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プラネットコード(改訂版)  作者: 福乃 吹風
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56僕は贈、莉は受

 クロノスの葬式が終えて一ヶ月が経ち土屋支部長はまだ立ち直れないでいるらしい。それでも受け止めるしかないし歳の年齢だと百歳ちょっとのお婆ちゃんだったからそういう運命になるのは当たり前なこと。

 僕は少しでも元気になってもらいたくアマドコロの花束を持って新プラネットコード社へと訪れていた。アマドコロの花言葉は元気を出して、人の痛みのわかる人、小さな思い出がある。だから今、土屋支部長に花束を贈るとしたらこれしかないと思ったからだ。


 僕の愛娘である莉愛と相棒の菊太と一緒に訪れ、支部長室に案内してもらう。支部長代理がまだ落ち込んでいてと仰っていたから、まだ立ち直れないでいるんだろうと到着し部屋へと訪れてみた。

 しかし、しかしだ。土屋支部長は今まで通りテキパキと仕事をしていて、支部長代理はあれっという顔立ちをしている。


「お前は下がれ」


 支部長代理はペコペコとお辞儀をして部屋を後にし、莉愛が花束を土屋支部長に渡す。


「お姉ちゃん、元気出してね」

「ありがとう、莉愛」


 土屋支部長が莉愛の頭を撫でながら受け取り、莉愛は菊太と一緒に一度下へと行ってもらう。


「大丈夫ですか?」

「家族はまだ祖母の死を受け入れられないでいる。俺も少々、まだ死を受け入れられていないが、祖母が口にしていたことを思い出してな。何があろうとも挫けず、前へ進んでほしいと言われてな。それで準備は整ったようだな」

「はい。四年も経ってしまいましたが、天王星ラウモイズへと行来ます。そのためにはまず平和を取り戻した各プラネットの新プラネットコード社及びネオリオ社、それからセリニ・ネアで総攻撃を開始してもらう形になります。よろしいでしょうか?」

「わかった。お前たちの健闘を祈りつつ、我々は祖母が愛したここ、土星スノロクを取り返す。それからでいいか?」

「はい。バラの流星群はいつでも開始できるよう準備は済ませてありますので。では僕は天王星ラウモイズへと向かいます」


 土屋支部長に会釈して僕は莉愛と菊太を連れて、別荘へ向かっている途中のことだった。いきなりエンジースに囲まれ莉愛は僕にしがみつき、菊太は唸り出す。僕らは何もしてないと睨んでいたら、桜が現れた。


「真神昏斗、フラワーアレンジメントの依頼をしたい」

「君たちにあげる花なんかない。それに愛娘の前だ。そこをどいてもらえるかな?」

「あなたの元カノからの依頼でも引き受けないつもりなの?」


 莉耶が依頼をしてくるだなんてどういう理屈でと考えていたら、桜がシュッと僕に投げてきてそれを受け取る。


「そのカードに書かれたのを作り、天王星ラウモイズで受け取るから」

「僕はまだ引き受けてない!」


 そう言っても桜はいなくなりエンジースがばらけていってしまった。カードを見るとバラ九本を添えたフラワーアレンジメントの依頼。


「お父さん?」

「ごめんね。行こうか」


 バラの九本の意味、いつもあなたを想っています、いつも一緒にいてくださいという意味が込められている。そういうことかと呆れ笑いしてしまいながら別荘へと向かった。

 ただいまと別荘の中に入ると星音が出迎えてくれて、荷造りはもう済ませているようだった。


「坊っちゃん、これを」

「ありがとう、影神。僕らは先に行ってるから昏花と子供たちを頼むね」

「はい。お気をつけて」


 鞄を持ち僕らは冥王星の力を借りて、天王星ラウモイズにある別荘へと到着する。あちこちには空島が多くあり移動手段は鳥車のみか。まずは荷物を置いてそれからどうするかを星音に話す。

 扉を開けて荷物を置いていると、昏斗と懐かしい声に反応してしまった。四年前よりもっと青年顔になった八雲くんが訪れてる。


「だあれ?」

「まだ覚えてもらってないのか。迂生は八雲と言うんだ。よろしくね」

「うん!」

「菊太、莉愛を見ててあげて」


 ワンッといい返事で菊太は莉愛を連れて庭で遊んでもらっている間に、八雲くんから情報を得る。


「昏斗兄貴たちが準備をしている間に、迂生の主人と共に大鳳天満について調べていった。前世の昏斗が亡くなった頃に、未だに忘れられなかったことで、昏斗がリィヤの生まれ変わりとなる人と巡り会うまで静かに待っていたという。そして情報を得るまでにネジバナの花と契約をし今に至っているということだ」

