8月7日(金)
8月7日(金)天気 晴れ
今日も散歩していたら、空から冷たいものが降ってきて、雨かと思ったら、砕けた氷でした。どんどん降ってきて、かき氷みたいに山になりました。ひんやり気持ちよかったです。
暑い夏が帰ってきた。昨日からその気配はしていた。日が高くなるにつれて太陽の光が強くなり、道ゆく人が暑い暑いと話しているのを聞いた。
飛翠は天さんのおかげで暑さは感じなかったが、太陽の光が強くなっているのは感じていた。
昨日は久しぶりの大冒険だった。道がわからない状態で家まで帰る、というのがかなり難しかった。飛翠自身よく帰ってこれたものだと驚いた。家までどうやって帰ってきたのか思い出せない。一度家の近くまでついたときにワープさせられたときはかなり奇声をあげていた。
「本当に家に戻ってこれてよかった〜。」
「帰ってこられたからよかったけどさ、ずっと家に帰れないかもしれなかったんでしょ。怪異に会うってやつやめた方がいいんじゃないの。」
今は天児童館でみさちゃんに昨日の話を聞いてもらった。みさちゃんは心配してくれているようだ。
「約束したから、破るつもりはないし、破ったらもっと大変なことになるよ。それに、途中途中面白い公園や美味しそうなレストランや綺麗な花とか見つけられて楽しかったからオールオッケー!」
飛翠はいつものポジティブを発揮していた。
「ポジティブなのもいいけど、もう少し気をつけないと、もっと大変なことになるんだから。」
「心配してくれてありがとう。気をつけるね。」
飛翠の軽い返事が心配になったのだろう。みさちゃんはまだ口をへの字にまげていた。
「今日は話聞いてくれてありがとう。そろそろ帰るね。」
「わかった。私まだ遊んでくから気をつけて帰りなね。」
「はーい。」
お昼近くになり、飛翠は一旦家に帰る。昨日家に着いた瞬間家のドアにしがみつき、「もう十分遠くまで行けて大満足です。ありがとうございました。」と伝えたところ、怪異に通じたのか、午後からはワープすることはなかった。
(今日は何事もなく帰れそうでよかった。)
そう思った矢先、ヒヤリと首に冷たいものが当たる。触ってみると冷たい水のようだった。
「え?雨?!」
空は青空が広がり雲は遠い。雨が降るはずはなかった。
「ひゃっ!」
今度は頭の上に冷たいものがいくつか当たる。触るとそれは氷の粒だった。
(氷が落ちてくるはずない。てことは怪異!)
気がつくと、次から次へと氷の粒が落ちてくる。それも飛翠の上にだけ。落ちてきても痛くはないため、そのまましばらく眺めていた。
氷の粒は雪というよりかき氷の粒のようだった。実際、飛翠の周りを山を作るように降り注いでいる。
「かき氷の怪異さんですか?」
飛翠の声かけに反応はなかった。氷の粒がだんだんと降り積もりすでに腰のあたりまで埋もれている。ひんやりとして冷たい。硬くはないので、出ようと思えば出られた。
(私は暑くないけど、暑い日にこの中で埋もれたら気持ちいいだろうな。)
氷の山は飛翠の首元まで埋めた。飛翠の体がかなり冷えてきた。
(そろそろ出よう。)
氷を押し除け、山の外に出る。すると再び氷が降り始めた。
飛翠がいるところをかき氷にしようとしているようだった。
(歩道に何個も氷の山があったら困っちゃうよね。)
飛翠は家まで戻ることにした。飛翠の家は玄関横にちょっとした芝生の庭がある。
そこなら氷の山があっても問題ないだろうと考えた。
家の前に着くと、天さんに声をかける。
「天さん、涼しくしてもらってるやつ、一旦止めてもらうことできますか?」
「ああ、君の上に氷が降ってるんだね。それなら私の力は必要ないね。」
天さんは理解してくれたようで、涼しくしていた煙がふわりと消えた。とたん、外の世界の暑い空気がぶわりと飛翠を包み込む。
「今日、こんなにあつかったんだ?!天さん、ありがとうございました。」
言いながら飛翠は庭に向かう。
「ここならかき氷の山ができても大丈夫。かき氷の怪異さん、お願いします!」
飛翠が動きを止めたため、かき氷の山がもう一度出来上がるのだった。




