第3話
第3話
ガシャリと重そうな音を立てて
前を歩く彼は重さなど感じないかの
ように軽やかに歩いていく。
上の子の手を引きつつ
娘を抱っこして歩く森は
正直、キツい。
ふぅふぅ言いながら歩いていると
「ママぁ、抱っこ。疲れた。」
と息子に言われ
「疲れちゃった?ちょっと待ってね。」
そう言いながらリュックを下ろして
覚悟を決めて息子をおんぶしようとした。
「……俺で良ければ抱っこしよう。」
「おじちゃん、良いの?僕、重いよ?」
違う、そうじゃないぞ、息子よ。
見知らぬ人に抱っこをせがもうとしないで!
「あ、あの!荷物持って貰えたら
この子は私が背負って運ぶので!」
荷物も取られたら困るけど
息子を人質にされるより俄然マシだ。
悪い人ではなさそうだけど
本当に悪い人ではないと分かるまで
大事な我が子を渡す訳にはいかない!
「……そうか。では荷物だけ預かろう。」
「ありがとうございます。」
リュックを渡して息子の前にしゃがみ
「ほら、背中のって?」
「ママ、大丈夫?」
「大丈夫だよ!ママこう見えて
力持ちなんだから!」
プルプル震えながら何とか息子を背負い
娘が起きないかハラハラしながら歩いて行った。
「……着いたぞ。ここが、俺の屋敷だ。」
正直、見る気力なんて湧かなかったけど
力を振り絞って前を見た。
……豪邸すぎん?は?
息子が背中から落ちそうになって
慌てて背負い直した。
「すごーい!大きいね!」
息子の無邪気さを少し呪いそうだ。
こんな凄い豪邸にお世話になるなんて無理。
でも、知り合いなんていないだろう
この場所で生き抜くためには何でもする。
覚悟を決めて足を踏み出した。