「三人が使っている食虫植物は掴めた?」

「それもわかったと言うより、昔からエンジースはその食虫植物を使って天罰を行っていたと迂生の主人が言っていた」


 エンジースは敗北した時点で身を潜めていたということになる。


「莉耶ちゃんと会えたりできたの?」

「基本的に大鳳天満の空島は厳重でエンジースが数人見張りがいて思うように空島には辿り着けない。だから莉耶姉貴と接触はできなかった」

「となれば大鳳天満が外出をしない限り、莉耶は外に出られないってことでいいんだね」


 そうなると八雲くんは言っていてエンジースが多くいる場所が大鳳天満がいる空島となるわけだ。後はどうやって空島に行くかどうかになる。


「ありがとう、八雲くん。それでなんだけど昏未の居場所は特定できてる?」

「それなら椿邸に入って行くのを目撃したと証言しているエクリプス人が多く、迂生も実際近くで見張っていたら椿邸に入るのが見えた」


 まずは昏未を救出してからじゃないと何も始まらない。昏有兄さんの合図で動くことになっているからそれまではここで大人しくしておくのがベスト。

 その前に八雲くんの主人であるウラノスに会っておこうかな。


「八雲くんの主人であるウラノスに会えたりはできる?」

「うむ。いつでも歓迎はすると言っていた。今から?」

「会っておこうかなって。星音はどうする?」

「私も会っておこうかな。莉愛も連れて行きたい」


 じゃあ早速と庭で遊んでいる莉愛と菊太を呼び、八雲くんの案内でウラノスに会いに行ってみた。

 違う空島でもここでは雲のネポスや鳥のオルニスがいる中に、八雲くんは堂々とウラノスの家へと入る。エクリプス人は八雲くんに会釈していた。

 部屋の中にお邪魔すると玉座に寝ていらっしゃるウラノスがいるも、普通に八雲くんはウラノス様と起こす。それでも起きないウラノスにどっから出したのかメガホンを持ってウラノス様とやや強めで言うと目を擦りながら起きた。

 寝癖をつけたまま僕らがいることを知り体勢を直して自己紹介してくれる。


「我は天王星ラウモイズを管理しているウラノス。八雲から大体は聞いているようだが、時間はあまり残されていない。それは琥珀と真珠から聞いているだろう」

「はい。それで支部長と協力をしてもらいたく、こちらに参りました」

「我は別によいが、プラネットコード社の支部長は我を嫌っている。まずは支部長と話をつけてからまた来い。それからだ」

「わかりました。話をつけてから再び参ります」


 あれ聞こえなかったのかなともう一度言おうとしたら、八雲くんがため息を出してメガホンでウラノス様と叫ぶと何を話していたと言われた。

 目を開けたまま寝ちゃう人、初めて見たと僕はもう一度説明すると、さっきと同じ言葉を繰り返し最後に言った言葉を伝えた。


「わかりました。話をつけてから再び参ります」

「頼んだ」


 僕らが部屋から出ると済まぬと謝ってくる八雲くんである。


「こう見えてアリス様よりもっと年上の方で、ここ最近は睡魔に襲われることが多いから迂生が起こすよう言われてる。だからこの四年はずっと天王星ラウモイズにいた」

「そうだったんだね。流彗くんが会いたがってたよ」

「うむ。連絡は取り合ってるから、こっちに来たらいっぱい遊びに行く。でも莉耶姉貴を助けてからにしようって約束したから」



 だから流彗くん、蝕夜のところに行って指導をしてもらっていたわけか。


 ペンダントを使って新プラネットコード社の前に到着した僕らは、人混みが多くどうしたんだろうと新プラネットコード社に入ってみる。そしたらそこに昏来と昏希がいたから話を聞いてみた。


「何かあったの?」

「昏斗兄様、なんか知らないけどエレベーターが壊れたらしくてさ。支部長が降りられない状態らしい」

「まさか中にいるの?」

「そうらしい、昏斗兄上。どうにかして助けられる方法はないのか」


 最新技術のエレベーターが故障するだなんて何かがおかしいと考えていたら人混みの中で笑っている人物がいる。僕がその人のところへ行ってみると、気づいたのか逃げた。あの人を捕まえろと僕が指示をすると真っ先に動いたのは菊太だ。

 痛いと叫ぶ声に逃げた先に行ってみると足を噛みついていて離そうとはしないから偉いと頭を撫でる。よくみると逃げたその人はエンジースだった。


「エレベーターに何をした?」


 問いかけるとエンジースはせせ笑い、こう発言をする。


「エンジースを裏切ったネオリオ人を天罰している。エレベーターを動かせばバーン!吹っ飛び社ごと燃えるぞ」


 それを聞いた僕は昏来と昏希にエンジースを任せて、星音は社員と来客した人たちの避難命令をしてもらう。僕と菊太は爆弾の位置を特定する。

 あちこちには爆弾が設置されており全てエレベーターに繋がっているようだ。無闇に取り出すのは危険だと判断し、心に報告をする。


「心、爆弾処理班を至急、新プラネットコード社に超させてほしい」

『状況は理解した。すぐ向かわせる』


 僕らも一旦社から出て爆弾処理班を待つこと数分後。到着して案内をし処理を行ってもらった。エレベーターにあった爆弾も非常階段を登って、エレベーターに無理矢理入り処理を行ってもらい、エンジースは殺人未遂でセリニ・ネアに連行される。

