#1-9 師弟関係 襲来!! ②
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【松本直人の速度がα倍になると → 松本直人の敏捷性がβ倍になる】
α倍 → β倍
0倍 → 0倍(0m/s → 0)
1倍 → 1倍(5.9m/s → 79)
1.28倍 → 1.89倍(7.6m/s → 142)
2倍 → 5.28倍(11.8m/s →?)
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さて、ここからは数学だ。アホみたいに分からないと思うから、適当に読み飛ばすがいい。
速度の倍率を横軸、敏捷性の倍率を縦軸とするグラフを考えてみる。ここで、(0倍,0倍)、(1倍,1倍)、(1.28倍,1.87倍)の3点を通るグラフを想像する。すると、3点を通る曲線は原点を通る2次関数だと想定できる。
2次関数の式は『y = Ax^2+Bx+C』。3点を(x,y)に代入して、連立方程式よりA、B、Cの値を求める。
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0 = C
1 = A + B +C
1.87 = A×1.28^2 + B×1.28 + C
A=1.64 B= -0.64 C=0
二次関数の式を代入して、
y = 1.64x^2 - 0.64x
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よって、速度倍率による敏捷性倍率の関係性は、
(敏捷性倍率) = 1.64 × (速度倍率) ^2 - 0.64 × (速度倍率)
上の式で速度倍率を2に代入することで、松本直人の速度が2倍になった時の敏捷性倍率を求めることができる。
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2 × (1.64 × 2 - 0.64) = 5.28
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【松本直人の速度 → 松本直人の敏捷性】
0倍 → 0倍(0m/s → 0)
1倍 → 1倍(5.9m/s → 79)
1.28倍 → 1.89倍(7.6m/s → 142)
2倍 → 5.28倍(11.8m/s → 417)
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最後に『松本直人の速度』、『松本直人の敏捷性』、『敏捷性倍率の公式』を用いれば、速度を敏捷性に変換する公式が完成する。式の過程は面倒くさいので飛ばす。最終的には以下の公式になる。
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(敏捷性) = 3.72 × (速度)^2 - 8.56 × (速度)
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さて、地獄みたいな計算だったがなんとか公式まで導かせた。だが、ここまで頑張っておいてなんと正しい公式ではない。速度が一定値より小さくなると、敏捷性が負の値になってしまうからだ。
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【速度[m/s] → 敏捷性】
・0 → 0
・1 → -5(負の値)
・2 → -2(負の値)
・3 → 8
・4 → 25
・5 → 50
・10 → 286
・100 → 36344
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こうなったのは、おそらく50m走の記録が正確な値ではなかったからだろう。
そのため、無理やり負の値が出ないように、場合分けをして式を変える。数学的にはよくない行動だが、今回の目的は速度と敏捷性の関係を大体でいいから知っておく事。ここは妥協して、正確な値は専門家の方々に任せるとしよう。
速度が大きい場合、かなり信頼できる値になるのでこの公式のまま使用する。速度が小さい場合のみ……今回は速度が5m/s未満の場合のみ式を変換する。
適当な数字を当てはめると、2次数の次数が『2』になると速度が5m/sの時に敏捷性が50になったのでとりあえず適当にこの式を使う。
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【速度が5m/s未満の時】
(敏捷性) = 2 × (速度)^2
【速度が5m/s以上の時】
(敏捷性) = 3.72 × (速度)^2 - 8.56 × (速度)
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【速度[m/s] → 敏捷性】
・0 → 0
・1 → 2
・2 → 8
・3 → 18
・4 → 32
・5 → 50
・10 → 286
・100 → 36344
・1000 → 371万
・10000 → 3億7000万
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お待たせしました。ここまで導くのに滅茶苦茶頑張ったから誉めて欲しい。折角なので、身近の速さを敏捷性に表してみる。SNSではこの情報だけを共有すればいい。
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【速度 → 敏捷性】
・レベル1の人間の平均速度(6.5m/s) → 100
・車(100km/h) → 2,500
・新幹線(300km/h) → 25000
・ジェット機(800km/h) → 18万
・光の速度(30万km/s) → 3.4 E+17
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「ずっと気になってたけど、師匠って数学だけは出来るよね? もしかして数学だけ出来てる理由って……」
「ん? 全部RPGの為だよ?」
おい、ドン引きするな。
RPGはとにかく数学が大事。敏捷性と実際の速度の関係性を知れるだけじゃない。ボスのダメージ計算などにも高い暗算力が必要である。自分が理系になって数学を必死で学んでるのも、暗算力を高める為に独学で十露盤を勉強しているのも、全部RPGの為なんだけど……何か質問ある?
