7月25日(土)
7月25日(土)天気 くもりのち晴れ
児童館のプラネタリウムを見に行きました。夏の星のお話、面白かったです。途中、星が近かったらいいなと思っていたら、本当に降ってきました。優しい怪異がいたみたいです。
朝はくもっていたが、日が上るにつれ、空が青に染まり、暑くなってきた。
「おはよう、天さん。」
「おはよう。今日の行き先は決まっているのかい?」
「うん。天児童館のプラネタリウムを見に行くの。天児童館の近くに怪異さんいるかな?」
「それなら、ちょうどプラネタリウムにいるよ。現象に近い子だから喋ったりはできないけれど。」
「会えるかな?」
「あの子に会える条件を私は知らないから、なんとも言えないけれど、…君なら会える気がするな。」
「やった!楽しみだ。いってきます!」
「いってらっしゃい。楽しんでおいで。」
昨日の帰りに話してから、天さんに飛翠が楽しんでいることが伝わったようだった。
飛翠が怪異と会うのを嫌がるのではないかという心配をしなくなっていた。
飛翠は天児童館に向かう。天児童館は飛翠の住む♢市天町にある児童館だ。プラネタリウムが併設されている。
児童館に入ると、夏休みだからかいつもより賑わっていた。
「飛翠だ!やっほー。」
同じクラスのみさこちゃんが話しかけてきた。
「みさちゃん、やっほー。児童館来てたんだ。」
「そうだよ。だいたいいつも児童館で遊んでるんだ。外暑いし。」
「あー、そうだよね。」
飛翠は天さんのおかげで、涼しく過ごせているが、他の子にとって外は暑いのだ。
「飛翠は一週間何してたの?児童館来てなかったよね。お外大好きな飛翠は大変だったでしょ。」
「えっと、宿題とか?」
「え、偉すぎる。てか聞きたくなかった。宿題やってたとか、私日記すら書いてないよ。」
「それは大変じゃない?後になってから思い出しながら書くんでしょ?」
「まあ、だいたい毎日児童館だったし、書くこと決まってるからいいかなって。そうだ、飛翠一緒に遊ぼうよ、今から卓球するんだ。」
「うん、あそぼ!プラネタリウム見るつもりだからそれまでの間だけど。」
「飛翠、プラネタリウム見るの?じゃあ私もみようかな。もう100回くらい見てるけど、プラネタリウム見るの飽きないんだよね。いろんな星に目がいって。」
2人で話しながら卓球室に向かう。前の子が大戦終わったようで、待ち時間なく遊べた。
みさちゃんは毎日卓球をしているようで、かなり上手かった。飛翠があっちこっち飛ばしてるピンポン玉を綺麗に打ち返してくれる。
しばらく遊ぶと、プラネタリウムが始まる時間になり、2人はプラネタリウム室に向かう。
入り口で100円を払い、みさちゃんがここが見やすいと言う席に隣同士で座った。
プラネタリウムが始まると世界がスッと暗くなり、満天の星空が映る。チラチラ、キラキラと言う言葉が似合うような、小さな光が数えきれないほど輝いていた。
(きれい。)
夜の空を見上げても、こんなたくさんの星は見れない。もっと暗い山のほうに行けば見れるそうだが、♢市では見れなかった。
解説員さんが、星の解説をしてくれている。夏の大三角から、もう過ぎているが、七夕の話、天の川の話をしていた。星と星の距離の話、地球から星々への距離の話になり、近くに座ってた小さな子が、
「とおいー」
と、声を出し、隣に座っていたお母さんに注意されていた。
星との距離は光すら何年もかけて進むくらい遠い。今プラネタリウムで見ている星は、本物の星空より近いはずなのに、それでも遠くに感じる。
(もっと、星が近ければいいのにね。)
それは太陽が近づくようなことだとか、そういう現実的な話ではなく、あのキラキラと小さく輝く光が、もっと近くに来てほしいというような、幻想的な願いだった。
しばらくぼんやりと星空を眺めていると、ふわりと星が動いた気がした。
はっと目を瞬かせると、星の光がふわりと動き出し、ゆっくりゆっくりと落ちてきた。
(わ!星が本当に来た!)
雪よりもゆったりと小さな輝きが降りそそぎ、床や人にあたって弾けるように消えていく。
飛翠はその輝きから目が離せなかった。
どれだけの時間見入っていたのだろうか。気がつくと星の投影が終わり、隣のみさちゃんに肩をゆすられていた。
「飛翠、ぼーっとしてないででるよ。寝てたの?」
「ごめん、今出る。途中すごかったね、星が降り注いで、キラキラ落ちてきて、私あんなプラネタリウム初めて見たかも。」
飛翠はまだ、先ほどの光景に心奪われていた。少しぼんやりとした心持ちでみさちゃんに感想を伝えると、
「星が降る?何言ってんの?そんなのなかったけど。やっぱり寝てたんじゃないの?」
「え?」
みさちゃんいわく、今日は夏の大三角と七夕の話、星の距離の話、そして、今日見える星の話だったそうだ。星の距離の話までは覚えている。だが、今日見える星の話は覚えていない。確かに途中から解説員さんの声が聞こえなくなっていた気がする。
(本当に寝てたのかも、もったいないことした!でも、星が降ってきたあの夢も綺麗だったな。)
そんなことを考えながら、プラネタリウム室の外に出ると、プラネタリウムを見終わった子が休憩していた。
その中で、プラネタリウム中に喋っていたあの小さな子がお母さんに、
「ねえ、星が空から降ってきたの、綺麗だったねぇ。」
と、話しかけていた。お母さんは何を言っているのだろうと不思議そうにしていたが、飛翠はわかった。きっと同じものを見たのだろう。
(2人で同じ夢を見たわけない。なら、天さんの言っていたプラネタリウムの怪異さんかも。)
星が遠いと思っていた2人に、星を届けてくれたのかもしれない。なんだか嬉しくなった。