 こういう場面はいくつも見てきたから対処できたけど、まだこういう場面は続くだろう。


 肥満体質の天津陽太郎あまつようたろう支部長はロビーにあるソファーで部下たちに仰いでもらっていた。


「天津支部長、大丈夫ですか?」

「死ぬかと思ったが、大丈夫じゃ。ここに来た用件はあれじゃろ?ディアヴォロスと手を組み、エンジースをおとなしくさせるという」

「はい。お願いできますか?」


 天津支部長は少し悩みわかったと返答が来た。


「本当は手を組みたくはないんじゃが、これは莉耶嬢ちゃんのためじゃ。手を組むとしよう」


 ありがとうございますと告げ、そのことを八雲くんが話をつけに行ってくれる。

 

 その間に僕は一度家に戻り仕方がないからフラワーアレンジメントの依頼を受け花を用意し作っていった。

 莉耶をイメージしながらこの思いを届けるために、以前話していた勿忘草の花も添える。バラは四本赤にし、もう四本は白、一本だけ青バラにした。後は季節の花を入れて仕上げていく。


 こんなもんかなと一枚写真を撮ってフラワーアレンジメントをした花を持ち、桜はどこにいるんやらと適当な空島へと到着した。エンジースを見つけて桜がどこにいるのか聞き出そうとしたら桜の声がかかる。


「頼まれたものだ。代金はいらないと莉耶に伝えて。これが最後の贈り物だと」

「わかりました。それにしても不思議な組み合わせですね。赤に白、それから青の三色。どういう思いで作ったんですか?それもお伝えしておきます」

「僕の全てだったと伝えてほしい」


 桜は僕が作った花を持って消えてしまい、僕はそのまま新プラネットコード社へと戻った。



 鼻歌を歌いながら窓を眺めながらお腹に触れていると、足が動いて呼ばれているんだと天満がいる場所へ行く。

 本当は七星を産んだ後、これ以上命を授かるつもりでいたのにできてしまった。エンジースたちは喜び、もちろん天満が一番喜んでたな。


 天満の部屋へと行き私は天満の膝に座って、いつものハグから始まりお腹に触れた。


「俺は幸せ者だ。今度は長女がいい。絶対に可愛いだろうな」

「まだ性別はわからないよ。名前はもう決めた?」

「男の子なら天に星と書いて天星てんせい。女の子なら天を愛と書いて天愛あまなにする」


 この前は私が決めたから今度は自分で決めたいんだろうねと天満に寄りかかる。


「どっち似なんだろうね。私はやっぱり今度は天満似の子がいいな」

「なぜだ。俺より莉耶似の方がいい」

「もう。天満ったら」


 そんな会話をしていたらいちゃついているところすみませんと桜の声がかかり恥ずかしいと思いながらも花を持っていた。昏斗やってくれたんだね。


「見事な花。美しい」

「この花の名称は僕の全てだったそうですよ。これどこに置きますか?」

「リビングはどう?」

「そうだな。そうしよう。桜、それをリビングまで持ってってくれ」

「かしこまりました。リビングに置いておきます」


 桜はその花を持って行ってしまわれ、昏斗が作るフラワーアレンジメントはどれも素敵だったなと思い出していると天満に言われる。


「九本のバラについて教えてくれる?」

「もちろん。えっと昏斗が以前教えてくれてたの。バラの本数には意味があって九本はいつもあなたを想っています、いつも一緒にいてくださいって意味なの。だからそれを伝えたくてフラワーアレンジメントを依頼した。これが今の私の気持ちだよ」


 伝えたら天満は照れながら目を逸らし小さくありがとうと言ってきて、こちらこそと笑顔を出す。そしたら申し訳ないような表情を出し私に言ってきた。


「この前は驚かせてしまってすまない」

「あれのこと?最初はびっくりしちゃったけど、もう慣れちゃった。でもどうして天満がたくさん眠っているの?」

「不死身の体を持っていても、いつかは死が訪れるかもしれない。そう思って体を用意しておいた」


 そうなんだと聞いてたら七星が部屋を覗いているのがわかりおいでと呼び七星も座れるように少しずれた。


「どうした、七星」

「お父様、僕、気になってる子がいるの。どうすればお父様とお母様のように仲良くなれるかな?」

「それはだな、七っ」


 私はそういうやり方は進めさせないと天満の口を塞いでこう伝える。


「じゃあバラ買いに行こっか。一目惚れしちゃったんだよね?」

「うん。土星スノロクですれ違った女の子。えっと莉愛ってその子のお父様が言ってた。星に興味持ってたから少しお話ししたかったの」


 その言葉を聞いて昏斗の子供だと理解し天満の顔を見ると、何か企み始めた表情をし作り笑いの笑顔になった。


「そうか。じゃあその子に会いに行こう」

「本当に?やった!いつ会いに行ける?」

「椿の家に行ってから会いに行こうか」


 七星は嬉しそうにはしゃぎ始め部屋を出て行ってしまい、まだ昏斗を苦しめたいのと天満の顔を見るもすでに計画は立っているようだった。

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