#13 初めてのゲーム 襲来!!
1日3000字目標で書いてるけど、結構時間取られちゃうんだよね。もっとスラスラ書けるようになりたいぜ。
居心地が悪い朝を迎える。何時も見ている天井ではなかったからだ。
あれ、自分ソファーで寝てたっけ?
そうだ、本当は谷口さんが起きるまで寝ないよう心掛けたけど、結局寝不足で寝落ちしたんだっけ。
身体をゆっくり起こし、時刻を確認する。
『AM 8:00』
ていうか、もう朝じゃん。そういや、谷口さんはどうなった?
眠たい身体で足を踏み出し、谷口さんを寝かせた寝室の扉を慎重に開ける。
寝室には誰もいなかった。あたりを見渡しても自分以外に人がいる気配がしない。
いないな。どこへ行ったんだ?
もしかして、自分の布団があまりにも臭いから、怒って帰っちゃったのかな?
何にせよ、安否が分からないと流石に不安になってしまうな……ん?
食堂の机の上に一通の手紙が置いてあった。昼休みに机の引き出しの中に入っていた、谷口さん宛ての封筒と同じ物だ。恐らく今回も谷口さん宛てだろう。
手紙を取り出し、中身を開く。
『松本君へ。昨日は寝落ちしちゃってごめんね。布団譲ってくれてありがとう! 私は早朝に起きたので始発で帰ります。お詫びに朝食を冷蔵庫に入れておいたから食べてね!』
冷蔵庫を開けてみたら手作りのサンドイッチが入っていた。相駆らわず谷口さんは気遣いがいい。まぁ、このサンドイッチで疑問に感じたことがいくつかあるのだが。
まず、材料はどこから持ってきた? 自分の冷蔵庫にはサンドイッチを作る材料は入っていない。ということは、何処かで買ってきたことしか考えられない。
わざわざ、家を出て、帰宅し、調理してくれたのか? 気遣いのレベルが高すぎて、めっちゃ申し訳なくなる。
それに包丁が濡れていたり、最近調理した痕跡が幾つか残っている。
ここで思ったのが、ちゃんと電気をつけて料理したのかどうか? 自分が例え寝ていても、まだ真っ暗だから電気がつくことくらい気づくはずだけど、何故か気づかなかった。
どうやら、気付かないくらいに、熟睡していたようだ。彼女のことだから、電気を消しっぱなしで調理してる可能性の方が高いけど。彼女ならやりそうだから恐ろしい。
まぁ、味が相変わらず普通なのは彼女らしいけど……ん?
手紙の右下に小さく文字が書かれていることに気づいた。読み上げてみる。
『追記:今日の午後にまた来るね!』
おいおい、今日は休日だぞ。今日くらい勘弁してくれ。
********************
そして午後、約束(?)通り、谷口さんが襲来してきた。彼女は自分にちょくちょく質問しながら特別授業の資料を作成している。ひとりでやるよりも、時間効率がいいとのこと。絶対に通勤時間削って自宅でやった方が効率いいだろ! と文句をいうと谷口さんは可愛らしい顔で『?』を向けられる。
ちなみに自分は携帯機でRPGをしながら、谷口さんの質問を適当に答えてる。
「うーん、終わり! 残り5回分の授業分の資料も全部作ったよ!」
「早すぎません? まぁ、とりあえず、お疲れさまでした。」
「えへへ、質問答えてくれて助かったよー!」
「そうですか。」
資料全部作り終わったのならもう自分は必要ないね。はぁ、早く帰ってほしい。とてもゲームがやりにくい。
「ねぇねぇ、松本君がさっきからやっているのってRPG?」
「そうですね。宇宙人来たら、もう一生出来なくなるかもしれないので、例え谷口さんがいても、今の内にやれるだけやっておきます。」
「宇宙人来たら、リアルRPGが一生できるかもしれないじゃん。」
「……じゃあ、リアルRPGの予習ということで。」
「はぁ、もう松本君だけでは質問ノートが消化できなくなってきたなぁ。」
「じゃあ、もう帰って下さい。」
「ねぇねぇ、15000時間もやってるのに、どうして答えられない質問があるの?」
「回答がゲームによって異なる質問ばかりだからです。
例えば、さっき聞いてきた『知力』というステータスは何かという質問に対して。
『知力』は魔法の威力だったり、属性攻撃の耐性だったり、クリティカル率だったり、AIの判断力だったり……ゲームによって、それぞれ正解が異なるんですよ。
リアルRPGの『知力』の役割なんて、実際に触れてみないと分からないじゃないですか。
谷口さんが残っている質問は『リアルRPG』に実際に触れてみないと消化できないものばかりですよ。」
「そっかぁ、これ以上理解するには実際にRPGに触れてみたいと分からないかぁ。」
じーっ……
何これ。滅茶苦茶谷口さんに見られてるんだけど。すげぇ恥ずかしいし、今ボス戦なんだよ。全然、集中出来なくなるからやめてくれ。
「よし、決めた! ねぇねぇ、私もRPGやってみたいんだけど。」
「ネットやゲームは親に禁止されていませんでしたか?」
「うん。ちなみにゲームだけじゃなくて、ラノベ、漫画、アニメも全部禁止されてるよ。でも、バレなきゃ犯罪じゃないから大丈夫!」
絶対アニメ見てるだろコイツ。
「それに親の規律よりも大事なことがあると教えてくれたのは松本君だよ?
