65僕は解、星は魔
莉愛を連れてモンディガやマティを倒しながらアゲンロスを倒して、アゲンロスが封印されている場所へ向かっているとそこに星、いや蝕夜が待っていた。
莉愛は星おじさんだと行こうとするも、莉愛を後ろにやり無限拳銃を構える。
「蝕夜、何をしてもセリニ・ネアの勝ちだ。今すぐそこをどいてよ。僕は星の体に傷をつけたくない」
「前世の記憶を思い出したようらしいな。だが僕はバラの流星群を発動してもらいたい。そうすればアゲンロスは消滅する」
「それはできない。それに蓮さんの弟はどうなるの?殺すつもり?」
「プルトナスは元々亡くなっている。もう十分生きたから大丈夫と言っていた。その決意を無駄にはしたくはない」
それが一番理想なやり方でも僕はこれ以上、大切にしている人たちの命を奪いたくはない。僕は星と蝕夜と出会い最初は悪魔なんかいなくなればいいと思っていた。もちろん天使もだけど命を粗末にはしてほしくはない。
こんなことはしたくないけどさ解放しなければ、みんなが危険になってしまう。だからここであの力を解放する前、しゃがみ莉愛の頭を撫でる。
「莉愛、連れて来た理由覚えてる?」
「うん。でも怪物さんたちがいっぱい」
「大丈夫、僕が教えた技をすぐ覚えられた。一人でリコーフォス畑の中心にある別荘に一人で行けるね?」
「お父さん、無事に帰って来てね。約束だよ」
約束と指切りげんまんをして莉愛はリコーフォス畑へと向かい、集中して赤いバラにキスをしいざっと蝕夜に挑む。父さんにもう使うなと言われたけど、こうしなければ蝕夜は僕に攻撃すらしない。
蝕夜は僕に傷をあまりつけないよう攻撃しているも、僕の暴走は止まらないよとバラの剣で何度も蝕夜を傷つけエンヴィリオが蝕夜を吹き飛ばし建物から外へ出た。
蝕夜様とモンディガとモンディガの手下、モンディエが加担してくるも一撃で仕留め蝕夜を追いかける。マティも複数出ては退治し蝕夜はどこだと走っていたら、水の精霊が僕を囲む。
僕が暴走していながらも止めに入るのかと花は水を吸収するから水の精霊を吸収できるんだよとバラの棘が水の精霊を吸い込んだ。
しかしそこにいたのは五神が五角形に配置していて、これはまずいと暴走している僕は逃げようと思ったがそれぞれの精霊を出して始まる。
やめて、お願いだからやめてよと暴走している僕は頭を抱えて倒れ込む。苦しい、痛いと暴れていると空からリコーフォスの花が降って来て暴走の力が止まるもその力を使ったせいで激しい痛みが来た。
「昏花ちゃん、早く!」
水神潤が昏花を呼んでいる。昏花、来るな。まだ終わっちゃいないと痛みがありながらも立ち上がって、無限拳銃を取り無鉄砲に当てながらよろよろになりつつ蝕夜を追いかける。
「昏斗、待って!」
撃ちながら逃げても精霊が邪魔をしていて思うように進めない。僕は耳に当て心さんを呼ぶ。
「心っさん。足止め…お願いします」
『わかった。無茶はするなよ』
弱々しくイエッサと答えながら心さんとバトンタッチして、心さんが足止めをしてもらっている間に蝕夜が吹き飛んだ方角へエンヴィリオに乗りながら向かった。
確かこの辺りなんだけどと多少痛みがとれ始めた時に、銃声が鳴ってエンヴィリオを停止させる。そこには桜庭課長と甘ちゃんがいた。
「昏斗を連れて帰ると莉耶と約束したからね。傷を負わせても連れて帰るよ」
「莉耶ちゃん、ずっとくーさんの気持ち、わかってたのに相談しなかったよね?夫婦なら我慢しなくていいのに、どうして相談しなかったの?」
「莉耶を傷つけるのは、僕のプライドが許せなかった。だから我慢してたし、こうなることは琥珀さんと真珠さんに言われたんだよ。僕はアゲンロスを解放しみんなを危険に晒すと。なら莉耶を傷つけさせずに進むにはこういうやり方しかなかった。それにそこには天満がついてるし大丈夫だろうって」
