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夏休み怪日記  作者: UMA5
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23/41

8月8日(土)

8月8日(土)天気 晴れ


 今日は散歩中にいきなり浮き輪が飛んできて、スポッと浮き輪の穴にはまりました。そのあとも3つ飛んできて、輪投げの棒にされました。2回戦目からは私も逃げ回りながら輪投げ勝負をしました。




 それは突然飛んできた。

 前方斜め上から何かでかいものが、飛翠めがけて飛んできたときは、「またか。」と呟いた。昨日も空から物が落ちてきたためである。氷だったが。

 本日は何がきたのだろうとみていると、それは浮き輪だった。飛翠めがけて飛んできて、頭からスポッとはまった。

 飛翠は今、街中の歩道で腰に浮き輪を装着している。浮き輪は押しても持ち上げようとしても抜けなかった。手で押さえてなくても落ちずに腰のところにある。


(え、普通に恥ずかしい。)


 これが昨日のかき氷山なら気にならなかった。周りの通行人も「ああ、怪異か。」と思ってくれるような異常な物だからだ。

 だが、今日の浮き輪は、怪異と断言できるほど異常な物ではない。街中で移動している間も浮き輪を装着する変な子と思われかねない、ギリギリのラインだった。


「浮き輪の怪異さんですか?あの、このままは少し恥ずかしいので…」


 飛翠はどう提案しようか悩んだ。♢市に浮き輪を装着して変に思われない場所が思い当たらなかった。

 ♢市に川は流れているが、川遊びができるような場所ではない。プールは市営の屋内プールがあるが、プールは持ち込み不可だった。昔は屋外プールもあったようだが、今は閉鎖している。海は♢市どころか✿◯県は全く海と接していないいわゆる海なし県だった。

 少し話しかけても浮き輪は反応がない。どこにでもある普通の浮き輪に見えた。


(話さない怪異ならさらにまずい。何をどう言っても伝わらないで、満足してもらえるまでこのままの可能性がある。)


 どうしたものかと考えている間にも他の通行人がチラチラこちらをみていた。飛翠は何をしても外れない浮き輪については面白いと楽しめるが、見知らぬ人に変な子として見られるのは恥ずかしかった。

 とりあえず場所を変えようと歩き出すと、第二の浮き輪が飛んできた。また飛翠の頭からスポッと装着される。

 浮き輪二つ重ね。見た目が少し間抜けな気がして、恥ずかしさがまた上がった。


(いっそもう一つ来て欲しい、そしたら明らかに怪異だってわかる。)


 飛翠がそんなことを願うと、タイミングよくもう一つ飛んできた。浮き輪三連重ね。肩まで浮き輪の穴にはまり、腕が使いづらくなった。しかし、これで誰がどう見ても、怪異によって浮き輪をはめられた子だった。恥ずかしがる必要がなくなり、飛翠は少し冷静になる。


「さっきから、輪投げの輪みたいに浮き輪が飛んでくるし…、浮き輪の怪異さんだけじゃなくて輪投げの怪異さんもいらっしゃいますか?」


 それが正解だったのか、また新しい浮き輪が飛翠めがけて飛んできた。今度は少し小さめの浮き輪で首まですっぽり浮き輪にはまっていた。その瞬間、浮き輪がなくなり、


「4点!」


 という言葉が、どこからか聞こえてきた。


「もしかして、私を輪投げの棒に見立てて遊んでいらっしゃるのでしょうか?」


 返事はなかったが、また新しい浮き輪が飛んでくるのが見えた。


「生きてる人間を棒に見立てるなら、動き回って逃げる方が、難易度上がって楽しいかな?」


 飛翠は怪異のゲームに付き合うことにした。飛翠対怪異の輪投げ勝負が始まった。

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