57僕は椿、莉は困
莉耶に花を贈って新プラネットコード社に戻った僕は、星音と莉愛に菊太がいる一室へと入った。莉愛はもう疲れて眠ってしまい、起こさないように星音の隣に座る。
「桜に渡せた?」
「うん、渡せたよ。それで昏未を救出する時、莉愛も連れて行こうと思う」
「どうして?まだ莉愛は四歳だよ。まだバラの剣術を始めたばかりじゃない」
「だけどさっき琥珀さんから連絡があって連れて行くのがいいと言ってた。もう始まってるということだよ」
星音は少々驚いていて僕の手を握りながら莉愛の寝顔を見ていた。
「他のプラネットが戦争を起こし始めたなら、ここに残しておくわけにもいかなくなっちゃったってことでいいんだよね?」
「うん。菊太もいるから何かあった時は人間になってもらって莉愛を守ってもらう。莉愛はまだ菊太が人間になれるの知らせてないけど、きっと大丈夫だよ」
莉愛が生まれてからは菊太はずっと犬のまま生活をしてもらっていたからね。僕と星音がいない間は莉愛の子守をお願いしてもらってたし、莉愛にいつあの姿を見せるのかは菊太次第にさせてる。
「無限拳銃は持たせる?」
「いや。無限拳銃はまだいいでしょ。剣術さえ慣らしておけば、何かあった時に対処はできるからね。そろそろ僕らも寝ようか」
「明日のために。おやすみ、昏斗」
「おやすみ、星音」
僕と星音も就寝するため電気を消し川の字になって寝た。
翌朝、第七捜査課室ではミーティングが始まっており、僕はセリニ・ネアの調査課でもあるが出席をして、みんなの行動を確認している。僕らが戦いやすいように準備は整っているらしく真神家兄弟七人が揃った時点でみんなも動くらしい。
そのためにはまず三女の昏未救出をしなければならないため、まずは椿邸に侵入するしかない。ただまだ解けていないのはネジバナの解除方法だ。
「真神課長、人通りお伝え致しましたが、これで動けそうですか?」
「みんなが他のエンジースを止めてくれているのは有り難い。ただ問題点が一つある。いまだに僕の妹、昏未は椿のところにいるから、椿を倒してからじゃないと揃わない。だから僕らは一度、椿邸へと行く。昏未を取り戻せたらすぐにでも動きたい。僕らが救出している間に一つ頼みたいことがあるんだ」
なんでしょうかと課長代理の人に質問され、僕があることを伝えるとみんなはやりましょうと言ってくれる。
「お願いします」
はいっといい返事をもらえて星音たちが待っている部屋に戻ると、そこに昏来と昏希に八雲くんも待っていた。
「昏未は絶対に取り戻す」
「余は昏未姉上を救いたい」
「迂生はそのあれだ。昏斗兄貴の妹だから協力する」
「三人ともありがとう。それじゃあ椿邸へ行こうか。莉愛、怖くなったら菊太と一緒に逃げるんだよ。いいね?」
「はい、お父さん」
冥王星のペンダントを使って椿邸へ到着し、茂みへと一度隠れて様子を伺う。あんまり見張りは少ないけど椿の花が多くある。椿も椿の花を武器にしていたから椿の花が多く椿邸にはあるんだ。
「どうやって潜入する?」
「中がどれくらいのエンジースがいるかが気になる。影神、中の様子はどう?」
『ざっと見て各フロアごとに二十人程度いらっしゃいます。私の方でやっておきますか?』
「いや。影神はそのまま待機」
御意と影神の声を聞いて僕と昏希で正面から行き、星音たちは裏口から侵入してもらうことにした。バラを剣に変えておいて堂々と正面玄関へ行っていると侵入者だとエンジースが僕と昏希に羽根を刺そうとするも外れていく。
昏希が希望した道になるんだよと思いっきり玄関を蹴飛ばして中へと入り、エンジースを峰打ちしていった。
すると裏口から入った菊太が教えてくれて、菊太を追いかけながらエンジースを倒していき、椿がいるであろう部屋へと入る。そこに椿がいた。
「昏未はどこだ!」
昏来が椿に問いかけると椿は笑い出し、なんだよと昏来が無闇に攻撃を当てようとした瞬間、昏来を止めたのは昏未だ。けれど八雲くんが何かがおかしいと言い出す。
何がおかしいんだと昏未を見ていくと、以前は足だけしかなかったネジバナが両手首にもついていることがわかった。
「ネジバナと契約したのは他にもいた。椿、あの力があるにもなぜネジバナと契約をしたの?」
「天満様に勧められたから契約した。そのほうが効率よく自分の思いのままにできると。おいで、昏未」
「行かせない!」
昏来は昏未を掴むも今までは足だけが動いていたが、今度は振り払わせられるように昏来を突き飛ばして、昏来は尻餅をついてしまう。昏未は椿のところへ行ってしまった。
