7月27日(月)
7月27日(月)天気くもりのち雨のちくもり
今日てんびん公園に遊びにいったら、スイカの怪異がきました。スイカ割り勝負になりました。ゴロゴロ転がっていくスイカさんを目隠ししたまま追いかけるのは楽しかったです。
「おめえか?怪異と勝負しているっていうガキは。」
てんびん公園のシーソーで遊んでいたときのことだった。飛翠よりも大きい、ジャンボスイカに話しかけられた。
「別にいつも勝負しているわけではないですけど。多分私です。飛翠といいます。あなたのことはスイカさんとお呼びしても良いですか?」
「おう、それでいいぜ。さっそくだが、俺とも勝負してもらおうか。」
「何勝負ですか?」
話が長くなりそうだと思い、シーソーの怪異に断りを入れて立ち上がる。
「そりゃあ、夏にスイカで勝負となりゃ、スイカ割りだろ。」
飛翠は戸惑った。公園でスイカ割りをするのかと。ここはビーチではないのにと。しかも、スイカ割りとは棒でスイカを叩き割る遊びだ。スイカさんを叩いていいのだろうか。いや、叩いたとて、目の前にいる巨大スイカを割れるとは思えないが。
「怪異である俺との勝負だ。普通のスイカ割りと思うなよ。おめえには目隠しをして、ぐるぐる10回、回ってもらう。そして、俺を見事叩けたら勝利だ。まあ、ガキの力じゃ無理があるだろうから割れなくても勝ちだ。」
それなら普通のスイカ割りと同じだ。
「ただし、俺は動く。この公園の中を逃げ回る。その俺を見事叩けたら勝ちってわけだ。」
「それは、…かなり難しいですね。そもそも普通のスイカ割りなら周りの人がどっちにスイカがあるか教えてくれますけど、教えてくれる人がいないし。」
シーソーの怪異さんはそこにいるが、会話ができる怪異ではないため、教えてもらうことはできない。
スイカさんもそれはわかっていたようで、
「それはそうだ。だからおめえの助っ人として、こいつらを読んである。」
「よう!草むら様のお出ましだぜ。」
「なーんで俺まで人間の助っ人なわけ?」
そこには、草むら様とポップコーンさんがいた。
スイカさんが勝負という話をしていたときから薄々感じていたが、彼らが、スイカさんに飛翠のことを話したのだろう。
「スイカさんの場所教えていただけるのですか?よろしくお願いします。」
「おう!どーんと任せな。」
「えー、どうしよっかな。スイカの味方ではないけど、君に勝って欲しいとは思えないし、嘘ついちゃおうっかな。」
草むら様は気風よく頷いてくれたが、ポップコーンさんは嘘をつきそうだ。
(まあ、いいか。普通のスイカ割りでも嘘つかれることはあるし。)
「わかりました。勝負しましょう。目隠しは私のタオル、棒はそこに落ちてる木の枝でいいですか?」
「おう、いいぜ。じゃあさっさと準備をしちまおうか。」
木の枝を拾い、目隠しをして、その場で10回回る。少し頭がくらっとした。
「それじゃあ始めるぜ。よーい、どん!」
スイカさんが転がるような音が聞こえた。動き出しているのだろう。
「右だよー、右右。」
「おう、右だぜ!」
草むら様とポップコーンさんが同じ方向を言う。今は嘘はなさそうだ。
「え、何言ってんの、あの子から見たら左でしょ?君が同じ方向言ってくると俺まで訳わかんなくなるからやめてよ。」
「ハア?あいつから見て?なんじゃそりゃ?」
「だぁかぁらぁ…」
なんと、草むら様の指示が間違っていたようだ。普段右左を相手に伝えることがないのだろう。もう、指示を当てにできなくなった。
(転がる音が頼りかな。)
かなり大きいスイカのため、転がる音が離れていても聞こえる。それにあの大きさでは遊具のある方には行きづらいだろう。そうなると飛翠のいる何もない広場のあたりから出ないはずだ。
飛翠の前方から右方向に向かって転がる音が聞こえた。後の進み具合からして、そこまで速さは出てないようだ。飛翠は右斜め後ろに向かって走り出す。スイカさんの転がる音とスイカの匂いが近づいてきた。
「ええい!」
普通のスイカ割りなら縦に向かって叩くところだが、飛翠は横にスイングした。その方が当たり判定が広がると思った。
「うお!」
予想は見事的中したようで、スイカさんに棒を当てることができた。
「負けかー!おめえすげえな。目隠ししているくせに、よく走って追いかけられたな。」
「この公園ではよく遊んでますから!だいたい何がどの辺にあるとか、柵までの距離とか体で覚えてますので!」
「やっぱ地の利は強えな。あいつら連れてくる必要なかったか?」
スイカさんの指し示す先では草むら様とポップコーンさんがいまだに言い争っている。
「いや、まあ、来ていただけたのは嬉しかったので。」
飛翠はあまり言及しないことにした。
「スイカ割り勝負してくれてあんがとな。」
「こちらこそ!楽しかったです!」