「なら莉愛ちゃんは?莉愛ちゃんを危険に晒してもいいのかい?子供を守るためなら、莉愛ちゃんを連れて行かないはずだ」
僕も最初はそう思ってた。でも莉愛は星音と一緒にいたい気持ちは変わらないことだし、星音じゃなくなることも伝えても、そばにいたいと言ってくれたんだ。莉愛の気持ちを捨てるわけには行かないんだよと覚醒した姿になって、桜庭課長に刃を振るう。
「莉愛は莉耶ではなく星音を選び、星音じゃなくなってしまうかもしれないとも告げている。それでも莉愛は育ててくれた母親を選んだまでだ!」
「きっといい方法があるはずだ!堕天使アゲンロスを復活させなくても、違う方法でっ」
「すーさん!」
本当は傷つけたくはなかった。でもこうするしかないと刃を振るった後、無限拳銃で桜庭課長を撃った。すーさん、起きてと言っている甘ちゃんでも、僕はそのまま行こうとしたらくーさんと甘ちゃんに呼び止められてしまう。
「くーさん、あたしはくーさんを撃ちたくない!だってすーさんと同じ、あたしにとってくーさんも大切な人なの!だからっだからお願い!何があったのか教えてよ!」
「甘ちゃん、ごめん。僕はもうプラネットコード社の社員じゃなくて、今はセリニ・ネアの一員。だから答える義務がないんだよ」
「嘘つき!そんなの嘘に決まってる!」
「嘘じゃ…」
嘘だよと甘ちゃんが怒鳴って甘ちゃんの顔を見ると、この前のように甘ちゃんは涙を流して僕に怒りをぶつける。
「じゃあ、じゃあなんであの時、あたしにあんなこと言ったの?矛盾してるよ!」
女の子を泣かせるとは僕は紳士失格だな。
甘ちゃんにあることを伝えたのは確か僕が新プラネットコード社で桜庭課長と第七捜査課として動いていた時だ。莉耶が奪われて一年ぐらい経った時、桜庭課長と海さんが警察署に呼ばれたから、甘ちゃんと菊太で先に捜査に当たってた。
その時点で僕は琥珀さんと真珠さんに僕は堕天使アゲンロスを解放すると言われていたことを甘ちゃんに報告したんだ。
「甘ちゃん、僕は堕天使アゲンロスを解放して、ディアヴォロスやエクリプス人が人を襲い食す時代に戻る。でもその未来は阻止して四種の民が和平を結び仲良く暮らせる時代を作っていきたい。それに僕がいるべき場所はセリニ・ネアでもなく、兄さんがいるネオリオ社でもない。プラネットコード社で桜庭課長や海さん、莉耶に菊太、甘ちゃんと今まで通りの仕事をしていきたいのが僕の夢かな」
それからかな。僕のことをくーさんと呼ぶ甘ちゃんが可愛らしくて、普通にただ離しているだけだと言うのに昏希が焼きもちを焼いていたことを思い出す。
「甘ちゃん、昏希のこと頼むね」
甘ちゃんに笑顔を作っても作れてるかわからなかったが、くーさん待ってと言われてもエンヴィリオに指示を出して、甘ちゃんを止めている間に蝕夜を追いかけた。
今回は海さんと波ちゃんはこっちに来ていないから、誰かが撃たれることもないけど桜庭課長を撃ってしまった時点で、プラネットコード社には帰れない。
進んで行くとリコーフォス畑で待っていたらしい、蝕夜がいてそこには莉耶がいた。どうして次から次へと僕の邪魔をするのかな。
「堕天使アゲンロスは解放させない。星音を封印するために協力してくれ。義弟昏斗よ」
「断る。それに僕はもうバラの流星群を発動させるつもりはないよ」
「昏斗、お願い!これ以上、みんなを傷つけないであげて」
「傷つける?勝手に僕のところに来るからいけないんだよ。僕をほっといてくれれば傷つかずに済んだ。それなのにさ次から次へと僕の前に現れるからバチが当たったんだよ」
莉耶は僕のところに来て久々の莉耶の平手打ちをもらい、馬鹿昏斗と莉耶も泣かせてしまう。
