ。自分も彼の想定外すぎる行動に身体が硬直する。


 「やっと見つけたよ、谷口さん。」




 *********************

 



 「山本君……一体何を?」


 谷口さんは絶念の眼差しを向けながら、そう問う。


 「何をだって? それはこっちのセリフですよ! 裏切り者の癖に!」


 「裏切り者……?」


 「そうだ! お前は裏切り者だ! 僕は貴方を尊敬していた……常に僕を超え続ける貴方を! そして、気づいたら貴方に好意を持っていた! こんな感情を抱いたのは生まれて初めてでした! 僕をこんな身体にした貴方には責任を取ってもらう必要がある……そう思う程に!」


 「……」


 「だけど、ひっくり返してみたらどうだ!? 貴方は大量の男を口説くビッチだった! 加え、特殊メイクで本当はまるで別人の様な不細工だった! 僕の憧れの人が……好きだった人がこんなヤバい奴だったなんて許せない! お前は裏切り者だ!」


 「……ご、ごめんなさい」


 「ああっ!?」


 「ごめんさない……私は山本君の裏切り者です……」


 「い、い……今更泣いて謝ってなんだと言うんですか!? それにこんな不細工に謝られてもストレスが溜まっていくだけですよ!? せめて、顔を見せないように土下座でもしたらどうですか!?」


 「ご、ごめんなさい……」


 谷口さんはすぐさま姿勢を落とし、地面に()いつくばる。


 「不思議だと思ったんです。何故貴方ではなく、僕が勇者なのか!あの記事を見てようやく確信したんです! 勇者は貴方の様なビッチには相応しくない! 僕の様な秩序正しき者に与えられるべきなのだと! 宇宙人は見ていたんです! 勇者になるべき存在は貴方ではなく僕なのだと!」

 

 「……」


 「これでスッキリしましたよ。僕は勇者として責任を取らなくてはいけない! 貴方の様な悪女には罰を与えなくては!」


 「……分かった。来て、覚悟は出来てる。」


 「その開き直りも、きしょいんですよ!!! 勇者の力を思い知っていただきます!」




****************



 はぁ、どいつもこいつもなんでこんな……


 アイツはブスだ、ブスの中の不細工だ。これで勇者パーティーは3人ともクソ野郎だったということで結論づけていいかな? いや、誰かの許可なんて要らないか。異論など認めない。誰がなんと言おうとアイツ等は全員不細工の仲間入りだ。


 山本が谷口さんに暴力を振り続けている。彼女は只々じっと苦しみながら、何一つ抵抗を見せないでいる。


 どうして助けずに黙って見てるかって? そんなの助ける為に決まってるだろ。


 自分はRPGで嫌と言う程、思い知らされているからな。感情を(あら)わに行動すると、足元がすくわれる事を。


 負けそうになる程に強いボスに出会うと感情が乱れ、普段出来るような行動や思考が出来なくなり、勝てる試合で敗北する展開はRPGでの醍醐味だ。


 自分はその人間的な弱点を克服する為、毎日そんな理不尽な展開と向き合い続け、最適解を出す反復練習を続けてきた。


 ピンチになった時に一番な大事な事、それは考える事だ。考えて考えて考えて、そして考えて、理不尽に対する鬱憤(うっぷん)を思考の糧にして行動する。


 もしラブコメ主人公みたいに、何も考えずに『やめろー!』と言って駆け込んでも、それが成功するのはラブコメ主人公だけだ。


 自分みたいなモブには、あのクソ勇者に傷一つ付けることすら叶わない。身体能力に天地の差があるからだ。


 相手はレベル2の勇者。山本だから元々のステータスも高いだろうし、レベルが1つ上がっているし、鉄装備で埋まっているし、勇者だから何かスキルも持っているかもしれない。脳死でタイマンを挑んでも、返り討ちにされるだけだ。


 それならば、武力ではなく口論で攻めていくしかない。


 フル活用した思考に結論を出し、自分は現場に歩み出した。


 自分は地面に押さえつけて殴っている山本に、そっと背中をポンポン叩く。


 「なんですか!? 今大事な所……っ!?」


 「?」


 山本は自分の姿に対し、思考を停止する。


 「ショt……いや、お前松本か?」


 「それ以外に何に見えるんですか?」


 「はっ! 何で犯罪者の貴方がこのビッチといるんですか? まさかお前、このビッチとパーティーを組んでいるんですか?」


 「それ以外に何に見えるんですか?」


 「ぷっ……くわーっはっはっはっ!!! ビッチと犯罪者がパーティーを組んでいるなんて、これ以上お似合いなものは無い! 僕は勇者なんだ! 最強の職業なんだ! そんな、僕がこんなビッチをパーティーに誘おうと思ったのが恥ずかしくて仕方ないよ!」


 「そんな勇者様に、とっても有意義なマル秘情報があるのですが知りたいですか?」


 「はっ! 貴方みたいな犯罪者の情報なんて、耳に鼻くそが入っても欲しく無いですね!」


 「そうですか? じゃあ、このスクショ見てからもう一度そのセリフ言って見てください。」


 自分はスマホである写真を山本に見せびらかす。



ーーーーーーーーーーーーーーー

 ・聖剣エクスカリバー:50G ドスコイ

ーーーーーーーーーーーーーーー



 「せ、聖剣エクスカリバー!? 何だこれは!?」


 「勇者様に相応しい剣です。」


 「ご、500億ドスコイ!? こんな高い剣は通販では見た事無い!? と言うことは施設の武器屋か!? おい、これこそ僕に相応しい剣じゃないか! 何処で売っているんだ!? 今すぐ吐いてもらいますよ!」


 へっ、掛かったな。

主人公はガチになるほど、ショタになっていく謎の特性(パッシブ)を持っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