僕はこの四年間でネジバナについて詳しく調べていて、花一つ一つに契約ができることが判明している。
契約した者が解除しな限り永遠に解放はされない。なぜ椿が昏未をそばにいさせているのかが不明だ。てっきり大鳳天満に利用されているのかと僕らは思っていたから。
「昏未は絶対に渡さないよ、空本八雲。八雲の大切にしているものは僕がいただく。そう決めたから」
「何を言ってる?」
「教えてないんだ。へえ。まあいいや。そういうことだから、僕の家から出てってくんない?」
ミミカキグサが出現し星音たちは一度下り、僕ら真神家の出番だと白いバラを取り出す。バラに一滴流して白いバラの剣の出来上がりだ。
昏来と昏希はミミカキグサを倒してもらい、僕は椿に向かって攻撃を与え、椿の頬に傷ができる。
「僕の頬に傷をつけるだなんてばちが当たる」
椿の羽根が出てきて僕を刺そうとしても、白いバラの剣で弾き飛ばす。予想外のような表情を出し焦り始めているのか昏未を人質にとった。
「それ以上近づけば、昏未に天罰を与えるよ」
「椿、そんなことをしても、家族は帰って来ない。それはわかっているはずだ」
「うるさい!僕の家族を八雲が奪った!許せない!なんで……なんで僕の家族を奪ったんだよ!」
暴走すると退けと椿の部屋を脱出すると椿の木が複数現れ、椿の花がみるみると黒く染まる。昏未は大丈夫だろうかと白いバラで試してみるも木が切れない。
「八雲くん、どういうことなの?」
「椿は迂生の友達。一緒に神パーティーに招待された時、死んだはずだった。それを告げにご両親に報告したら、殺してくれと言われたんだ。でも迂生は椿のご両親を殺せなかった。そしたらウラノス様が天使だろって見破り、ウラノス様が直々に死を与えた」
「なぜもっと早く言わなかったの?」
「半信半疑だったから。迂生が知っている椿じゃなかったし、違う人かもってずっとずっとっ」
八雲くんは目を赤くし、どうしようと震えていて星音が慰める。ウラノス様もウラノス様だ。椿が生きていることをなぜ言わなかった。言っていればこうはならなかったはずだし、椿が違う道を歩んでいたかもしれない。
詳細は後で聞くとして、まずは椿の木をどうにかしないとならない。切っても生えてるし動こうとすると枝が絡みつく。
昏希、頼めると問いかける前に昏希は覚醒した姿になって、希望の光が昏希の周辺に光り輝いていた。
「余が希望した選択はこうである。椿の木を白のバラに変えよ」
そう告げると椿の木が白いバラに変わり、僕と昏来はそのまま突撃をして椿のところへいくとこれはと茫然としてしまう。椿の姿は、僕らの覚醒と似ている姿となり昏未は椿の背中から出ている根に絡まっていた。
「天罰の時間だ!」
「昏来避けて」
羽根があちこちから攻撃してきて、僕は覚醒の姿で防げるけど昏来は昏未がいないと覚醒ができない。昏希も参戦し星音たちは無限拳銃で僕らの援護をしてもらう。
まともに話はできそうにないし、この状況から読み取ると確実に其の二が実行されそうだ。あれで免れたと思っていたけれど、真珠さんからまた同じ占いが出たと教えてくれたこと。
昏未はただ捕まっているだけだし、椿に殺されそうなのはおそらく昏来だ。なんとかして阻止しなくちゃと一か八かでやるかと考えていたら、背後から寒気を感じそちらの攻撃を防ごうとしたら昏来が僕を庇う。
「昏来!」
倒れる昏来を抱えゆっくり降ろし昏来に攻撃を与えたのは、莉愛と同じ子で莉耶の子供だと理解する。
「椿兄様を傷つける人、嫌い。でもここに連れてきてくれてありがとう」
莉愛の叫び声が聞こえてしまったと動こうとしたら、足元にネジバナが巻きつく。
「行かせないよ、昏斗」
「影神!」
影神が出てきてくれて莉愛を助けに行ってもらい、僕はネジバナを白いバラで切った。僕の可愛い愛娘を奪おうだなんて僕が許さない。
「君は確か七星くんって言ったね?」
「そうだよ。お母様が名付けてくれた名前」
「そっか。どういうわけで僕の愛娘を手に入れようとか考えているのか知らないけど、一目惚れしちゃったの?」
七星くんは目を輝かせて拳を胸辺りに持ってきて、興奮しながら僕に言ってきた。
「うん!だって七、星が好きであの時、あなたと話している莉愛ちゃんに一目惚れしたんだもん!話してみたくて、また会えるかなって思いながら椿のお家に行ったら会えた。これって奇跡って言うんでしょ?だから七は何があっても連れて帰る!」
「一つ言っておくよ。例え好きになっても、七星くんと莉愛は結ばれない。だって七星くんは」
ちょうどいいところに来てくれたよとここで明らかにさせるとまだ持っている白いバラを一輪とり、七星に差し出しわざと怪我させる。
