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23 しろくま先生、教師になる2

大変、お待たせしました。

久々に投稿します。

 地下室へは、ギルドの一階、受付窓口の端で入り口から真っ直ぐ突き当たりの階段を降りると、すぐ目の前に大きな扉があり、迷わずに済んだ。

 階段と大きな扉の間には、細い廊下が左右に渡されており、それぞれの突き当たりは、倉庫になっているらしい。

 地下室独特のひんやりとした冷たさが、心地よく俺の頭と身体を冷やしていく様だ。

 また、カビ臭い匂いは、若い時に海外を旅した時に訪れた、チーズ蔵やワイン蔵を思い出させる。

 俺もまた、美味いワインの様に熟成した大人になれているのだろうか。






 一礼し、冒険者ギルドの地下室の廊下から、中に入る。

 中には、副ギルド長のロイドさんと、例の五人組がいた。

「おはようございます。今日から、皆さんを教える事になりました。しろくまと申します。よろしくお願いします。」




 ここからが、ほんっとうに本当に、大変だった。

 俺の挨拶に、返事をしたのは、ロイドさんだけ。

 五人組は誰一人、返事を返さなかったのだ。

 まあ、ある程度予測はできていたが、まさか、これほどとは。

 何かを教えるとか、教わるとか、以前のレベルだったのだ。

 正直に言うと何もかも放り投げて、辞めてしまおうか、と思ったが、これも何かの縁だろう。

 俺は、噛んで含める様に、語り始めた。




 挨拶というものは、君達にとっては面倒かもしれないが、人と人が、意思疎通をするのに、必要不可欠なもので、私は、あなたに敵意を持っていないという、証明にもなる。

 最初に人と会ったら挨拶をする様にしよう。

 という内容を、簡単な言葉で丁寧に説明したのだが、どの程度伝わった事やら。


 まあ、今日は、お互いの自己紹介と立ち姿の指導と、(そう、真っ直ぐ立つ事すら、困難だった)挨拶をする事を徹底的にすることにした。

 だが、挨拶一つで、こんなに苦労するとは。

 これくらいの事もできないとは、腹立たしいを通り越して、情けない。

 だが、こんな万国共通の常識も、教えてもらえなかったなんて、かわいそうになった。


 俺は、親鳥の如く、五人のバカもん、あ、いや、若者に手本を示すことにした。


 ギルドの下働きを、一緒にする事にした。先頭に立ち、掃除や事務仕事の手伝いをする。まあ、大事な仕事はさせてもらえないのだろうが…。

 人と会ったり、狭い室内や廊下をすれ違ったりする時は、初回は必ず「こんにちは」。

 二回目以降は、軽い会釈…目礼という感じだろうか。



 食事の時間も、バ…若者五人組と一緒に取って、トムさん達とは別のテーブルについた。遠目で心配そうに見守ってくれているのは、分かっていたけれど。

 まずは、お互いを知ることが必要だ。


 ブロッコリーというのが、リーダー格の若者の名前で、あとの四人はブロッコリーの名前から一部をもらったという事だった。

 絵に描いた様な貧困や苦労をして来て、たどり着いたのが、冒険者ギルドでもらう仕事で食いつなぐ日々だったらしい。

 グレた若者達の助けになるべく、ブロッコリーが頑張って、4人もブロッコリーに感謝していると、言っていた。

 やり方を間違えて愚連隊の様になっていたが、それなりに頑張っていたのなら、俺もやりようがあるかも知れない。




 学ぶ気が無かった。

 本人のやる気の問題。

 才能や才覚の無さ。

 言い訳は、いくらでもできる。

 だが、チャンスの有った人間と無かった人間で、差が出るのは、あまりにも不幸では無いか。


 俺は、60歳近くになってから、働きながら大学院に行った。

 学ぶのは、好きだったし、「芸は身を助く」を地で行く人生だったから、資格はいくつ持っていても良いと思っている。

 家族からしたら、資格を取りまくるのが、趣味の様に見えたかも知れない。

 しかし、資格を取っていたから、失職後に転職もなんとかなったし、結婚も子育てもできたのだ。

 まあ、家族の理解があったからこそ、できたことではあるが。




 何とか助けたい。

 この若者達を。

 将来に繋がる何かを、掴ませてやりたい。

 そう、強く思った1日であった。


お読み頂きありがとうございます。

不定期ですが、ボチボチ投稿していきますので、これからもよろしくお願いします。

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