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223 遠い親戚?

善治は最初、普通に誰だろうとジェイ達を見た。口にしようとしたが、すぐに閉じる。そして、しばらく考えてから目が泳ぎ、カッと見開かれた。


「ジェイおじさん?」

「ん? え? あっ! お、お前っ! 直治っ、いや、まさかっ、息子の善治か!」

「はい。善治です。桃のおじさんですよね」

「おうっ! よく覚えてたなあっ。そうそう。桃をやったわ。お前あの時、まだ五つか?」

「はい。なぜかおじさんのことは、大人になってもずっと気になっていて」

「お前、才能ありそうだったからなあ。直治の息子じゃなかったら、養子にしてたぜ」

「それは……光栄です」


ジェイも善治も嬉しそうに歩み寄っていく。善治が弟子達には向けない気安い笑みを浮かべているのを見て、宗徳達は驚く。


「善じいがあんなに喜ぶの初めて見た」

「お知り合いだったんですねえ」


寿子の言葉に答えるように、ジェイが善治の肩を叩きながら振り向く。


「こいつの父親の直治(なおはる)は俺の兄貴のひ孫でな。兄貴に、子孫を見守ってくれって言われたもんだから、まあ顔出したりしてたんだよ。けど、もう俺の事分かる直治もいねえし、これはもう本当に見守るだけになっちまったなと思ったんだが……」

「あ〜、事情知ってる人じゃないと、会いに行っても怪しまれそうですもんね」

「そうそう。直治の頃までは、まあ、半世紀より短い周期で顔出してたんだが……ちょい空いちまったからな」


兄に魔導士になった弟だと息子に紹介され、その次の子にも同じように紹介されていけば、なんとか信じられるだろうが、遺言があったとしても、突然、先祖の弟ですなんて言われても不審者扱いされる可能性は高い。


だから、ジェイはもうこの一族との繋がりはほとんど切れてしまったと思ったようだ。


「いやあ。嬉しいな。けど……お前、死んだ事になってるか?」

「ええ。ですが、子孫は……勇者召喚でこちらに来たこともありますし、宗徳達が関わっているので、話は通るかと思います」

「ん? そうなのか? え? 勇者召喚? この世界で?」

「そうっすよ。ウチの孫娘と友人になってるんで、屋敷にもたまに遊びに来てます」

「あの屋敷に? なら確かに……通じそうだな。よし、今度会わせろよ?」

「はい。なら善じいも一緒に」

「っ……分かった」


善治はほとんど地球に戻らないため、治季がこちらに来た時に会って以来再会していないようだ。善治はどうも接触を避けているようにも感じていた。戸惑いもあったのかもしれない。何より、治季が自身の両親にも説明しづらい事だ。申し訳なくも思っていたのだろう。


しかし、ジェイとの再会もあり、少し考え方が変わったようだ。


「ねえ。さっき勇者召喚って言った?」

「言ったっすよ? ウチの孫娘も一緒に来たんで焦りましたわ」

「複数とか……この世界で? よく無事に召喚できたわね……検査とかは?」

「大丈夫でしたわ。何かまずいのですか?」


寿子も不安そうに確認した。


因みに、話がわからない亮司と幸菜は静かに見守っているのだが、善治に何やら書類を手渡されて椅子に座り、何やら書き込みはじめていた。


「異世界から何かを召喚するって、簡単じゃないのよ。本来ならやれないことを可能にするのは、神の力や意志が加わるから。ただの人には無理なの。その無理を通そうとするなら、無茶をするしかない。生け贄とかね」

「嫌な感じっすね……」

「うん。その生け贄ってのも、神が注目するからそれで成功するだけで、実際は生け贄が召喚の力になるかって言えばそうじゃないわ。まあ、間接的にってことには変わりないかしら」

「勇者召喚? 異世界召喚? ではく、神様召喚ってことでしょうか?」

「そういうことね」


生け贄によって異世界召喚が成されるのではなく、神に注目させることで、結果的に成功しているだけだと言う。


「でね。私の体感だけど、ここの神達は全員、異世界から何かを召喚することを拒否してるわ。まあ、だからライトクエストがこうして仕事を請け負っているんだけど」

「ん? じゃあ、逆に言うと、異世界召喚を許容していない世界に俺らが呼ばれる?」

「そういうこと」


正規の契約として扉が繋がっているので、召喚術は拒否しているということらしい。


「大体、ライトクエストは、異世界召喚反対派だからね。元々、そうやって召喚された人たちを助けるために組まれた組織でもあるから」

「なるほど……」


だからこそ、関係を持っている世界で召喚術が発動したことが不思議らしい。


「無理に何かした奴がいるわね。心当たりとかない?」

「あ〜……あっ、イズ様が孫娘達が召喚される時に見えた人影を見てなんか……名前言ってたよな? 横文字っぽいの」

「っ、ええ。そうですわ。横文字で……イ? マ? ルもあったような……」

「「「イルマン!!」」」

「っ、それです!」

「おおっ。知ってる人です?」


ジェイ達が三人とも声を揃えた。そして、揃って嫌そうに眉根を寄せた。






読んでくださりありがとうございます◎

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