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夏休み怪日記  作者: UMA5
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8月12日(水)

8月12日(水)天気 雨のちくもり


 雨だったので家の中で過ごしていたら小さな花火の怪異が雨宿りをしにやってきました。しばらくガラスの器の中で過ごしてもらって、夕方雨が止んだときに帰っていきました。最後に見せてくれた花火がとても綺麗でした。





 夏休みも残すところあと2週間となった。毎日たくさんの思い出を作っていたため、時間があっという間に感じる。

 宿題はほとんど終わり、あとは毎日やらなきゃいけない日記と体力貯金だけだった。

 今日は天気が不安でなようだ。雨が強く降ったり止んだりを繰り返している。


 一度雨が落ち着いた時に玄関から出ると、天さんから「今日は大雨だから会いにいかなくていいよ。」と言われた。


「今日は出られないかな?」


「天気が不安定なままだと思うから出ない方がいいだろうね。」


「そっかあ、残念。」


 家に戻り家の中でできることを考える。家の中での遊びも嫌いじゃない。でも、外に出かけて、怪異に会いに行くほうが、飛翠の心を踊らせた。

 今日は会いにいけないのが残念に思えた。

 

 家の中で恨めしげに窓の外を眺めていると、ボボッパパッと外で何かが弾けるような燃えるような音がした。風や雨音とは違う音に飛翠は、


「怪異さん?!来てくれたんですか?」


 と喜び窓に近づく。外を見ると、小さな花火のような、弾け続ける火の玉がそこにいた。


(花火の怪異さんだ!)


 お祭りのときに見かけた記憶がある。色とりどりの怪火とはまた別に、花火のように弾ける火の玉がふわふわと浮いていた。その時見た姿は浮き輪くらい大きかったはずだが、今日の雨のせいか人差し指の爪くらいの大きさになっていた。


「雨宿りに来られたんですか?」


 飛翠が聞くと少し強く弾けた。


「そうなんですね。花火の怪異さん入ってください。雨に濡れると大変でしょう。」


 飛翠が声をかけると、小さな花火の怪異さんが家の中に入ってきた。ふわふわと浮かび上がり色とりどりのゴマ粒のような火の粉を飛ばしている。


「小さいけど火の粉は危ないよね。ちょっと火を入れても平気なもの一緒に取りに行ってくださいますか? そちらに入っていただきたくて。」


 花火の怪異さんは承諾したように強く弾けた。部屋を出てキッチンに向かう。「熱いものを入れられるもの」はキッチンに多いイメージだった。今日は両親ともに仕事のため家では飛翠1人だった。誰もいないキッチンで、飛翠は花火の怪異さんと共に器を探す。


「プラスチックはやめた方がいいよね。これ確か耐熱なんたらってやつだったかな。花火の怪異さんこちらに入ってもらっても良いですか?」


 飛翠が取り出したのは片手に乗るサイズのガラスの容器だった。花火の怪異さんは承諾してくれたようで、ふわりとその容器の中に入った。


 小さなガラスの容器の中で小さく光弾ける花火の怪異さんは綺麗だった。

 飛翠は花火の怪異さんと部屋に戻り夏祭りの日の話や夏休みに出会った怪異の話をした。花火の怪異さんは飛翠の話を聞いてくれているようで、飛翠の話に合わせて色とりどり変化をしたり、強く弾けたり、弱く弾けたり、いろんな反応を見せてくれた。


 夕方過ぎ、雨が降り止み、しばらく時間が経った。もう今日の雨は落ち着いたのだろう。


「花火の怪異さん、もう帰られますか?」


 花火の怪異さんは肯定するように強く弾けた。


「話を聞いてくれてありがとうございました。今日は怪異さんに会えないかもしれないって寂しかったので、会いにきてもらえて嬉しかったです。」


 飛翠が部屋の窓を開ける。花火の怪異がふわりと浮かび上がり外へ向かう。

 窓の外に出て、一度動きを止める。飛翠がどうしたのかと首を傾げると、中心の火の玉が拳ほどの大きさに膨れ上がり、パーンッと弾けた。

 雨上がりの夕方、薄暗い空の下で、その火の色が、目に焼きつくほど煌めいた。

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