「そう言う意味で言ったんじゃない!昏斗が苦しんでるから、みんながそれに気づかなかったことで傷ついてるの!どれだけ癒そうとも、昏斗が帰ってこないとその傷はいえないんだよ!」
莉耶、ごめんと慰めたくても無線からお父さんと莉愛の声が聞こえる。やっと到着したんだね、莉愛。僕は莉耶の背中を押して、莉耶が驚いて振り向く。
蝕夜は僕が考えていることを先読みして、行こうとしたが僕の手首についているプロテアが蝕夜を捕まえた。
「忘れてたよ。莉愛は今、別荘じゃなくてアゲンロスの前に到着した。まんまと僕に騙されてありがとう。莉愛、堕天使アゲンロスを解放してあげて。黒バラの用意はできた?」
『うん!えっと鍵穴に黒いバラを挿せばいいんだよね?』
「そうだよ。開けたらすぐ逃げて。いい?」
はーいと元気のいい声が聞こえ、カチャッという音も確認が取れた。僕の役目はアゲンロスを新星ノヴァセリニに連れて行くことだ。邪魔な蝕夜と莉耶をプロテアの茎で縛り付け邪魔させないように眠らせる。
「昏…斗…」
「ごめんね、莉耶。天満と幸せにね」
最後のキスをして僕は蝕夜の家へと戻り、モンディガとマティを倒しながら家の中に入り星音を探す。和が恵と戦っているのは見えたけれど、星音はどこだと探し回っていたら星音を見つけた。
だが星音の頭には立派な角が生えていて、悪魔の羽根に長い尻尾。それからネイルしていた爪が鋭い爪で黒くなっている。
アゲンロスの前には傷を負った昏花がいても、アゲンロス様と呼びかけたら振り向いた。
「跪け」
体が勝手に動き跪いてなんて力なんだと近づいてくるアゲンロスで顔を掴まれる。
「よく見たら、わしゃを封じ込めた昏斗じゃのう。よくもわしゃを封印しよったな。じゃがその瞳、まるでスコヤディのような美しさじゃ。何があったのじゃ?応えてみよ」
「昏っ斗っ駄目!」
「まだ動けるのか、昏の花。トドメを刺してやろう」
「アゲンロス様、お待ちください。僕は多くの犠牲者を見て来ました。僕が望む未来は叶わないと判断し、アゲンロス様を解放したのです。そこにいる妹は殺しても価値はありません。僕がアゲンロス様に叶えてほしいのは、新しいプラネットで、アゲンロス様に一生忠誠を捧げていきたいから」
「ほう。わしゃを封印したと言うのになぁ。まあ良い。その悲しみを癒してやろうではないか」
昏花、お願い。ここにいる人たちを避難させてと目で合図し、昏花は耳につけている無線で話しながらいなくなる。星音の体を奪ったアゲンロスの顔が近づき、口づけをすると体中が悲鳴をあげ倒れそうになってもアゲンロスの尻尾で支えてもらうが、アゲンロスの唇が離れない。
数秒後、アゲンロスが離れ僕の頬に触れるアゲンロスは満足な表情を出していた。すると莉愛の足音が聞こえて、お父さんとやってくる。
「お母さん……?」
「可憐な娘じゃのう。体をくれた娘か。よいよい。来るんじゃ」
僕の上にまだ座っているアゲンロスは何をする気だと考えていたら、莉愛が近づくと尻尾で心臓を刺したのだ。
「莉愛!」
「大丈夫じゃ。死にはせん。器をくれた娘の子に、わしゃの力を捧げるだけじゃ」
みるみると莉愛にも角と羽根に尻尾までがつき、気を失うところ海さんが助ける。
「おや、陽瀬の人間ではあるまいか。新しいプラネットとやらはわしゃ好みの場所か?そうでなければお主を殺すぞ」
「ちゃんと葉室家と相談しながら作り上げたプラネットだ。絶対に気にいる」
「ほう、それは楽しみじゃのう。わしゃに黒バラの騎士と娘までプレゼントしてくれるとは愉快なものじゃ。さあ案内してもらうぞ」
僕から離れて立ち上がるもアゲンロスが腕を組んで僕から離れようとしない。なんだこの悪魔はと思いながらも僕らは冥王星プルイーナスを離れ新星ノヴァセリニへと出発した。
⁑