「痛い!」
「七星様!」
「昏斗兄上には近づかないよ」
昏希が椿を足止めしている間に僕は七星の指が切れ血が出ているところを一滴垂らすと白いバラのけんに切り替わった。それをみた椿は何も言えないまま固まる。
「バラが剣に変わった。どういうこと?」
「聞いて。七星くん。君は僕の息子だ。そして莉愛は七星くんの妹なんだよ」
嘘だと僕を突き飛ばし白いバラの剣も捨てて、動揺を見せている。
「信じない!お父様はたった一人、大鳳天満だ!七は信じないもん!お父様に言いつけるんだから!」
「待ちなさい、七星くん!」
天使の羽根を使ってどこかへ行ってしまい、昏来を早く手当てしなければと思ったらリコーフォスの花が咲き昏来を癒す昏花。
「遅くなってごめん。昏来、しっかりして!昏未を助けるんでしょ?」
「昏…花、姉様……」
待ってて。早く決着をするからと僕は白いバラの剣と星の剣を合体させる。いざっと昏希が離れて椿に一撃を与え、椿が倒れ昏未に巻きついていた根が解け落下しそうになったところ助けた。
ネジバナが消えていることがわかりよかったと一安心していたら、影神がこっちに吹っ飛んできて莉愛が僕を呼び真っ先に駆けつけたがすでに莉愛の姿がない。
菊太も星音も八雲くんも倒れていてリコーフォスの花が皆を癒していく。奪われてしまったのは仕方がないかと椿を拘束しようとしたら桜の枝が刺さる。
「全く、駆けつけてみればこうです。真神昏斗、天満様からご伝言です。娘を返してほしければ七人ではなく一人で来いと。誰かを連れてきた時点で娘は俺のものにすると」
桜はそう言って椿を連れいなくなってしまい、まずはみんなが癒えるまで待つしかなかった。
⁑
私は読書をしていると足が勝手に動き、呼ばれたと本をテーブルに置いて天満がいる部屋に行ってみると七星が泣いていた。天満は怒っている顔をしていて、何か怒らせたのといつもなら膝の上に座るはずが跪くことになる。
もしかしてばれたと顔をあげると目の前に鋭い目で見てくる天満で、七星を下がらせ部屋からいなくなった瞬間、ネジバナが現れ十字に固定されてしまった。
「七星から聞いたぞ。莉耶、正直に答えろ。正直に答えなければ娘の命はない」
椿の家で何が起きたのか大体は想像がつく。全ては作戦通り順調に進んでたけど、七星はまだ幼いからわかっていなくて天満に言ったんだ。
これは想定外の範囲でまさか私の娘がこっちに来てしまったから計画が崩れた。でも吐かなければ莉愛に天罰が下る。それは避けたいと正直に答えた。
「万が一に備えて妊娠していたことは昏斗に伝えてあった。二つの命が宿っていることがばれないように、わざと天満に打ち明けて流彗くんに一つの命を回収して星音ちゃんに産んでもらうようお願いしたの」
「無駄なことをしたな。お前はもう俺の子を授かっている。逃げられはできない。それに七星は俺と莉耶の子であることを望んでいる。だから娘にやってもらうよ」
「ナジバナを与えないで!」
天満にお願いするも天満は笑みを浮かべ、莉愛はバラを使って七星を本当に天満の子にさせてしまった。私が守ってきたのが水の泡になってしまったようだ。
すると柊がやって来て全て終わったようさと報告してきて、七星はさっきまで泣いていたのに満面な笑みで天満に飛びつく。いつの間にか体が自由になっていた。
「僕はずっとお父様とお母様と一緒にいたい。それに莉愛ちゃんはね、もうお母様の子じゃないよ。自ら今のお母さんの子であることを願ってる。だから恋?してもいいよね?お父様」
「いいよ。ほら行ってあげなさい。莉愛ちゃんが待っているだろう?」
うんっと飛びながら行ってしまい、昏斗ごめんと心で謝る。
「俺の思うがままに七星は成長している。いいことだ。莉耶、こちらにおいで」
足が動き私は天満の膝の上にのり、天満の顔が近づいて唇が触れ合っていると、涙が出てしまいそれを天満は舌で舐めた。
「もう諦めろ。お腹の子にも障る。莉耶は俺だけに集中していればいい。わかったな?」
「諦めるから莉愛はちゃんと返してあげてほしいの」
「わかった。だが月一いや、週一は会わせるよう交渉する」
「ありがとう、天満。会いに行ってもいい?」
仕方ないと天満と一緒に七星がいる部屋へ訪れてみると、ネジバナはないらしくほっとして星の話で盛り上がっている。本当は昏斗と二人で育てるはずだった双子。
昏斗、ごめん。作戦、ばれちゃって七星はもうあなたの子じゃなくなっちゃった。後のことは頼むねと涙を拭き取って混ぜてと七星の隣に行って自己紹介をしてお星様の話をしてあげていくことに。




