222 育成にハマってました?
ジェイ達は、晴れやかな笑顔のまま扉を潜った。
「やべえっ。こんな人と喋ったの久しぶり過ぎて顔の筋肉がおかしいっ」
ジェイは愛想笑いではないが、楽しく対応している内に表情筋を使い過ぎておかしくなったらしい。久しぶりに人と出会い、会話したからだろう。
「あ〜、もうダメ〜。めちゃくちゃ荷物増えた〜」
ケイは、祖父母から借りていた本を返せと言われたと言って、かなりの返却物があったようだ。空間収納に当然のように仕舞われていった。
「宝石箱って言うか、宝箱もらった気分なんだけど……これ、残ってたお金全部使ったわね……後は形見かあ」
アイも遺言関係でのものだったが、どうやら男性からは遺産を大半注ぎ込んだ物。女性からは形見として、多くが宝石類が手渡されていた。
「留守にし過ぎたんじゃないです?」
「「「反省してます……」」」
時間の感覚が麻痺しているのは仕方がない。しかし、やはりせめて一世紀以内には寄るべきだったのだ。宗徳の指摘に、素直に反省したようだ。
そんな師匠達を見て、宗徳は気になった。
「そんな帰ること忘れるくらい楽しい所があったんで? 同じ場所にいたんですか?」
「あ〜……いや。俺は魔王育ててた」
「え? マオウ……魔王?」
聞き間違いかと思った。
「私はドラゴンよ!」
「どんな?」
ドラゴンと言うだけでびっくりなのだが、宗徳が気になったのはそこだ。
「惑星を一つ」
「「え? ズルい!」」
「「「「……」」」」
なんかヤバい事聞いたなと宗徳達は一歩引いた。
「惑星一つなんてっ。どこ!? ヤバっ! 楽しそうっ!」
「いいよな〜。気象も弄れんの? ってか、生態系から?」
「違うわよ。放置されたのがあって、たまたま管理者募集があったから応募したら即採用だったの。ある程度の文明が育った頃ね。まあ、そこの前任の神達のせいで滅茶苦茶だったけど」
「え〜、それマジで楽しそうだし」
「いいわよね〜。ある程度まで育ってるならやりやすいわ」
やはり色々とスケールが違う。
「それ、神様やってたってことっスか?」
「そんな感じね。まあ、実際は神様の眷属っぽいけど。お手伝いする天使みたいな? で、賢者枠で人界に降りて、先導する感じかしら。気を付けないと怪しい宗教の教祖みたく仕立てられるから注意しなきゃだけど」
「うわ〜……ありそう……」
「あれ、困るんだよな」
「勝手に祀り上げてくるのよね」
「ちょっと留守にすると、勝手やってて、全部こっちのせいにされるのよ」
「「そうそう」」
「……」
その辺、あるあるらしい。
「お前らも気を付けろよ? 派手に動き過ぎると、歴史に名とか人物像が残っちまうんだ。で、何十年か後に様子を見に来ると、神様っぽくなってたりするから」
「勇者とか英雄枠もあるけど、神様枠が一番厄介で、信仰とか塗り替えちゃうとね。元の神様の力が弱まって、世界のバランスを崩しちゃったりするからね」
「責任取れって、責められたりするんだよな〜」
「……誰に?」
「「「神に」」」
「「「「……」」」」
国単位でも、領地改革程度ならば良い。元々、土地開発などを目的にお願いされた状態で扉は繋がる。文化発展などの救済目的でということだ。
「理不尽よね〜。発展させ過ぎると怒るし。けど、発展の見込みがないと世界って衰退して消滅するのよ。それはそれで嫌がるのよね〜」
「世界の消滅とか……本当にあるんですか?」
寿子が恐る恐る尋ねる。
因みに、こちらの世界に来ているので、宗徳も寿子達も若返っている。しかし、ジェイ達の姿は変わらなかった。ここでは師匠と弟子らしく見られそうだ。
「あるわよ? 結構、好き勝手作ったりするのよ。けど、いくら次元が違っても場所はそれなりに取るからね。少しは滅ぼさないといけないのよ」
「そんな……」
「まあ、神と人って、やっぱり感覚は違うから」
「そう……なんですね……」
複雑な表情を浮かべる寿子達。しかし、宗徳だけはなぜか納得顔だ。
「そりゃあ、俺らも神様に勝手な願い事とかするしな。神様の方が勝手をしても仕方ねえよ」
「おおっ。やっぱお前、俺らと感覚似てるわ」
「本当よね〜、さすが私たち、勘が冴えてる〜」
「あなた達も慣れなさいよ? というか、あの屋敷に神いなかった?」
「ああ。龍神の子とここの神とは一緒に暮らしてますよ?」
「……あなた達の方がよっぽどおかしいからね?」
「俺もねえわ。異世界の神と同居? すげえじゃん」
「どおりで、感覚似てるわけよね」
「「「「……」」」」
良い拾い物したなと三人は満足そうに宗徳達を見ていた。
そこに、善治が顔を出したのだ。
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