真っ暗な場所でここは一体と思っても解放しちゃったんだと理解した。何か方法を探すって言ってくれた昏斗は私に嘘をついていたのと真っ暗でも歩き出す。
私はもしかして魂ごとアゲンロスに奪われたから天へ行けないのかな。
ずっと歩いていても真っ暗すぎて何時間もっと年月が経っているのかもと足を休ませる。スマートウォッチは起動しなくて、時間すらもわからない。どうしようと考えていたらふわふわと小さな光がやって来て近くによると小さな光が人になりなんとアリスだった。
「久しぶり、星音!」
「久しぶりでいいのかな。でもアリスが逝ってからもう長くなるね」
「てっきりアリスのところに行けんのかなって思ったけど、一度悪魔になったら行けないらしいんだ。ちょっぴり寂しい気もするけど、これでよかったんだって思うよ」
「じゃあここは地獄なの?」
「んーそれがさ、よくわかんない。俺様もずーと歩いては寝ての繰り返ししてんの。そしたらさちょーどエンジースにやられちゃったよって俺様に泣きついてきたクロノスが現れてさ。それでしばらく経ったら、今度はいいバラの流星群だったってウラノスも現れたんだよ」
蝕夜の力をもらった三人がまさか同じ場所にいるとは信じられなくて、アリスに案内してもらった。行ってみると明かりがついていて、クロノスとウラノスが久しぶりと元気に手を振って来たから私もつい手を振ってしまう。
「久しぶり、星音ちゃん。まさか悪魔になってここに来ちゃったの?」
「それはないだろう。星音、まさか復活してしまったのか?」
「えへへ。そうみたい。私の体を奪われて気がついたらここにいたかな」
まあ座れとウラノスに勧められたから座り、クロノスがお茶をくれたからそれを飲む。
「他の人たちにも会えるとは思っていたが、ディアヴォロスやエクリプス人はここにいないらしい。なぜ我たちがここにいるのかも不明だ」
「私が作った車で探してたんだけど、誰一人いないから諦めて今は普通にここで三人で暮らしてるの。でも不思議だな。星音ちゃんもここに落ちてくるだなんて想定外だよ。でも賑やかになりそう」
「おい、まだ星音は生きてるんだぞ。死んだことにしてるんじゃない」
「二人とも今はそんなこと話してる場合じゃないっしょ。それで星音、一体何が起きたのか俺様たちに教えてくれる?」
うんと三人が亡くなった後のことを全て話していると、そうかとズズズッと三人が一斉にお茶を飲んだ。
「昏斗くんがアゲンロスに忠誠を捧げるとは、すごい勇気がいると思うんだよね」
「何をしているんだか。せっかく愛する人を取り戻せたと言うのに」
「関係性がぐちゃぐちゃになってるじゃん。家族は大事にしないとなのに。俺様がまだ生きてたら昏斗を叱ってたよ」
「私もそう思ってたのに、子供たちの意見を最優先しちゃったから」
「まだ死なない方がよかった。あーもう一度蘇って昏斗のところに行きたい!どうにかならないの?」
無理だねときっぱりアリスに言うクロノスとウラノスで、アリスは髪の毛をぐしゃぐしゃにして不機嫌になる。
「んで茜は海王星ポセイゼンに行ったきり帰ってないんだよね?」
「うん。八雲くんも連絡はしてるらしいんだけど、連絡がとれないってずっと言ってたな」
「あれじゃないかな?ポスちゃんのところで動いてるとか?」
「それはあり得るな。そうじゃなきゃ簡単に姿は消せない」
「ん?どう言うこと?」
「あれ?星音知らなかったっけ?ポスドナス、実は人魚族なんだよ。だから海王星ポセイゼンを任してたって前に蝕夜から聞いたけど、人見知りが多くてさ。仲良くなるのに何年かかったかいまだに覚えてるぐらい」
そうなんだとお茶をいただいて、私はこのまま三人と一緒にいるのか、それともまだチャンスがあるのかわからないまま三人の思い出話を聞いていくことにした。




