24 しろくま先生、教師になる3
大変お待たせしました。
ギルドの手伝いに集中した数日間が終わると、俺は、若者達の教育カリキュラムを、いかにして組むか、考えた。
若者には、未来がある。
知識と経験を与えたい。
俺の知識と経験が役に立てば、それに越したことは無いが、本人達に経験を積ませてあげたい。
自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じた事は、一生の財産になるのだから。
マリーさん曰く、貧富の差があり、身分の差があり、運の有無でその人の未来が決まるのは、余りにも理不尽なので、そういう人達の為にも、冒険者ギルドに来れば、何とか生きていける様にしてあげたい、との事だった。
身体と心の健康、最低限の読み書きそろばん、この世界の一般常識、心の糧である文化・教養。
日々食べていける様に、経済活動の為の知識・技術。
何よりも、身の安全。
欲を言えば、キリが無いのだが。
結論、とりあえず、まずは体を丈夫にする事。
俺は、一緒に体を動かして、いくことから始めることにした。
日本で、発明されたラジオ体操を、毎朝準備体操としてすることにした。
ひとまず、第一体操だけ。
何と、初日に見学に来た、マリーさんとロイドさんが試しに参加したところ、大変気に入って、毎朝参加するようになった。
すると、『2人ばかり面白そうな事をしてずるい』と他の数名のギルド職員たちも、参加するようになった。
マリーさん曰く、朝体操には思わぬ副産物があったとのことだった。
事務仕事に追われていたギルド職員の、肩こり・腰痛の軽減と防止、仕事の効率向上、などの効果があったようだ。
石造りの建物の中で、長時間座りっぱなしのこともあり、冷え性にもなりやすい女性は、特に効果があったらしい。
五人の若者達は、意外にも飲み込みがよく、すぐに覚えたので、体操の号令係を日替わり交代で、やらせるようにした。
ノリノリでやってくれた上に、他にも教えて欲しいと言うので、第二体操も教えた。
冒険者によっては、面妖な動きに見えたらしく、やっかむ人もいたらしい。
その話を聞きつけたトムさん達が、体操に参加して、その後食堂で、随分好意的な話をしてくれて、俺とラジオ体操の評判を上げてくれたと、後でマリーさんから聞いた。
のちにラジオ体操は、ギルド体操と名を変えて、この世界の冒険者とギルド職員の健康維持の為に、広まっていく事となる……なんて、この時の俺は、無論、知らない。
次に、食事の改善に取り掛かる。
食堂のおばちゃん、アンナさんは、実に協力的だった。
野菜を多めに摂らせて、肉や魚介類も…無い時は豆・乳製品を入れてもらう様に頼む。
栄養学の難しい事は置いておき、とりあえず、パンと野菜とたんぱく質があれば、良い。
何色か一皿の中に入ればなお良い。
と、話したところ、ほんの少し常備菜を入れるだけで、改善することができた。
アンナさんは、予算の事もあるけど、なるべく努力すると約束してくれた。
俺も少しずつ、自分に出来ることをやっていこう。
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