「速度と敏捷性の関係性を見つけたのはいいけど、これが実際に何の役に立つの?」
「魔物の『速度』を計測すれば、その魔物の『敏捷性』が予想出来る。」
「あっ」
彼女は何かを察した様に目を曇らせる。
「敏捷性とレベルが分かれば、今後相手のレベルを見るだけでどれくらい速いかが分かる。見つからないようにやり過ごすべきか、戦うべきかという選択肢を決める重要な材料になる。」
「自分より相手の方が敏捷性が高いと、逃げ切れないから?」
「そういう事。けど、同レベル帯でも魔物やプレイヤーによって敏捷性が変わる。なるべく出会った全ての魔物の敏捷性を知っておく必要がある。」
「魔物の速度の計測って大変じゃない? それに魔物は一体何百種類、何千種類いると考えると……」
「これが『創る』側の真骨頂、まさに地獄。でも相手のステータスを知れるだけで勝率は大幅に変わる。これで犠牲を少しでも減らせるならやるしかない。」
「相手のステータスを見れる能力とかあったら楽なんだけど……」
「鑑定系の能力か。一応、『盗賊』が一番そういうのを覚えそうだから選んだんだけど、期待はしていない。鑑定系は本当にチートだから。基本職で出てきたらヌルゲーになるから覚えないと考えた方がいい。あるとしても特別職、もしくは神話級のアイテムで出来る様になる可能性の方が高い。」
「じゃあ、鑑定系の能力は無いと思った方がいいね。うわぁ、攻略サイトを作る人ってこんな大変な思いしてたんだ。」
攻略サイトはググるだけで簡単に出てくるが、作る側となると作業という地獄が待っており、何も得する事が出来ない。
サイトを必死こいて作っても、知名度が無いとそもそも存在すら認知されない。どんなにクオリティが高くても、どんなに有益な情報を提供しても、知名度が低いせいで誰にも見てもらえない。それが現実だ。
もし知名度がある程度あって、ある程度見て貰えるようになっても、『感謝』される日など決して訪れない。貴方は攻略サイトを利用したら、作成者さんにお礼をわざわざ言うだろうか? 答えは否である。
誰にも感謝されずに、死に物狂いで集めた情報を奪われ、道具の様にただ利用される。これが『創る側』の人生。何百倍も努力している『創る側』は決して讃えられる事は無い。讃えられるのは最前線で活躍している『攻略する側』だけである。
「やっぱり谷口さんは今すぐにでも『攻略する側』に移行するべきだと思うんだけど……」
そんな言葉をボソッと溢してしまった。その一言に彼女は目を細める。
「……どうして?」
あ、やべ。変なこと言っちゃった。まぁ、それは自分の本心だし全部話すか。
「谷口さんは世界ランキングで34位だから。当初、34位ということは『全人類がレベル1の状態でステータスが34番目に高い』と言う事。レベルさえ上げれば、きっと谷口さんはとんでもないステータスになる。『創る側』の環境は前線と比べて、レベルなんて全然上げれない。RPGプレイヤーに憧れたなら、今すぐにでもレベル上げて少しでも強くなるべき。」
「でも、ここに居ないと欲しい知識と情報を得ることが出来ない。」
「別にここに居なくても知識と情報は得られる。自分の攻略サイト見ればいい。自分は谷口さんに攻略サイトを提供する。自分が強くなるための材料を与え、谷口さんが強くなる。こっちの方がお互いに都合が良いと思うんだけど?」
「……」
道理は合っている筈。
谷口さんは強くなりたいと願った。だから自分の弟子を希望した。自分は師匠として弟子を強くなるために最善を尽くしたい、それがこれだ。
どうせ自分の攻略サイトなんて知名度が無い以上、誰も見て貰えない。まぁ、龍君は利用してくれると思うけど。そして谷口さんも利用する側になって欲しい。
「ふざけないで。それって私が師匠を踏み台にして強くなれと言う事だよね? そんなの絶対に認めない!」




