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夏休み怪日記  作者: UMA5
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8月19日(水)

8月19日(水)天気 晴れ


 今日運動公園に来たら、木の影が怪獣のように動き出しました。あっちこっちで大怪獣バトルのようなものが発生してました。なかなかの迫力でした。最後は平和になりました。




 金曜日に会った影の怪異さんが、こっちに来てと指差し手招きしていた。


「何かあるんですか?」


 飛翠の言葉に「速く!」とでもいうように、走るような動作をしていた。


「わかりました。向かいますね。」


 向かっていく方向から運動公園だろうと予想をつける。ひまわりさんと会ったところだ。

 運動公園の森の前、そこから先は影の怪異さんが木の影の中に隠れてしまい進めないのだろう。「あっち行って来て」というように、指を指していた。


「森の方ですか? わかりました。いってきます。」


 相変わらず薄暗い森の中、時折風が吹いてきて、ザワザワと葉っぱが騒いでいる。

 何があるのだろうと見回っていた時、風の吹き荒ぶ音とは違う、怪獣の唸り声のような音が聞こえた。

 音の方に向かっていくと、日の光が入り、木の影が、いくつかずつに分かれた場所で、その木の影が怪獣のようにうごめいていた。


「ブォーーン!」


 一体の影の怪獣が咆哮をあげ、別の怪獣に向かって噛み付いた。


「ブァーーブ!」


 噛みつかれた怪獣は体を勢いよくねじって振り払い、尖った爪のようなもので切りかかる。

 そこに、3体目の怪獣が頭の角を向けながら突進してきた。


「わあ、大怪獣バトル…。」


 影の怪獣たちが争っている中、飛翠は影と、影の元となった木を見比べていた。時折吹く風に木が揺れて、それが怪獣の動きになっているようだ。しかし、下から見上げた木が、こんな影になるようには見えない。

 本当の影と、影を怪獣にする怪異が合わさっているのだろう。


(こんな怪異もいたんだ。)


 今のところ、怪獣同士が争っているのは、影の世界の中だけ。その外には影響がないようだ。影の怪獣が飛翠に気がつく様子はない。


(あ、でも影の怪異さんは困るのかな?)


 飛翠を呼びに来た影の怪異さんを思い浮かべる。似たような存在のため、何かしらの関わりがあるのかも知れない。

 しかし、この影怪獣バトルをどうこうする手段が思いつかなかった。流石に公園の木を切るわけにはいかない。

 どうしたものかと観察していると、それぞれの怪獣、どれも違う形をしているが、みんな目のところが光っている、正しくは目の部分は影ではなく光が差し込んでいるようだった。


「あそこも影にしちゃったら何か変化あるかな?」


 飛翠はそのまま怪獣バトルの場に飛び込む。影の怪獣の上に立つだけではなんの変化もなかった。

 飛翠は被っていた帽子を外し、角度や位置を調整して、一体目の怪獣の目の部分を影にする。

 すると、先ほどまで暴れていた怪獣が、ぴたりと止まり、ただの木の影に変わった。


「よし、他も。」


 効き目があるとわかり、2体目、3体目も同じように目を影にする。そうすると、さっきまで争っていた怪獣たちがぴたりと止まって、また、ただの木の影になった。


「これでよし、かな?」


 日の光の中に入ると、飛翠の影が影の怪異さんに変わる。

 影の怪異さんは喜ぶように両手をあげてぴょんぴょん跳ねていた。


「平和になったようでよかったですね。」


 飛翠の言葉に影の怪異さんはピースサインで答えた。

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