それに、もっとRPGを知らないといけないと思ったの。やっぱり経験した方が、学べることも多いからね。」
「はぁ、分りました。谷口さんの事だから、いつかそう言うような気がしましたよ。ですが、どうなっても知りませんよ。」
「やったー!」
こうして、谷口さんは人生で初めて『ゲーム』というジャンルに触れることになった。
********************
人生で初めてゲームに触れた谷口さん。無論、操作方法も何も分からない状態なので、一から順に教える。
谷口さんは生まれて初めて『ゲーム』をする。彼女にとって未知なる世界。ゲームをやったことない人にとって、ゲームは勉強の成績を下げるものと悪印象を持たれてることだろう。だが、決してそんなものではない。ゲームとは勉強の成績を下げる覚悟を決めて楽しむものだ。
果たして、谷口さんが『ゲーム』というジャンルを楽しんでくれるだろうか。そこが一番心配してたけど……
結論、滅茶苦茶ハマってくれた。
まるでゲーム実況者のリアクションを見せ、滅茶苦茶楽しそうにプレイしている。配信者の才能があるんじゃないか?
今回用意したRPGは新作でグラフィックが凄い作品……ではなく比較的古いコマンド形式の作品を用意させてもらった。
新作は初めての方でも安心! な傾向があるのに対して、古い作品の方は難易度の高かったり、初見殺しのイベントが多い傾向がある。
谷口さんがRPGやるのはあくまでも勉強するためなので、難易度は高い方がいいよね、ということで。
「あのー、再序盤の雑魚敵で全滅したんだけど。」
RPGあるあるその1、雑魚敵が想像以上に強い。
「これがゲームでよかったですね。現実だと天国行きです。」
「グサッ。」
「RPGって普通、再序盤が一番4にやすいんですよ。レベルは低いし、まだ情報が足りない状態ですからね。」
「えっ!? てっきり、最初が簡単で段々難しくなっていくものかと。」
「最近のゲームは『チュートリアル』が充実していて最低限の情報を全て教えてくれますからね。チュートリアルが少ないこういった古いゲームは再序盤で大抵のプレイヤーが叩き潰されますよ。」
「そうなんだ。『リアルRPG』もチュートリアルは無さそうだよね。
特別授業に『序盤が一番、あの世に行きやすい』ことを念入りに伝えなくちゃ。
えーと、雑魚敵が強すぎて全然先に進められる気がしないんだけど、どうすればいい?」
「最初の街の近くで雑魚的を乱獲して、経験値とお金稼ぎ、HPが無くなったら街に戻って回復。これを繰り返してください。」
「なるほど。お金を溜めて強い装備を買うんだね!」
「いや、装備よりも回復薬を大量に買った方がいいです。」
「武具は買わなくていいの?」
「世間では買おうとしてる人多いけど、自分はいつも買っていません。」
「どうして?」
「その内、分かります。」
「?」
谷口さんは人生初のレベリングを始め、ある程度、お金が溜まると、指示通りに回復薬を大量購入した。
「回復薬こんなに買ってもいいの? 勇者彩香はレベル上がって回復魔法覚えたから、そんなに大事な物なのかなって。」
「MPがまだ少なすぎるので、まだ回復魔法は数回しか使えませんよ。MPは街に戻らないと回復できないので最初は回復薬で回復しましょう。」
「武具は本当に買わなくていいの? 資金的に余裕あるけど。」
「じゃあ、試しに買ってみたらどうですか? 買ったらどうなるか知れますよ。」
「分かった。ゲームだから試しに買ってみるね。」
谷口さんは『銅の剣』を購入して、万全の状態で最初のダンジョンに挑む。
ストーリー的にはお使いを頼まれて最初のダンジョンに行く感じになっている。目的地に着くと最初のボスが、お使いの品の前で待ち構えている。
さっき、全滅した雑魚敵も回復薬を活用しながら突破。ダンジョンの奥へと進んでいく。
「あ、宝箱だ!」
RPGの楽しみ宝箱。彼女は『トラップ《あれ》』の存在を知らないので躊躇なく開ける。
ガチャ。
『「銅の剣」を手に入れた!』
「……」
RPGあるあるその2、頑張って新しい武具を買ったのに、次のダンジョンの宝箱に同じ物が入っている。
「自分がショップで武具を買わないようにしてる理由、分かりました?」
「はい、よく分かりました。」




